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15歳・啓蟄 ー傷跡ー

2.君とならきっと

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夕人が家を出ると、速生が家の前で待っていた。

「おはよ!
じゃ、行こうか?」

時計は11時前を指していた。卒業祝いのパーティ開始は12時からで、11:50までに入場・時間厳守、と聞いていた。

食事の準備の関係もあるが、セキュリティの関係上、出席者の把握には時間を守らないといけないという理由には納得ができた。


「俺、パーティとか初めてでさ…父さんのスーツ借りて着て来ようか迷ったんだけどな~…夕人も結構ラフな格好で安心したよ」

「すっ…スーツって…お前、別に主役じゃないんだからさ。そんな…結婚式でもあるまいし」


夕人が速生の言葉に笑いを堪える。


「んだよ、今日の主役は全員だろー⁉︎卒業祝いっつったら、みんなの祝いじゃん!
なんだよ夕人、俺のスーツ姿見たくねぇの?」



その言葉にふっ、と鼻で笑って、

「スーツ姿拝むのは…就活の時まで、とっといてやるよ」


またしても夕人の言葉にげっ…と青ざめる速生。



ーーま、スーツが似合うのはわかってるよ。

夕人はそう心の中で呟く。




速生について歩く夕人は、近くのバス停で足を停めた。
そしてふと気になったことを速生に聞く。


「なぁ…バスでどこまで行くの?
会場って…そのレストラン、どこの近く?」


「え?あぁ、〇〇駅の近くだよ。駅地下のBARを改装したレストランだって」



「え、ーーーーー駅?」



「え、言ってなかったか?今からバスで最寄りまで出て、電車に乗り換えて行くんだけどーー…」



………電車、使うのかーーー。



夕人は少し黙って、下を向いた。


「え、何かあったか?やっぱり行きたくない…とか?どうした?」


夕人の深刻そうな表情を見て、速生が慌てて話しかける。



ーーこれ以上、そんなことで、気を遣わせるわけにいかない……。



大丈夫、大丈夫だ。



「いや、何でもないよ。
わかった、じゃあ、乗り換えだなーー」

「ーーー……?」



速生は不思議そうに、夕人のその何かを思う神妙な横顔を見つめた。


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