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23歳・立秋 ー混ざり合い、重なるー

3.love affair ・その記憶は -2-

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ーーー…すりすり…と、頬を撫でられる感触。


指先から伝わる、感じたことのある温もり。なんだか心地よくて、ふと、目を開ける。



「……ん……………」



「夕人?……良かった。
大丈夫か……?」



目の前には、心配そうにこちらを覗き込んでいる、速生の顔。




ーーーあれ……?……速生……。



「ーー…え………?
ここ、……どこだっけ……
おれ、何して……」


「えっ……?
ゆ、夕人ってば~~何言ってんだよ?
さては照れ隠し?」


ポカンと目を見開き不思議そうな顔の夕人の言葉に、速生は冗談めいて笑って見せる。



「………………」


「ーーーーーえ?ゆ、ゆうと?」
 


ーーーはっ。



「あっ……あれ?俺、いつ寝たんだっけ?
えっ!?外,真っ暗じゃん!いま何時?
………速生、仕事は?
いつ帰ってきたんだ?」


「えええぇえ!?
ちょちょちょっと、夕人さん……?
何言ってんだよ、本気??
ーーーマジのやつなの!?」 


(記憶ぶっ飛んでるじゃねーか!!
なんで!?激しくしすぎたせい!?
ど、どうしよう!夕人!)


「びょ、病院ーー…!救急、?いや、けど…
な、なんて説明すれば…?
そもそも何科だ?……あわわ、ど、どうしよう」


青ざめて慌てふためく速生を不思議そうにじっと見つめて、夕人はとりあえず大きく深呼吸する。

そしてベッドから降りようと掛け布団を身体からめくったときーー…、



「ーーーげっ!?
……え、俺、まっぱ!?」


全裸の自分に驚いたのも束の間、片脚を動かした瞬間。

腰から臀部にかけて、『ズキズキズキ!!』とまるで電流がながれるような痛みが全身に走った。


「あうぅぅ………!!!」


声にならない声を上げて、もう一度ベッドにどさぁっとなだれ込む夕人。




その瞬間、すべてが頭の中にフラッシュバックする。


約3時間前ーー…

明々と電気のついたこの速生の部屋、このベッドの上で行われた、それはもう濃厚なR18指定な出来事たちが……。








「ーー!…うっうわぁぁぁあぁ!!!
速生……!おっおまえ…さっきはよくも、俺にあんなことやこんなこと……!
うっ!!
……うあぁぁ、痛いよぉ……ズキズキする…」


(あ、良かった……。いつもの夕人だ……)


泣きそうな声で腰とお尻を押さえる夕人を見てホッとしつつ、速生はベッドの縁にゆっくり腰掛けた。


「大丈夫?ごめんな。あんなに激しくしちゃって……。
だって、夕人がエロエロすぎて、もう我慢できなくて……」


そう言って痛そうに手で押さえている腰にふれようとすると、夕人は身体を仰け反り「さわるな!」と目で威嚇する。

まるで毛を逆立てて“フーーッ!”と怒る子猫のように。


「黙れバカッ!
じ、自分だけちゃっかり着替えてるしっ…!あっシャワーまで浴びたな!?
なんでそんなピンピンしてんだよっ!
うっ、、!声が響くっ…痛いぃぃいいぃ…」


ーーーあんなに俺に散々激しいこと、あれやこれやしておいて…。
ダメージ受けてんの俺だけじゃん。
不公平だ……


「あ、あの…なんか、ごめんな?
代われるなら代わってあげたいけど…。
無理だしぃ……。」


一見心配をしているようにみえる速生の表情のなかに、どこか、“してやったり”と言いたげなSっ気溢れる含み笑いを感じて……悲鳴を上げ続ける腰とお尻がさらにズキズキと痛む。


「ど、どうしてくれんだよ!このままじゃ…
立てないじゃねーか!ーーっう!!
ぅあっ…、いまピキッてなった……うぅぅ」


「あ、じゃあ、抱っこでお風呂つれていこうか?
背中流してやるよ。
ーー……あぁ、一緒にお風呂かぁ……、また興奮しちゃうかもだけど…」

「ひいいいぃ」



ひとまずなんとかして服を身に纏った夕人。

痛む下半身を撫でながら、薄暗い部屋の中キャビネットの横に置かれた電子置き時計に目をやる。



ーーもうすぐ22時か…。
俺、結構寝ちゃってたんだな……ほんと、全然記憶がない。



「ーーーまだ、電車あるな…」

夕人が呟くと、速生は「えっ」と声を出す。


「ーー泊まっていかないの?
夕人、せっかく今日の予定キャンセルになったのに……?」


「あ、あー…それは本当、たまたまだからさ。
泊まるつもりで来てないから着替えとか何も無いし、仕事も残してきちゃってて……。
どうしようかな…。」



帰るのしんどいな、と思ってしまった。

というよりも、このまだ少し身体を動かしただけでズキズキ痛む下半身を引きずって、果たして1人で電車に乗れるかも不安だ。


まだ一緒に居たいという気持ちはもちろんあるし、速生から”帰ってほしくない”という想いもひしひしと感じる。


だけど、今日。 
この時間を作りたいが為に置いてきたいろんな責務を後回しにしてしまって、後で痛い目を見るのは結局のところ自分なのもわかっていた。




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