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17歳・霜降 ー告白ー
2.好き、とは -1-
しおりを挟むそこからは、もう、ほとんど記憶になかった。
バスに乗り学校へ戻って荷物を取り、家に帰宅する。
その間、頭の中は真っ白だった。
ーーガチャ………
「ーーー夕人、お帰りなさい。遅かったわねぇ、文化祭の準備?」
「……………………うん」
母の問いかけもほとんど耳に入って来ず、ただ、ふらふらと自室に上がる。
「うわ………痛っ…………」
人生初と言っていいほどの全速力疾走に身体は随分と堪えたようで、今頃になって、全身が痛み始めた。
ーーーあれ、俺………、さっきまで、何してたんだっけ………
図書館へ行き、救急車を追って一生懸命走ったことも、病院に駆け込んだこと、すべてーーー
つい先刻の出来事にも関わらずまったく実感がなく、まるで夢を見ていたような、不思議な感覚。
汗で湿った制服を脱ごうとして、震える手で胸元に触れた時ーーー…ふと、思い出す。
誰もいない病室。
後ろから抱きしめられた時の、速生の腕の力強さ。
耳元にかかる吐息。
頬に触れた、大きな手。
今までに見たことのないほどの真剣な眼差しで、見つめられーーー……
唇と唇が触れてしまいそうなほど、近付いた。
『夕人、好きだ』
速生が………俺のことを、好きーーーー?
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