上 下
66 / 211
一章 Nid=Argent・Renard

65 祖父 □ grandfather 中和創造

しおりを挟む
XX13年 10月

己の手で『中和の役目となる〝存在カタチ〟を創ること』

しかし、今回ばかりは、もう棕矢そうやを巻き込みたくない…。
そこで最終的に、やむを得ず「私と妻でろう」という事になった。が、妻は工匠の血縁では無いので、恭の時と条件が明らかに違う。
だからひとまず、私が作った魔性具ましょうぐ…要に、疑似的に工匠の術を再現、補助させる為の道具を用いる事にした。きっと、彼女がいくら念を込めても、必然的に〝存在カタチ〟を生み出す程の力は出せないと判断したからだ。


 ***


さて。
中和創造…と、漠然な案は浮かんだものの「どうやって〝中和〟というモノを創り出し、どうすれば、それで〝世界の歪みを元通りに出来るのか〟」だ。
中和…言葉にすればニ文字。でも実際、そんなに大規模で、非現実的なものを一気に達成できるという保証はどこにも無い。

…物事を崩し破壊するのは、とても簡単で一瞬のこと。でも、崩れてしまってから取り戻すには膨大な時間が掛かるのだから。

私は、また何日も悩み尽くした。
食事も忘れる程、考えた。


そして。
十月が終わる頃。

「中和……だから〝表裏の対〟となる存在カタチを生み出すんだ…!」と。

やっと…ついに閃いた。

そして、ついの存在を創造するのなら〝もと〟を対にすれば上手くいくかも知れない!! と。
存在カタチ創造の儀式で〝呼応する鉱物〟はこちらからは選べないので、意図的に対にするなら〝ルナの鉱物いし〟しかなかった。
が、偶然にも、それは好都合だった。膨大な選択肢が一つに絞られた上に「今なら〝裏側のそれ〟を入手できる確率も高い」からだ。

「裏の棕矢きみに…私はけよう」


   *


翌日。次回、裏の彼に会えた時の為、考えた事と、お願いする内容を詳しく書き留めた。言葉にして紙に書き連ねると、作家になって空想の物語を書いている気分だった。

しかし、私は書く…書く…書く…

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ネッシーの娘

Yonekoto8484
ライト文芸
加齢で日に日に衰弱していく親のネッシーを見るに見かねて,生き物を不死不滅にする力があると言われている真珠を探しに,怪獣たちの住処の「黒海」と呼ばれる非常に危険な場所へ旅に出る娘の浪子。 魔法の真珠を手に入れ,親のネッシーを救えるのか?そもそも,迷信の真珠は,本当に存在するのか?親子の絆が勝つのか,自然が勝つのか?

