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18歳、立春 ー別れー
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しおりを挟む『………夕人。
ごめん。もう、俺の声なんか聞きたくないと思う、けど………
どうしても。
伝えたいことがあるんだ。聞いて………?』
電話越し、久しぶりに聞いた、速生の声。
愛しくて、ずっと聴いていたい………低くて、いつも優しかったその声は、何かを堪えるように、言葉を詰まらせるように掠れていてーーー…
胸が、張り裂けそうに痛い。
『俺…………
夕人が俺のこと嫌いでも…ほんと、夕人のことが、大切なんだ。
ごめん、あの時。
好きだとか言って、キスとか、いろんなことしてーー…気持ち悪いよな、ほんと、ごめん……
でも、だけど…』
ーーーバカ……じゃねぇの。
速生、なんで、お前が謝ってんだよ………
『…でも、大切に思ってる気持ちだけは……忘れないで欲しいんだ。
ーーーー夕人。
東京行ってもさ、絶対、無理、すんなよ。
体、気をつけて……ちゃんと、飯食って……
ーーーっ……』
なぁ、速生、お前に俺が何言ったのか、どんなこと言ったのか………忘れたのかよ。
最低な俺の、
心配なんか…してんじゃねぇよ………
『ーーーっ……ごめん。
やっぱり、最後だから、言わせて。
好きだ。
大好きだ………夕人』
「ーーーーーーっ……」
涙がとめどなく溢れて、止まらない。
『夕人。
一つだけ、忘れないで欲しい…。
ずっと、大事に思ってるから。応援してる。
だから、頑張れ。
元気でな……夕人………………。』
速生。
いやだ、切らないで。
本当は、俺………………
「………っ、はや………………っ…」
『夕人。
………大好きだ、愛してるーーーー』
『ピーーー、録音メッセージは以上です』
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