1 / 24
第1章 龍馬と異世界
第1話 異世界を今一度せんたくいたし申候
しおりを挟む「龍馬。龍馬。目を覚ましなさい。」
龍馬の頭の中に透き通った、女性の声が響く。
「おまさんは、誰やか? 乙女姉さんかや?」
龍馬が、目を開けると眼の前に、真っ白なシルクを身にまとった金髪の女性が立っている。
まるでギリシャ神話の女神のようだ。
「おまさんは、誰やか? 乙女姉さんじゃないのぉ」
「私は、カリプソ。この世界を預かる女神。あなたにお願いがあって、この世界にお呼びしました。」
龍馬は、混乱していた。
確か、襲撃にあって臥せっていたはずだ。
「わしゃ死んでしもうたがかえ?」
「ええ、残念ながら。」
「そうか、死んでしもうたがか。そうか。」
龍馬は、次第に現実を理解していく。
「それで、ここは何処やか?」
「ここは、異世界。龍馬が暮らしていた日本とは、全く別の世界です。」
「そうか、ここは異国かえ?」
「まあえい、わしに何のようや?」
「ええ、あなたにこの世界を救って欲しいのです。」
「世界を救う?わしにそがな事ができるものか。」
「大丈夫です。私が全力でお手伝いします。」
龍馬は、少し考えて込んでいたが、考えるのを諦めた。
「そうか、判った。で、何をしたらえいがよ?」
「何も、特別な事は、ありません。龍馬の好きな様にすればいいのです。」
「好きな様にか、判った。面白そうや。」
「そうです。思いっきりやっちゃってください。この世界を洗濯するのです。善は急げです。」
女神がそういった途端、龍馬のからだが光り始め、姿が消えていた。
「フフ、どんな風に洗濯をしてくれるのか、楽しみです。」
龍馬は、森の中で目を覚ました。
これは、夢だったのか?
それにしても、見知らぬ場所だ。
すると突然、女性の悲鳴が聞こえてきた。
龍馬は、慌てて悲鳴の方向に走った。
足には革靴を履いている。
「革靴は、走りにくいなあ、わらじの方が楽じゃ。」
しばらく進むと、開けた場所に出た。
若い女性が熊ほどもあるオオカミに襲われそうになっている。
龍馬は、懐からピストルを取り出すと
オオカミに向けて連射した。
(バン、バン、バン)
そのうちの一発が頭に命中し、オオカミは、ドサッと倒れた。
龍馬は、ゆっくりとオオカミに近づくと、息がない事を確認し、その場に座り込んだ。
「はあ、殺ったか? 何とか間に合うた。ケガはないかい?」
「あ ありがとうございます。大丈夫です。」
「そうかい。良かった。ところで、ここは何処やかね?」
「え?ここは、赤狼の森ですが。」
「そうかい。近くに町はあるかね」
「此処から、半日ほどのところにカインの町があります。」
「悪いけんど、そこまで連れていってくれるか?」
龍馬は、助けた女性とカインの町を目指した。
女性は隣の町に行った帰りで、カインに戻る途中に、オオカミが突然現れて、森の中に逃げ込んだのだった。
(それにしても、不思議な格好ね。不思議な剣を持ってるし。それにしても、オオカミを倒した時の音は、なんだろう。)
こうして龍馬の新たな旅が始まった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
異世界に飛ばされたおっさんは何処へ行く?
シ・ガレット
ファンタジー
おっさんが異世界を満喫する、ほのぼの冒険ファンタジー、開幕! 気づくと、異世界に飛ばされていたおっさん・タクマ(35歳)。その世界を管理する女神によると、もう地球には帰れないとのこと……。しかし、諦めのいい彼は運命を受け入れ、異世界で生きることを決意。女神により付与された、地球の商品を購入できる能力「異世界商店」で、バイクを買ったり、キャンプ道具を揃えたり、気ままな異世界ライフを謳歌する! 懐いてくれた子狼のヴァイス、愛くるしい孤児たち、そんな可愛い存在たちに囲まれて、おっさんは今日も何処へ行く?
2017/12/14 コミカライズ公開となりました!作画のひらぶき先生はしっかりとした描写力に定評のある方なので、また違った世界を見せてくれるものと信じております。
2021年1月 小説10巻&漫画6巻発売
皆様のお陰で、累計(電子込み)55万部突破!!
是非、小説、コミカライズ共々「異世界おっさん」をよろしくお願い致します。
※感想はいつでも受付ていますが、初めて読む方は感想は見ない方が良いと思います。ネタバレを隠していないので^^;
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる