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二章 ハンタイガワ
152 惺 ◇ AKIRA あれは幻覚
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僕は、夢を見ているのだろうか…。ついさっきまで、あんなにも穏やかだった、この館が…目の前の少女が…ここの全てが…異質なモノに見える。目眩がした。
「ごめんなさい」
僕はフラフラと立ち上がるとアルバムを自ら閉じた。
「調子が優れないので…部屋、行きますね」
返事もろくに聞かないで、呆然とした彼女の横を通り過ぎ、二階に向かった。
*
這うように階段を上る。まるで酸素の薄い高山を登っているみたいに息苦しい。
勝手に混乱し、勝手に逃げている自分は醜いのかな…
……さっき恭さん、どんな顔してたんだろう。
追って来ないところをみると、彼女なりに気遣ってくれているのかな。
それとも僕が変な事を言ったせいで、戸惑わせてしまったのだろうか…。
ぐるぐると巡る考えと、身震いするほどの感情で気持ちが悪い。
「きっと何かの見間違いで…僕の父さんと母さんに似ているだけだ…寂しくなって、幻覚を見ただけだ」
ほぼ暗示の如く、何度も何度も繰り返す。
でも…目と脳裏に焼き付いた〝両親〟の顔が離れない。
「ごめんなさい」
僕はフラフラと立ち上がるとアルバムを自ら閉じた。
「調子が優れないので…部屋、行きますね」
返事もろくに聞かないで、呆然とした彼女の横を通り過ぎ、二階に向かった。
*
這うように階段を上る。まるで酸素の薄い高山を登っているみたいに息苦しい。
勝手に混乱し、勝手に逃げている自分は醜いのかな…
……さっき恭さん、どんな顔してたんだろう。
追って来ないところをみると、彼女なりに気遣ってくれているのかな。
それとも僕が変な事を言ったせいで、戸惑わせてしまったのだろうか…。
ぐるぐると巡る考えと、身震いするほどの感情で気持ちが悪い。
「きっと何かの見間違いで…僕の父さんと母さんに似ているだけだ…寂しくなって、幻覚を見ただけだ」
ほぼ暗示の如く、何度も何度も繰り返す。
でも…目と脳裏に焼き付いた〝両親〟の顔が離れない。
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