龍馬が【異世界を】ゆく

第3章 異世界の海援隊（仮）

第22話 ケイのギフト

ケイはあ然としていた。

ケイは、大きく深呼吸をして、運ばれてきたエールを一気に飲み干す。

「龍馬さん、こうなったらひとつずつ確認させて下さい。結論だけだと私には、理解出来ないわ。」

龍馬は、ゆっくりと頷きエールを一口飲む。

「えっと、武力を持つ商会と言うのは何なの？」

「一言で言うなら、海軍じゃな。つまり、海の軍隊やねや。」

「じゃあ、その海軍は、何故必要なの？」

「この世界を洗濯する為や。」

「じゃあ、何故、洗濯する必要があるの？」

龍馬は、フッと笑うと、照れくさそうに答える。

「そりゃ、この世界の子供達が楽しゅう生きるためちや。」

ケイは、ゆっくりとひとつずつ、龍馬に質問をぶつけ、龍馬は、それに丁寧に答える。

そんなやりとりを続けて、1時間以上経っていた。

そして、ケイはこの男がやろうとしてる事を理解した。

「最後にひとつだけ、聞かせて。もし、あなたのやろうとしてる事の前に、立ちはだかる者が居たらどうするの？」

「戦うまでさ。」

「その相手が国だったら？」

「その時は、戦争ちや。」

ケイは、エールを口に含むとグラスをゆっくりと置いた。

「龍馬さん。投資するわ。でも、私も一緒に手伝わせて。」

龍馬は、ケイの手を握り、優しく語りかける。

「えいのかい？命懸けちや。」

ケイは、コクリと頷いた。

それは、この世界で、龍馬以外の人間が、龍馬の志を初めて理解した瞬間だった。

ケイは、その後直ぐに、船で自国に戻っていった。

ケイは、真夜中に甲板に出て船の帆先に立っている。

そして、子供の頃に良く見た夢を思い出していた。

その夢とは、女神に誘われて、仲間と一緒に船で世界を駆け巡る。

そして、船の帆先には、いつも見知らぬ男が立っている。

その男の顔はわからないが、その後ろ姿をはっきりと覚えている。

「さあ、これからあの時に見た夢の続きを始めよう。」

そんな事を口にした時、異変が起こった。

突然、ケイの体が輝き始めた。

ケイは、急に甲板が明るくなった事に驚いたが、自分が原因である事に気がついた。

「龍馬を助け、この世界を洗濯しちゃって下さいねー。」

女性の優しげな声が心に響く。

「はい、女神様」

「よろしい。ではあなたに力を授けましょう。」

ケイが気が付くた光は消えていた。

翌日、ケイが目を覚ますと、船が海上で止まっていた。

甲板に出ると船員達が、頭を抱えている。

理由を聞くと、風が止まってしまい船を動かせなくなったと言う。

「凪じゃ仕方ないか。力か？風を自由に操れる力とか良いな。」

「風の力ですね。分かりました。あなたには、風の力を授けます。」

女神の声がしたかと思うと、それまで静かだった海に風が吹き始め、船が勢いよく進み始めた。