海と聖女とサムライと

clown

文字の大きさ
上 下
25 / 68
第2章 勇者の証

第24話 特訓開始

しおりを挟む

翌日、私達は、いつもの浜辺に呼び出された。

海の中には、船5艘分の間隔で2本の棒立ててある。

【この2本の棒の間を、息継ぎ無しに泳ぎ切るんだ。先ずは、君からだ。】

そう言って、いつものように肩にとまっている少女を海に降ろした。

少女は、いきなり泳ぎだす。
海面を泳ぐのではなく、海底を潜って泳ぐ、しかも早い。

あっという間に泳ぎ切り、さらにその先まで進む、棒の間の倍以上のところで顔を出した。

【合格だ。次、マリーナ】
(はい、師匠。)

マリーナは、潜らずに普通に泳ぎだす。
ゴールの棒の半分くらいで顔を上げた。

【うん。不合格。】

【じゃあ、最後はお嬢。マリア殿】

私は、思いっきり息を吸ってから、しゃがみ込み海中に頭まで潜って前に泳いだ。

船一艘分がやっとだった。

男が頭を抱えている。
【不合格。】

【不合格の2名は、午前中の間、自主練習だ。ただ、無理はしないように。ちゃんと陸に上がって休憩を挟むように。】

男は、少女を肩に乗せると、何処かに行ってしまった。

私達は、黙々と練習を続ける。
やがて、昼頃になって、浜辺で休んでいると、男と少女が戻ってきた。
男の手には大きな鍋が、少女は、4人分の食器とパンを抱えている。

【漁師鍋を作ってきた。】

相変わらずコイツの料理は美味い。
少女は、当たり前の様に男の膝に座り、
これでもか?とおかわりをしている。
マリーナと私も負けずにおかわりだ。

お昼ご飯の後、ちょっと休憩した後、練習の成果を確認された。

私は、今朝よりも長く潜ることができる様にはなったが、距離は変わらない。

(おねーちゃん溺れてるの?)
真顔で少女に言われた。

その日の練習は、そこまでとなった。

翌日、浜辺に集合して、昨日と同じ練習かと思ったら違った。

【今日は、海には入らない。今日は、走るぞ!】

男がいきなり走り始める。
少女が直ぐにその後を追った。

私は、マリーナと顔を見合わせた後、走り始める。

速度はゆっくりだが、走る。走る。走る。

気がつけば、遠く離れた岬付近に来ていた。

「もうだめ。」
私とマリーナは、大の字に横になった。

男と少女は、ケロッとしている。

少しの休憩の後、今度は、もと来た道を走って戻った。

これからしばらくは。毎日、朝夕の2回繰り返すらしい。

私とマリーナは、その場に突っ伏した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

異邦闊歩ー島流しされて着いたのは、未知の世界でしたー

勇崎シュー
ファンタジー
大切な事を 忘れてしまった気がするーー。 記憶喪失の少年、ノギワラ・シンベイは、携えていた刀や剣技を駆使し、異世界の魔物や悪者達と渡り合って往く。 そして、何故記憶を失ってしまったのか、失った記憶には何が映されていたのか。世界に散らばる手掛かりを頼りに、自身の真相に迫っていく……。 刀剣浪漫劇、開幕。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

処理中です...