海と聖女とサムライと

clown

文字の大きさ
上 下
47 / 68
第4章 王都へ

第46話 酒処シュセン

しおりを挟む

ムサシは、ヤマタノオロチと言う大蛇がこの海の何処かに、潜んでいると言った。

つまり、私の両親を襲った仇がこの海にいる。

【上手くいくかどうか、わからないが、やって見るか?】

「でも、この広い海をどうやって探すの?」

【探しはしないさ。誘い出すんだ。今日はもう遅い。もう寝よう。今夜は俺が夜番をするから、安心して寝てていいぜ。】

【ただ馬車と馬は、浜辺から離れた場所でな。】

翌朝、私が目覚めるとムサシは、焚き火の前であぐらをかいて、眠りこけていた。

まあ、寝ずの番は、してくれた様だ。

「ムサシ、起きて。で、これからどうすればいいの?」

【ああ、はあー、寝ちまったか?】

【先ずは、シュセンに向かうぞ。】

私達は、シュセンに向け出発した、順調に行けば昼過ぎには着くだろう。

シュセンは、人口2000人の規模の普通の町で、海からは少し離れた山の麓に位置している。

しかしこの世界で、シュセンの町を知らない者は居ない。

それは、シュセンが酒処と呼ばれているからだ。

シュセンには、200もの造り酒屋があり、様々な酒が製造されているのだ。

シュセンの町に近づくと、ほのかに懐かしい匂いが漂って来た。

シュセンの町に着いた私達は、宿屋に入った。

夕食までは、まだ時間があるので、それまでは自由時間となった。

ムサシ、サキ、マリーナは、冒険者ギルドに行くと言って出かけていった。

どうやら、気を利かせて、私を独りに、してくれるらしい。

私は、独りで神殿に挨拶に向かう。

シュセンの神殿は、昔と変わらない佇まいだ。

昔、お世話になった神官長に挨拶を終え、隣接する孤児院へと足を運んだ。

中から元気一杯な子供達の声が聞こえてくる。

私は、昔お世話になった院長に挨拶をした。

院長は、涙を流して、私との再会を喜んでくれた。

神殿から、宿屋に戻るとムサシ達はまだ戻っていない。

私は、再び独りで出かけていった。

幼い頃の記憶を頼りに町の中をさまよう。

そして、なんとなく見覚えのある場所に出た。

多分この辺りに、両親の店があった気がする。

今は、空き地となっている場所の片隅に一本の大きな木が”そびえ立つ。

私は、大木に近づき、そっと触れてみた。

すると、幼い頃の記憶が鮮明に蘇って来た。

幼い頃、この木に登り降りでなくなり、両親を呼んでくれ降ろしてもらったこと、木の周りで鬼ごっこをしたこと。

いつしか、私の頬には涙が流れていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

異邦闊歩ー島流しされて着いたのは、未知の世界でしたー

勇崎シュー
ファンタジー
大切な事を 忘れてしまった気がするーー。 記憶喪失の少年、ノギワラ・シンベイは、携えていた刀や剣技を駆使し、異世界の魔物や悪者達と渡り合って往く。 そして、何故記憶を失ってしまったのか、失った記憶には何が映されていたのか。世界に散らばる手掛かりを頼りに、自身の真相に迫っていく……。 刀剣浪漫劇、開幕。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...