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第4章 王都へ
第57話 交易都市 アルトマイ
しおりを挟むアルトマイの街に、無事に入ることが出来た私達は、その足で冒険者ギルドに向かった。
ギルドへは、ムサシ独りで入っていった。
直ぐに、大勢の職員が飛び出して来た。
皆、ロウの姿を見るなり硬直している。
ムサシが慌てて、これは飼犬だと言い訳している。
職員達は、サキがロウの背中に乗っている事に気が付き納得したようだ。
彼らは、馬車の荷台から解体された大鹿を次々と降ろしていく。
あ、ムサシが肉を一塊だけは、残せと注意している。
しばらくすると、ムサシが出てきた。
【待たせたな、サマルカンドの散財分は、何とか取り戻せたよ。】
懐も温まったと言う事で、奮発して大きな宿屋に泊まった。
この宿屋は、評判が良いらしく、込んで居て大人数向けの部屋が、一部屋だけしか取れなかったが、従魔も一緒に泊まる事が出来た。
その日は、旅の疲れもあったので、外出はせずに部屋でのんびりと過ごした。
翌日は皆で観光に出掛けた。
先ず向かったのは港だ。これは、ムサシの希望だ。
マリーナの説明通り、大小の船が所狭しと並んでいる。
船の中で1艘だけひときわ大きな船があった。
【マリーナ、あの大きな船は何だ】
(マストに掲げられている旗は、王家の旗だね)
そこには、白地に赤い丸が描かれている。確かにあれは、王家の紋章だ。
【あれが、王家の紋章なのか?こりゃどういうわけだ。】
「ムサシ、何か気になる事でもあるの?」
【ああ、ちょっとな。そのうちに話すよ。】
【よし、店や市場でも見て回るか?後は、屋台巡りだ。】
それから、私達は1日中、街をあちこちと見て回った。
当初の目的だった、勇者の腕輪の謎解きは解決していたので、気楽に散策を楽しんだ。
ただ、武具の店では、ムサシとサキの剣に興味を持たれたのには辟易した。
中には。売ってくれと、大金を提示してくる店もあった。
こうして、観光も終わり宿屋の1階にある食堂で、夕食を楽しんでいる時に事件が起こった。
隣のテーブルに、ここには似つかわしくない3人組が食事をしている。
1人は、銀のプレートアーマーに身を包んだ女騎士、いや、姫騎士と言った感じで、他の2人も黒のプレートアーマーで、如何にも、姫騎士の従者兼、護衛と言った感じだった。
私達は、明日にも出発しようと次の目的地の話をしていると、その姫騎士が話し掛けてきた。
失礼。ちょっとよろしいでしょうか?
姫騎士は、ムサシに話し掛けたが、何故かムサシは、無視を決め込んでいる。
次第に、姫騎士の顔が高揚してきた。
私は、不味いと思い話しに割って入った。
「はい、騎士様、何か御用でしょうか?」
失礼だが、その子供の剣をちょっと見せて頂けないだろうか?
するとムサシが反応した、
【サキ、ちょっと剣を見せてやれ、ただし、ちょっとだけだぞ。】
『うん。判った。』
サキは、そう言って席を立つと姫騎士と距離を取り腰を落とした。
次の瞬間、目にも止まらない早業で、居合い抜きを披露した。
私は、頭を抱えた。ていうか、居合い抜きが上達して、ますます、見えなくなっていた。
あっけに取られている姫騎士を置いて、私達は部屋に戻った。
部屋に戻ると、ギルドから伝言があり、明日、早朝に来て欲しいとの事だった。
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