95 / 121
23歳・白露 ー愛しいひとたちー
2.家族 -4-
しおりを挟む するとモー・キンムーが、ラー・キンムーに向かって言った。
「あれは金になるぜ、兄貴」
ラー・キンムーが口の端を上げてうなずいた。
「そうだな。いい土産になりそうだ」
俺は、そんなふたりを鼻でせせら笑った。
「ふん、俺からこれを奪い取れると思っているのか?」
ラー・キンムーが恍惚の表情を浮かべて言った。
「お前はつまらん小僧だが、ひとつだけ素晴らしいことがある。それは、お宝を持っているということだ!」
ラー・キンムーが言うなり、凄まじい勢いで俺に襲いかかってきた。
俺はすぐに蒼龍槍を後ろ手に引いて構え、間合いをはかる。
ここだ!
俺は力強く蒼龍槍を前に出す。
と、ラー・キンムーが待っていたかのように上に向かって跳び上がった。
蒼龍槍が空を切る。
と、その後ろにモー・キンムーが!
上からラー・キンムー、目の前にはモー・キンムーという二段構えの攻撃が迫る。
「死ねい!」
ラー・キンムーが上から真っ直ぐ指を伸ばした手刀でもって、俺を指し貫こうと試みる。
俺はすんでのところでそれを、ダッキングしてかわした。
頭のすぐ上をラー・キンムーの手刀が通り過ぎる。
だが目の前にはモー・キンムーが、俺の動きを予測していたかのように下段蹴りを繰り出していた。
俺はその足を、蒼龍槍で薙ぎ払おうと渾身の力でもって横殴りした。
すさまじい衝撃音と共に、モー・キンムーの右足が砕けた。
モー・キンムーがたまらず絶叫した。
「おのれ!」
弟の仇とばかりに、ラー・キンムーが踵を返して俺に襲い掛かる。
俺はすぐさま立ち上がり、振り向きざまに蒼龍槍を振るった。
再びの衝撃音が鳴り響く。
蒼龍槍はラー・キンムーの脇腹にめり込み、肋骨数本を葬った。
ラー・キンムーのけたたましい悲鳴が上がる。
俺は肺腑の中の空気を一気に吐き出した。
「ふう~」
「やりおるの。さすがじゃ」
俺の背から、バーン翁が語りかけていた。
俺は振替し、肩をすくめてみせた。
「なあに、大したことじゃないさ」
バーン翁が相好を崩した。
「そうかそうか。だがなかなかの相手だったとは思わないか?」
これには俺もうなずくしかなかった。
「ああ。こいつら、Sランクだと思う」
バーン翁がうなずいた。
「うむ。野良のSランクじゃな」
「Sランクってのは、数が少ないんじゃなかったのか?」
俺が抗議するように言ったことで、バーン翁が笑みを見せた。
「わしのせいじゃないんだから、文句を言うな」
「でもさあ、三人もだぜ?たぶんSランクっていっても、ぎりぎり合格ってところだと思うけど、それにしてもだぜ」
「まあそれに関しては、わしも興味津々じゃ」
「あれは金になるぜ、兄貴」
ラー・キンムーが口の端を上げてうなずいた。
「そうだな。いい土産になりそうだ」
俺は、そんなふたりを鼻でせせら笑った。
「ふん、俺からこれを奪い取れると思っているのか?」
ラー・キンムーが恍惚の表情を浮かべて言った。
「お前はつまらん小僧だが、ひとつだけ素晴らしいことがある。それは、お宝を持っているということだ!」
ラー・キンムーが言うなり、凄まじい勢いで俺に襲いかかってきた。
俺はすぐに蒼龍槍を後ろ手に引いて構え、間合いをはかる。
ここだ!
俺は力強く蒼龍槍を前に出す。
と、ラー・キンムーが待っていたかのように上に向かって跳び上がった。
蒼龍槍が空を切る。
と、その後ろにモー・キンムーが!
上からラー・キンムー、目の前にはモー・キンムーという二段構えの攻撃が迫る。
「死ねい!」
ラー・キンムーが上から真っ直ぐ指を伸ばした手刀でもって、俺を指し貫こうと試みる。
俺はすんでのところでそれを、ダッキングしてかわした。
頭のすぐ上をラー・キンムーの手刀が通り過ぎる。
だが目の前にはモー・キンムーが、俺の動きを予測していたかのように下段蹴りを繰り出していた。
俺はその足を、蒼龍槍で薙ぎ払おうと渾身の力でもって横殴りした。
すさまじい衝撃音と共に、モー・キンムーの右足が砕けた。
モー・キンムーがたまらず絶叫した。
「おのれ!」
弟の仇とばかりに、ラー・キンムーが踵を返して俺に襲い掛かる。
俺はすぐさま立ち上がり、振り向きざまに蒼龍槍を振るった。
再びの衝撃音が鳴り響く。
蒼龍槍はラー・キンムーの脇腹にめり込み、肋骨数本を葬った。
ラー・キンムーのけたたましい悲鳴が上がる。
俺は肺腑の中の空気を一気に吐き出した。
「ふう~」
「やりおるの。さすがじゃ」
俺の背から、バーン翁が語りかけていた。
俺は振替し、肩をすくめてみせた。
「なあに、大したことじゃないさ」
バーン翁が相好を崩した。
「そうかそうか。だがなかなかの相手だったとは思わないか?」
これには俺もうなずくしかなかった。
「ああ。こいつら、Sランクだと思う」
バーン翁がうなずいた。
「うむ。野良のSランクじゃな」
「Sランクってのは、数が少ないんじゃなかったのか?」
俺が抗議するように言ったことで、バーン翁が笑みを見せた。
「わしのせいじゃないんだから、文句を言うな」
「でもさあ、三人もだぜ?たぶんSランクっていっても、ぎりぎり合格ってところだと思うけど、それにしてもだぜ」
「まあそれに関しては、わしも興味津々じゃ」
16
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
Sweet☆Sweet~蜂蜜よりも甘い彼氏ができました
葉月めいこ
BL
紳士系ヤクザ×ツンデレ大学生の年の差ラブストーリー
最悪な展開からの運命的な出会い
年の瀬――あとひと月もすれば今年も終わる。
そんな時、新庄天希(しんじょうあまき)はなぜかヤクザの車に乗せられていた。
人生最悪の展開、と思ったけれど。
思いがけずに運命的な出会いをしました。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる