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ORDER-2 ホワイトソーダ
3.福々ホールスタッフ・真野と篠原
しおりを挟むこの居酒屋・福々は大手チェーン店のフランチャイズ。店の面積は広く、席数も多い。
居酒屋と言っても昼間も開店しており、遅めのランチや昼下がりの女子会として利用されることも多々。
メニューも豊富で、取り扱う酒やドリンクの種類も多く、一帯ではかなりの人気店。
予約が途切れることはなく、店内は常に賑々しく客足が絶えなかった。
よって配置されるスタッフも多い。
調理専属の社員、調理補助のアルバイトスタッフ。
ホール内の客動員の流れを読みスタッフに指示を出すフロアマネージャー、
そして、客からオーダーを取り料理を運ぶ、接客仕事をメインで担うホールスタッフの深月と篠原たち。
平日夜といえど人気のチェーン居酒屋。午後7時を過ぎたあたりから一気に店内は賑わい始める。
「ご新規4名様ーー5番テーブルお通ししますーいらっしゃいませーー」
店の出入り口で新規で来店した客を受け付けて、席へと誘導・案内する深月。
低過ぎないよく透る声が店内に響き渡る。
通路を歩き持ち場に戻っていると、別のテーブル席へと料理を運ぶ篠原とすれ違う。
「…………」
ーーちら、と横目に視線をやってみると、そこにはぎらつかせた目でガン見する篠原の顔。
”深月くん今日も働く姿素敵だよ。超セクシーだよ。声よく透るしめっちゃ聞きやすい、ずっと聴いていたいよ、ああ深月くん。好きだよ深月くん、僕の深月くん。もっとこっち見てくれないかな深月くん。”
すれ違いざまになんだかそんな声が聞こえてくるような気がする。
(えっうわ……篠原、顔やばいよ、怖い。いまバイト中だよ!気づいて!)
少し引き気味に目で合図してみるが気づかない。というより視線を送るのをやめる気ゼロ。
深月へ熱々な視線を注ぎながら料理を運ぶ篠原。
片手の上に乗せた丸型トレー、梅酒サワーと若鶏の唐揚げがカタカタ震えている。
ーーよく料理落とさないな、……と内心ヒヤヒヤしながらも、ふと思う。
(なんだかーー…気付かなかっただけで、もしかして今までもずっとこんなふうに視線送られてたのかな…。)
「…………」
赤面する深月。
いくらアルバイトと言えど立派な労働。仕事とプライベートの分別は弁えてるつもり……のはずだが、柄にもなく。
なんだか顔がニヤけてしまいそうで、首をふるふると振りながら厨房の前、ホールスタッフの待機場所へ戻る。
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