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3. 考え事
しおりを挟む「……はっ」
掌の卵…食べられるわけが無い。
私はそこまでお腹がすいていたのか。すこしショックだった。煩悩を捨てた。もう一度卵をじっくり見てみる。
…ヒビは四分の三ぐらいまで来ているようだった。
しかしまた少女の意識は別の方へと向かう。
少女は自分を見下ろした。
身につけている服を見る。
服はとても黒い。
黒地に金の糸で薔薇が刺繍されている。
長袖にパンツのスタイル。
ズボンは少し服より茶色がかった黒。
それよりも目を引くのがローブだった。
黒い生地。金色の糸で見事な薔薇の刺繍がされている。金をたくさんつかっている。が。下品さは少しもない。
綺麗………
これらは少女をさらに際立たせる。少女の魅力を120%引き出せる。少女のために作ったもの。と、誰もが納得する。
またもや少女の意識はそれる。
水面を見つめた少女。額にある黒い物を見つける。
額に手をやるとそれはとがっていた。
これはなんだろうか。
少女は少し考える。だが、結論はすぐにでる。
「角……かな」
まるで夜空の色に似た黒。先の金色は夜空で煌めく星のよう。
自分は何なのか…
「…鬼」
ついポロリと無意識に言葉をこぼす。だが、何故か鬼だ。と確信した。
飲まず食わずで二日も経つ。もしかしたら、知らないだけでもっと経っているのかもしれない。寝てもいない。
普通の人間ならば、もう限界に近いだろう。
だが、少女は人では無かった。
また、意識がうつる。
服の匂いを嗅いでみたり、髪の匂いを嗅いでみたり…。
少女の名誉のために言うが、臭くはない。
今日はここで夜を迎えた。
少女は気づかない。
掌からパキリと音が鳴るのを。
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