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17歳・霜降 ー告白ー
2.走る
しおりを挟む館員の話を途中で遮り、夕人は図書館から走って出た。
自動ドアをくぐって歩道へ飛び出し、あたりを見回す。
ーーー速生………っ!!
人だかりの方へ駆け寄り、心配そうに事故現場を眺めている年配女性に声をかける。
「あのっ……!
救急車っ……ここで事故に遭った人ってどこの病院に運ばれたかわかりますか!?」
「え……たしか、市立総合病院って聞いたけど……あ……っ結構遠いわよっ!?」
夕人はすぐさま走り出した。
冷や汗が止まらない。
胸が締め付けられて痛くてどうしようもなく、頭の中は真っ白で、ただ、早く病院へ行かなければと、その思いだけで一生懸命走る。
「はぁ、っ……はぁっ……はぁっ」
市立総合病院なら、何度か健診で行ったことがあるため場所は知っていた。
ここからだと5km以上は優にある。走ってすぐに着く距離ではないのもわかっていた。
空はオレンジ色に染まり、夕焼けがあたりを照らす。道路は帰宅ラッシュにより車で混雑していた。
バスやタクシーに乗る暇なんてない。
ーーー速生………っ‼︎
事故なんて……どうして……っ!
長距離走はおろか、今までに、こんなにも全速力で走ったことなどあっただろうか?
すれ違う人々が振り返り夕人を見ても、そんなことは全く気にならない。
「ーーはぁっ……はぁっ……はぁっ…」
走ることに慣れていないせいか、脇腹が痛くなり始め、胸が苦しく呼吸を一定のペースで保てない。
ーーー俺のせいだ………速生……
どうしよう、速生に、もし何かあったら……俺………
「はぁっ、…!はぁっ!…っ……はぁっ」
まるで喘息の発作の時のように、呼吸がどんどん細くなっていく。
苦しい、息が止まりそうだ。
まるで首を絞められているのかと思うほどに。胸が引き攣りそうで仕方ない。
それでも夕人は足を止めなかった。
不安で、怖くて、つらくて、どうにかなりそうでーー……とにかく、早く、速生のもとへ行きたい、その一心で、苦しいと叫ぶ身体を引きずって、とにかく、前へ前へと走り続けた。
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