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一章 Nid=Argent・Renard
65 祖父 □ grandfather 中和創造
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XX13年 10月
己の手で『中和の役目となる〝存在〟を創ること』
しかし、今回ばかりは、もう棕矢を巻き込みたくない…。
そこで最終的に、やむを得ず「私と妻で創ろう」という事になった。が、妻は工匠の血縁では無いので、恭の時と条件が明らかに違う。
だからひとまず、私が作った魔性具…要に、疑似的に工匠の術を再現、補助させる為の道具を用いる事にした。きっと、彼女がいくら念を込めても、必然的に〝存在〟を生み出す程の力は出せないと判断したからだ。
***
さて。
中和創造…と、漠然な案は浮かんだものの「どうやって〝中和〟というモノを創り出し、どうすれば、それで〝世界の歪みを元通りに出来るのか〟」だ。
中和…言葉にすればニ文字。でも実際、そんなに大規模で、非現実的なものを一気に達成できるという保証はどこにも無い。
…物事を崩し破壊するのは、とても簡単で一瞬のこと。でも、崩れてしまってから取り戻すには膨大な時間が掛かるのだから。
私は、また何日も悩み尽くした。
食事も忘れる程、考えた。
そして。
十月が終わる頃。
「中和……だから〝表裏の対〟となる存在を生み出すんだ…!」と。
やっと…ついに閃いた。
そして、対の存在を創造するのなら〝素〟を対にすれば上手くいくかも知れない!! と。
存在創造の儀式で〝呼応する鉱物〟はこちらからは選べないので、意図的に対にするなら〝ルナの鉱物〟しかなかった。
が、偶然にも、それは好都合だった。膨大な選択肢が一つに絞られた上に「今なら〝裏側のそれ〟を入手できる確率も高い」からだ。
「裏の棕矢に…私は懸けよう」
*
翌日。次回、裏の彼に会えた時の為、考えた事と、お願いする内容を詳しく書き留めた。言葉にして紙に書き連ねると、作家になって空想の物語を書いている気分だった。
しかし、私は書く…書く…書く…
己の手で『中和の役目となる〝存在〟を創ること』
しかし、今回ばかりは、もう棕矢を巻き込みたくない…。
そこで最終的に、やむを得ず「私と妻で創ろう」という事になった。が、妻は工匠の血縁では無いので、恭の時と条件が明らかに違う。
だからひとまず、私が作った魔性具…要に、疑似的に工匠の術を再現、補助させる為の道具を用いる事にした。きっと、彼女がいくら念を込めても、必然的に〝存在〟を生み出す程の力は出せないと判断したからだ。
***
さて。
中和創造…と、漠然な案は浮かんだものの「どうやって〝中和〟というモノを創り出し、どうすれば、それで〝世界の歪みを元通りに出来るのか〟」だ。
中和…言葉にすればニ文字。でも実際、そんなに大規模で、非現実的なものを一気に達成できるという保証はどこにも無い。
…物事を崩し破壊するのは、とても簡単で一瞬のこと。でも、崩れてしまってから取り戻すには膨大な時間が掛かるのだから。
私は、また何日も悩み尽くした。
食事も忘れる程、考えた。
そして。
十月が終わる頃。
「中和……だから〝表裏の対〟となる存在を生み出すんだ…!」と。
やっと…ついに閃いた。
そして、対の存在を創造するのなら〝素〟を対にすれば上手くいくかも知れない!! と。
存在創造の儀式で〝呼応する鉱物〟はこちらからは選べないので、意図的に対にするなら〝ルナの鉱物〟しかなかった。
が、偶然にも、それは好都合だった。膨大な選択肢が一つに絞られた上に「今なら〝裏側のそれ〟を入手できる確率も高い」からだ。
「裏の棕矢に…私は懸けよう」
*
翌日。次回、裏の彼に会えた時の為、考えた事と、お願いする内容を詳しく書き留めた。言葉にして紙に書き連ねると、作家になって空想の物語を書いている気分だった。
しかし、私は書く…書く…書く…
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