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一章 Nid=Argent・Renard

40 祖父 □ grandfather 試行錯誤

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『今日も上手くいかなかった。』

『今日も、何も変わらなかった。』

『今日は、鉱物を数種類、混ぜてみた。』

『昨日、混合させたものは、失敗だった…。』

『悔しい…どうしてだ!』


   *



『今日は、何だか、やりたくない。…でも、進めなければ。あの子達に、もう一度会いたい。』

『今日は………



  ***



XX06年の夏。
第一回目の計画プロジェクトの期間。私は〝あの本〟に日記をつけていたんだ。

最初は試した事や、その結果をメモする「記録帳」として使い出したのだが、たまたま寝る前に、一、二行の感想を追記してみた日があって…。
そしたら段々と日課の様になり、気付けば〝あの本〟は「記録 兼 日記帳」と化していた。


  ***


『今日は………



   *


『今日は………


   *


『ああ…もう棕矢も八歳になった。あの子は賢い子だ。この研究を続けられるのも、ここまでなのか?』


   *


『諦めよう。』

あれから数年。
再び始めた『この計画プロジェクト



  ***


何故。

私達は焦り過ぎなのだろうか…。

何故。

何故、こうにも進まないんだ。

いや…本当は、頭では分かっているんだ。
でも、それを心が受け入れない。

所詮は〝この計画プロジェクト〟自体が、〝錬金術師の真似事〟に過ぎないと言う事も…。
頭のどこかでは、知っている。

でも受け入れない自分が居る。

ああ。
もどかしい。

もう、このまま諦めてしまう事が、正しい道なのかも知れない。

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