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23歳・立秋 ー混ざり合い、重なるー

2.▽-3-

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気付くといつのまにか、履いていたはずのテーパードパンツが速生の手により脱がされ下着姿になっている自分に驚く。

「頭、上げて。ほらーー」

捲り上げられていた薄手のランニングシャツすら剥ぎ取られ、首元にまた速生の顔が戻ってくる。

耳の下をちゅうっ、と強く吸われ少し噛んで皮膚を唇で引っ張るように、わざとらしく目立つように赤々しい跡を付けそれを確認すると、顔を上げて上から見下ろす。

夕人の全身を、まるで自分の所有物のように、たくさんしるしを付けたその身体を。

満足そうに眺める。


「ああーーー…夕人、綺麗だ……。
全部、俺のだよ。
大好きだ…」



吸い付いては、舌で撫でて。

腋の下、少し薄肌に浮き上がる肋骨のあいだ、腰、臍の横。全身を舐め回すように、少しずつ、下半身へ移動していく。

「ぁっ、……だ、だめ、っ…
ん、汗っ……きたないっ……いや、っ」

「綺麗だって言ってるだろ?
全部…俺のだから、やめないよ。
ああ、大好き…」 



そう言うと速生は、夕人の左腕を掴んだ。



「………………ちゅっ…」


の傷跡。肘から手首まで続く鋭い線を描いた切創の跡に、そっと、口づける。



「な、なにしてっ……はや、みっ、…?
そこ、だめ、……っ
気持ち悪いから………」


「ーーそんなわけ、ないだろ……」


何も悪くないはずの夕人がなぜ、いつまでもこの傷に囚われ続け、まるで十字架を背負うように自分で自分を“気持ち悪い”などと言わなければならないのか。

間違ってる、おかしい。
そしてそう言わせてしまう、過去の心の傷跡トラウマを払拭させてあげられていない自分にも腹立たしさを感じてくる。



「こんな時に、言うことじゃないかもしれないけどーー…。
俺,絶対、一生………夕人を守るから。
誰にも触れさせない。
ーーーだから、絶対離れないで。
俺のことだけ見ててよ。……いい?」





すべて、愛したい。

どんなに小さなことだって見逃すことなく、全て、知っていたい。

そして、
夕人のどんな部分だって、余すことなくすべて愛していると。

ちゃんと、わかっていてほしいんだ。




その気持ちを込めてーー…
左腕の手首を唇で撫で、手の甲へ、口付ける。


「んっ………、うん…。
離れ,ないよ………。
この前、…玄関そこで、俺、
“一緒にいて”って、言ったじゃんーー…」


涙で濡らした瞳でみつめて、小さく返事をした。

すこしずつ、素直になれるような気がするのは,いとしい気持ちが日に日に増していくから。



ーーーこんな姿で、こんなことされてる最中に自覚することじゃないけど……


そう思いながら速生を見つめると、とても複雑な表情で見つめ返された。



その表情かおは、夕人へのあふれる愛しさを噛み締めて……苦しくてしかたなくて。



ああ。いとしい。

愛らしくて、無自覚で、あざとくて、

ずるい夕人。



やっぱり、滅茶苦茶にしてやらないと気が済まない。

 







「……なんだよ、玄関そこでのこと、やっぱり覚えてるんじゃん。
忘れたふりしちゃって、ずるい夕人。
ーーーお仕置きだな」

「えっ……?
……あっ…!…」


太腿を思い切り掴まれ,ガバッと脚を無理矢理開かされる。

「や、っ…ちょっ、と!!
あっ、!待っ…」

「だから、“待て”禁止だって。
何回言えばわかるんだよ?」


腰を浮かせるように両脚を持ち上げられ強い力でぐぐっ、と押さえ込み、内腿から下着の中へ、速生の右手が少しだけ侵入する。


「あ……!、っや、……ん、っ…!
だめ、ぃや、…ぅっ…、」

陰部に触れないよう、ぎりぎりのところを指先でするする、と撫でて、脚の付け根から骨盤、お尻、腰にかけて。
曲線を描く夕人の華奢で綺麗な身体のラインを手のひらで撫でて、焦らしながら…愛しさが伝わるよう、優しく、ふれていく。


「すごい、勃ってるよ……夕人の、ほら。
なぁ、ずっと感じてたんだろ?
“いや”とか言いながら…こんなにしちゃって。
やらしいなぁ……もう」

「あ……、だ、だって…そ、そんなっ…
違う、ばか、…っぁ、ぃやだ……っ」

「何が違うの?
だってここ、ほら、パンツのとこまで濡れてる……ぬるぬるじゃん…。
ほら、脱げよ」


減らず口を叩く余裕がまだ残ってるんだな、もう少し辱めてお仕置きしてやろうか、と、いろんなことを考えながらーー…夕人の下着をするりと奪い取った。


「ーーっ!……ぅ………っも、やだ…
は,ずかしい……っ…」


明々と電球で照らされた部屋の中、夕人の下半身が露わになる。

気付けば窓の外は日暮れ、薄暗いカーテンの向こう。誰かから見られていたらどうするのか、とあり得ないことを考えて、わけもわからず動揺する。

自分の身体のすぐ上で、なめるように全身を見回してくる速生の姿に……
恥らいを堪え、顔を真っ赤にして涙で濡れた頬を左手で庇う夕人。


少し震えながら、次は何をされるのかと怯えているその様子に……速生はまた我を忘れそうになる。


「ダメ、隠すなよ。
ほら、全部見せて」

「ーー…んっ、んぅ…っ…」

手首を掴み顔から退かし口付ける。

キスをしてやると無意識のうちに安心するのか、一瞬身体の力を抜き受け入れる素振りをみせる夕人に、さらに昂り、いとしさ余って、また舌を強く吸い歯を立てて、痛みを与える。


まだまだ、油断するなよ?と教えてやるように。







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