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第1章 勇者を探して
第21話 少女との出会い
しおりを挟む私達は、やっと、ルトに到着した。
町の入り口では、大勢の人々がいた。
中には、赤子を抱えた母親がいる。
疫病に侵されているのだろう。
私は、馬を降り親子の元に駆け寄ると
赤子に光魔法を放つ、赤子の身体が光輝き出す。
やがて、光が収まると安らかに睡る赤子の姿があった。
母親のお礼を受けている間にも、次々と子供を抱えた人々が押し寄せて来た。
私は、次々と子供達の治療を行う。
男とマリーナは、押し寄せる人々を1列に並ばせていた。
まだ、町の入口で町の中にも入れていない。
私は、懸命に治療を続けた。
人々の列は、一向に減る様子は無い。
やがて、夜になりそして、あたりが明るくなり始めた頃、やっと、列の終わりが見えてきた。後、もう少しと思ったその時、私は突然倒れた。
倒れ込んだはずなのに、誰かに支えられた。
【全く無茶しやがって】
私が意識を失う時に優しい声が、聞こえた。
私が意識を取り戻したのは、神殿のベッドの上だった。
(やっと、気が付きましたか?)
「マリーナ?」
(良かった)
「私、どうしてたの?」
(治癒魔法の使い過ぎで、魔力が枯渇して、3日間も意識を失っていたんですよ。)
「3日目? 直ぐに行かないと。杖、杖はどこ?」
(駄目です。まだ安静にしていてください。)
(疫病の治療の事なら、大丈夫です。女の子がマリアの代わりに、治療を行っています。)
「どうゆうこと?」
マリーナは、私が意識を失った後に何が起こったのかを説明してくれた。
それは、とても不思議な奇跡だった。
男は、倒れ込んだ私を抱き抱え神殿に運び入れた。
途中で杖が無い事に気付き、マリーナが取りに戻った。
町の入口に着いた時、落ちていた聖女の杖を、不思議な衣服をした黒髪の少女が拾い上げた。
すると、杖が金色に輝き出した。
少女は、驚いていたが、聖女の治療を真似て、患者に杖をかざすと、みるみる病気が治ったという。
それから、少女は、治療を続け、並んでいた人々を全て治療した。
それから、少女は、全ての孤児院、治療院を周り、全ての子供達を治療していった。
そして、やっと疫病騒ぎも落ち着いて来た。
今は、周辺の村々を周り治療をしていて、その治療に男も同行しているとの事だった。
私は、安静にして、素直に養生した。
何が、起こったのかわからないが、ひとつだけ思い当たる事がある。
とにかく、今は、少女の帰りを待つしかない。
翌日、少女と男が戻ってきた。
マリーナから、帰還の連絡を受けて、神殿の入口に行った。
少女は、男の肩に座っていた。
そして、その手には光輝く聖女の杖が握られている。
少女は、男の頭をポンポンと叩くと、男は少女をそっと地面に降ろした。
ずいぶんと仲良くなったようだ。
その様子に、まるで親子みたいだと、私は思わず微笑んでしまった。
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