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雪あそび
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「白い息がでるよ!」
「ほんとだ」
弟は雪に向かって走り出した。コロも一緒だ。
「ほら、コロも困ってるだろ」
黒いラブラドール・レトリーバーのコロはもう人間でいうとおじいちゃんなんだ。お父さんもそう言ってた。
「はーい」
と弟は肩をすくめてコロのリードをぼくに渡した。
「コロはこっちから通ろう?」
ぼくとコロは踏みかためられて道になったところを歩く。弟はふかふかの誰も歩いてないところをジャンプしながら進んでいた。この前遊んでいるときに弟は手袋をなくしてお母さんに怒られた。もう忘れてしまったのだろうか。紺色の手袋を雪の上にぽーんっと投げて、素手で雪をすくっている。雪の粉がコロの背中にもかかった。コロはぶるぶるっと大きく体を揺らして、ふかふか雪に飛び込んだ。弟めがけてまっしぐら。たまらずぼくも入って、雪合戦がはじまった――。
「もう! この前新しいの買ってあげたばかりじゃない」
弟とぼくは二人そろって体を縮めていた。こういう時は下手に言い訳をしない方がいいんだ。だまっていると、お母さんは急にまゆげを下げた。
「そういえば、コロちゃんは?」
「コロなら、玄関に……」
と、振り向いて驚いた。コロがいなくなっていたのだ。お母さんは慌ててスリッパのままドアを開けた。コロがおすわりしている。
「あ!」
弟が一番に気づいた。
「コロが手袋もってるよ」
コロはしっぽをぶんぶん振って、お母さんに渡した。ゆるしてあげてって、言ってるみたいだ。つぶらな瞳にお母さんのツノもすっかり引っ込んでいて、コロの頭をわしゃわしゃなでた。
「ほんとだ」
弟は雪に向かって走り出した。コロも一緒だ。
「ほら、コロも困ってるだろ」
黒いラブラドール・レトリーバーのコロはもう人間でいうとおじいちゃんなんだ。お父さんもそう言ってた。
「はーい」
と弟は肩をすくめてコロのリードをぼくに渡した。
「コロはこっちから通ろう?」
ぼくとコロは踏みかためられて道になったところを歩く。弟はふかふかの誰も歩いてないところをジャンプしながら進んでいた。この前遊んでいるときに弟は手袋をなくしてお母さんに怒られた。もう忘れてしまったのだろうか。紺色の手袋を雪の上にぽーんっと投げて、素手で雪をすくっている。雪の粉がコロの背中にもかかった。コロはぶるぶるっと大きく体を揺らして、ふかふか雪に飛び込んだ。弟めがけてまっしぐら。たまらずぼくも入って、雪合戦がはじまった――。
「もう! この前新しいの買ってあげたばかりじゃない」
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「そういえば、コロちゃんは?」
「コロなら、玄関に……」
と、振り向いて驚いた。コロがいなくなっていたのだ。お母さんは慌ててスリッパのままドアを開けた。コロがおすわりしている。
「あ!」
弟が一番に気づいた。
「コロが手袋もってるよ」
コロはしっぽをぶんぶん振って、お母さんに渡した。ゆるしてあげてって、言ってるみたいだ。つぶらな瞳にお母さんのツノもすっかり引っ込んでいて、コロの頭をわしゃわしゃなでた。
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