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第2章 勇者の証
第24話 特訓開始
しおりを挟む翌日、私達は、いつもの浜辺に呼び出された。
海の中には、船5艘分の間隔で2本の棒立ててある。
【この2本の棒の間を、息継ぎ無しに泳ぎ切るんだ。先ずは、君からだ。】
そう言って、いつものように肩にとまっている少女を海に降ろした。
少女は、いきなり泳ぎだす。
海面を泳ぐのではなく、海底を潜って泳ぐ、しかも早い。
あっという間に泳ぎ切り、さらにその先まで進む、棒の間の倍以上のところで顔を出した。
【合格だ。次、マリーナ】
(はい、師匠。)
マリーナは、潜らずに普通に泳ぎだす。
ゴールの棒の半分くらいで顔を上げた。
【うん。不合格。】
【じゃあ、最後はお嬢。マリア殿】
私は、思いっきり息を吸ってから、しゃがみ込み海中に頭まで潜って前に泳いだ。
船一艘分がやっとだった。
男が頭を抱えている。
【不合格。】
【不合格の2名は、午前中の間、自主練習だ。ただ、無理はしないように。ちゃんと陸に上がって休憩を挟むように。】
男は、少女を肩に乗せると、何処かに行ってしまった。
私達は、黙々と練習を続ける。
やがて、昼頃になって、浜辺で休んでいると、男と少女が戻ってきた。
男の手には大きな鍋が、少女は、4人分の食器とパンを抱えている。
【漁師鍋を作ってきた。】
相変わらずコイツの料理は美味い。
少女は、当たり前の様に男の膝に座り、
これでもか?とおかわりをしている。
マリーナと私も負けずにおかわりだ。
お昼ご飯の後、ちょっと休憩した後、練習の成果を確認された。
私は、今朝よりも長く潜ることができる様にはなったが、距離は変わらない。
(おねーちゃん溺れてるの?)
真顔で少女に言われた。
その日の練習は、そこまでとなった。
翌日、浜辺に集合して、昨日と同じ練習かと思ったら違った。
【今日は、海には入らない。今日は、走るぞ!】
男がいきなり走り始める。
少女が直ぐにその後を追った。
私は、マリーナと顔を見合わせた後、走り始める。
速度はゆっくりだが、走る。走る。走る。
気がつけば、遠く離れた岬付近に来ていた。
「もうだめ。」
私とマリーナは、大の字に横になった。
男と少女は、ケロッとしている。
少しの休憩の後、今度は、もと来た道を走って戻った。
これからしばらくは。毎日、朝夕の2回繰り返すらしい。
私とマリーナは、その場に突っ伏した。
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