龍馬が【異世界を】ゆく

第2章 龍馬と海

第12話 誓い

龍馬は、綿花の村に向かう船上にいた。

相変わらず、船内をあちこち周り船員たち談笑していた。

綿花の村近くに着く頃には、彼らとすっかり打ち解けて、いつの間にか船長の代わりに、舵取りを任せられていた。

「あんたは、才能があるのお。何処かで船に乗っておったかの？」

「ああ、わしの船は、この船の倍はあったねや。帆柱が3つあって、蒸気で走るがぜよ。他の船とぶつかって沈んでしもうたけんどな。」

そんな、やり取りをしながら船は、入り江へと入っていった。

「なあ、船長さんよ。船着き場はどの辺に作るがよ？」

「それならその岬じゃな、あそこは、水深が深いんじゃ。」

「そうかい、やっぱりここは、えい港になりそうや。」

龍馬達は、積んで来た荷物と大工達を浜辺に降ろしていく。

龍馬は、この入り江に船着き場を作ろうとしていた。

船着き場の建設を大工達に任せ、ひとり、綿花の村に向かった。

綿花の村に近づくと、子供達が元気に遊ぶ声が聞こえてくる。

村に入ると、龍馬に気付いた子供達が、集って来た。

「誰か、ちっくと、長老さんを読んできてくれんか？」

やがて、長老が姿を見せると、龍馬は、開口一番、叫ぶ。

「浜辺に港を作るがを、手伝うてもらいたい。」

長老は、相変わらず変な人だと思いながら、詳しく話を聞いた。

龍馬の話は２つある。
ひとつ、綿花はそのままでは売らずに、精錬してから売る事。そうすれば、今の倍の価格で売れる。

そして、精錬作業のやり方は、今度、職人と機材を運んでくる。

ふたつ、交易は船を使って行うので、入り江に船着き場を作ってもらっている。

だから、この村から、入り江の間に道を作ってほしい。

長老は、驚きながらもこの大恩人の言う事に従う事にした。

その日は、長老の家に宿泊し、翌朝、長老が手配した村人と一緒に、入り江に向かった。

入り江に着くと、船着き場は、だいぶ出来上がっており、一緒に来た村人も驚いている。

村人に、大工達の世話を頼むと、再び、船に乗りこんだ。

「次は、カインへ頼む。」

「忙しい人じゃのう。」

龍馬は、船の帆先に立ち、今までの事を考えていた。

「女神さんは、思う通りにやれ言うた。」

「やったら、志半ばで倒れてしもうた前世の分も好きにしちゃる。」

「いずれわしゃ、この世界で自分の船を持ち、再び、海援隊を組織しちゃる。」

「ただし、わしが支えるがは薩長じゃない。わしが支えるがは、この世界の子供達や。」