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23歳・夏至 ー邂逅ー
2.迷子で泣いてるこの心
しおりを挟む「夕人は、どの辺に住んでんの?この近く?」
次の言葉を探しながらただ黙っていると、速生からの問いかけが投げられる。
ーーー案外、普通に聞くんだな、と思った。
「ーーーS駅の近くだよ。ここからだと、少し距離あるかな…」
「そっか……。じゃ、あまり遅くならない方がいいよな?」
“明日も明後日も休みだから大丈夫だよ”と言いそうになって、口をつぐんだ。
ーーー何が大丈夫なんだ?それだとまるで、
まだまだ一緒にいられるよ。
もう少し一緒にいたいよ。
なんて思ってるみたいだ。
ーーーああ。もう、しんどい。
頼むからそういう返事に困ることを聞くのはやめて欲しい。
酒の酔いが醒めてきたのか、逆に、まったく冷静になれなくて。
速生のすぐ横で、「どうしたらいいの?」とずっと頭の中が、迷子になっている。
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