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

クリスマス短編集 23&24年ver

流音あい
ライト文芸
一話完結のクリスマス短編集。子供向け、ファンタジー、ヒューマンドラマ等色々混ざってます。 1『まどろみの小部屋』男の子がサンタの小部屋に迷い込んでしまうお話。 2『クリスマスカードのきっかけ』療養所で出会った少女と幼い男の子がクリスマスカードで心を通わすお話。 3『予期せぬ子供の来訪者』パーティーに知らない誰かがひっそり入り込んでいて。 4『輝きの大樹』男の子の家ではクリスマスツリーを飾らない。それには理由があった。 5『魔法のペン?』子どもの言葉に感化され、ちょっとだけ日常が彩った女性のお話。 6『クリスマスカードの魔力』クリスマスカードを買った女性がちょっとだけ未来が明るくなりそうな予感に戸惑うお話。 7『クリスマスのツリー妖精処理業者』クリスマスツリーを飾ると現れる音楽好きな妖精と、彼らを処理する業者の男の仕事風景。 8『お話のプレゼント』プレゼントをもらえないかもしれないと思った幼い姉が弟のために物語を話してあげるお話。 9『クリスマスカラー』子供が母親と共に訪れたファミレスでちょっとはしゃいでしまうお話。 10『サンタさんになりたい!』サンタさんになりたい男の子のお話。 11『子どもたちのサンタさんトーク』保育園にいる子供たちがサンタさんについて意見を話し合うお話。 12『恥ずかしがり屋の妹さん』ちょっと不思議な体質の子と出会うお話。 13『クリスマス限定チャリティイベント仕様の本屋』イベントを開催している本屋に入った女性のお話。 14『クッキーチケット』夢の世界で遊んできた子供たちがその話をすると……。 15『クリスマスの読書感想文』四年生の少女が姉に手伝ってもらいながら頑張って書くお話。作中の児童書は架空です。 16~20はクリスマスの詩 21『お姉ちゃんの読み聞かせ』幼い弟のためにお姉ちゃんが一生懸命、絵本を読んで(作って)あげるお話。 22『お気楽サンタの大発見』プレゼント作りが面倒なサンタは子供たちを袋に入れて連れてくる。バレずに出来たと思ったけれど。 23『おじいさんたち、元サンタ?』二人のおじいさんのほっこり話。 24『サンタ新聞社を見つけたよ』サンタ新聞社を見つけた男の子のお話。 25『お寝坊サンタの切りかえどき』寝坊したサンタがクリスマスに間に合わなくて。 26『ツリーのいろ、いろいろ説』日常。おばさんと姪のカフェでのひと時。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

サイレント・イブ

松田 かおる
ライト文芸
クリスマスの夜に起きた、ちいさな奇跡のおはなし。

人生前のめり♪

ナンシー
ライト文芸
僕は陸上自衛官。 背中に羽を背負った音楽隊に憧れて入隊したのだけれど、当分空きがないと言われ続けた。 空きを待ちながら「取れる資格は取っておけ!」というありがたい上官の方針に従った。 もちろん、命令は絶対。 まあ、本当にありがたいお話で、逆らう気はなかったし♪ そして…気づいたら…胸にたくさんの記章を付けて、現在に至る。 どうしてこうなった。 (…このフレーズ、一度使ってみたかったのです) そんな『僕』と仲間達の、前向き以上前のめり気味な日常。 ゆっくり不定期更新。 タイトルと内容には、微妙なリンクとズレがあります。 なお、実際の団体とは全く関係ありません。登場人物や場所等も同様です。 基本的に1話読み切り、長さもマチマチ…短編集のような感じです。

桃源ミーティアライト

湊戸アサギリ
ライト文芸
無敵の拳法少年がチャイニーズシティで奮闘するSF中華カンフーアクション、開幕!! 絢爛たる都市で少年と共に運命に立ち向かうのは美しき男達!! 愛、陰謀、狂気、執着、願い、欲望、美、その全てが宿命を彩る……  日本の近畿地方にある東洋最大の国際都市、柊(しゅう)。その下町で幼い時から拳法の師匠の元で兄弟同然に育った二人の少年・美翔(メイシャン)と真幌(まほろ)は行方不明になった師匠の帰りを信じて待っていた。 ある日、式部と名乗る男から師匠の行方を知った二人は師匠を探すべく動き出すが…… そんな中妖艶な美少女・小空(シアコン)とも出会い、運命は少しずつ塗り替えられていく…… 三人は「大切な人」を守れるのか!? 三人を取り巻く戦士達は何を見つめるのか!? 三人の願いが、中華大都市の未来を変える!! 更新情報はTwitterでご連絡します。アカウントは@ayaya_asagiriです 2021.4.23 表紙イラスト追加しました。椎名様に描いていただきました 2021.4.28 ジャンルカテゴリーを「SF」から「ライト文芸」に変更しました 2021.8.8 フリースペースにPV動画のリンクを貼りました 2021.9.25 登場人物のグッズ展開も開始しました。太志郎と黒影のバッグを販売しています(詳しくはフリースペースに記載しています) 2022.1.30 今年からDreameにも連載を開始しました!

処理中です...