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第2章 龍馬と海
第14話 領主の街 シルバン
しおりを挟む龍馬は、神官のトーマスから、領主からの手紙を受け取った。
龍馬は、手紙の封を切り、声に出して読み上げた。
手紙の内容は、女神の御使いに会いたいので、領主の城に招待したいとの事だった。
「エマさんや、その領主言うがは、何なんなが?」
エマは、この世界の事をよく知らない龍馬の為に、詳しく話した。
このカインの町は、領主アルベールが治めている事、領主の指示で各町には税務官が居て、町民から税金を集めている事などを話した。
「それで、領主はわし達の為に何をしてくれるがか?」
「うーん、特にないわね。昔は領主同士の争いが、絶えなかったから、兵を出して戦ってくれたみたいだけど。」
「そうかい、エマさんの説明は分かりやすい。そうか、なんちゃあせんか?」
そう言って、大笑いを始めた。
2日後、龍馬とエマはシルバンに向かう船上にいた。
領主が住む街シルバンは、領主の街と呼ばれていた。
シルバンは、人口5万人で街の中心に領主の城がそびえ立つ、まさに城下町である。
実は、シルバンの街は海に面していたが、港を持っていない。
その話を聞いた龍馬は驚いた。
そこで、龍馬は船で領主に会いに行く事にした。
龍馬は、船上で当然のごとく舵を取っている。
カインの町からシルバンまでは、徒歩で10日、馬車で5日を要するが、船なら2日で済む。
しかも、航路は海岸線沿いのみで、安全を考えて、夜間航行を行なわない。
龍馬は、舵を取りながら考える。
ーーーーー
この世界にも方位磁石は存在する。
カインとシルバンの位置関係が正確に分かれば、船なら1日あれば移動出来るだろう。
ーーーー
と。
2日目の昼過ぎに、海岸線のシルバンの街が見えてきた。
浜辺には、漁師の物と見られる小舟が見られる。
龍馬達は、浜辺から離れた位置で錨を降ろした。
浜辺までは、船から降ろした小舟で向かう。
「港があったら、こがな事をせいでもえいになあ。めんどくさいねや。」
龍馬は、そう呟いて小舟を漕いでいる。
浜辺で船を降り、手を挙げると小舟は、括り付けられた紐が引っ張られて、船に戻っていった。
シルバンの街に入った龍馬は、女神の神殿に向かった。
途中、市場に寄り道して物の値段を見て回る。
「エマさんや、ここは、カインの倍の値段じゃ。」
エマが確認すると、確かにカインの倍近い値段で売られていた。
そうして、神殿に着くと、龍馬達は大歓迎を受けた。
神殿関係者だけじゃ無く、熱心な信者もいる。
龍馬は、ここでも併設されている孤児院を訪れた。
孤児院では、ちょうど夕食時だったので、孤児院の責任者に頼み同じ料理を出してもらった。
責任者の話では、食料品の物価が高くて大した量を出せないと、嘆いていた。
龍馬は、食事代だと言って、金貨を1枚渡し、今度来る時は、食べ物をいっぱい持ってくると伝え、神殿に戻った。
今日は、神殿で泊まらせてもらい、明日、神官長と一緒に領主に会いに行く事になった。
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