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23歳・夏至 ー邂逅ー
1.この耳が覚えている、その、君の
しおりを挟む車側の信号が黄色に点滅し、赤へ変わる。
速度を緩めていく車は次々と停車し、横断歩道の道が開けていく。
そして、視線の先にいた速生らしき人物は、顔を上げた。
真っ直ぐ、目の前のこちらを見つめてーー…
その瞬間、目が合う。
ーーーーードクンッ
心臓がまるで飛び跳ねるように鳴った。
『♪ーーー♪~~~♪~♪ーーーー…』
青信号の補助音が鳴り響き、一気に押し出されるように前へ進む人々。
「ーーーーだめだ………」
夕人は呟いた。
すぐさま振り返り横断歩道を渡らず、駅とは反対方向へ、走り出す。
まるで、逃げるように。
その時、
走り出した瞬間。
声が聞こえた。
何度も聞いたーー…あの、聞きたくて仕方なかったあの、声が。
「ーーーーー……………夕人っ!!」
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