無敵の力で異世界無双~ただし全裸~

みなみ

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偶像~VSマリーちゃん親衛隊~

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 レリスにマリーと呼ばれたそいつは、しぶしぶ頭からすっぽりかぶっていたローブを脱いでいく。
 妹のカレンと同じ金髪を両サイドで三つ編みにし、顔は野暮ったい眼鏡をつけていてそばかすも見えるがそれなりに整っていて、さすがは貴族の娘と言ったところではある。
 だがそんなものを全て吹き飛ばす恐ろしい物が、顔から下についていた……。

(でかっ!!!!)

 なにがでかいって? そんなの言わなくてもわかるだろ?
 しかし不必要にでかすぎるな……俺としてはもう少し身体のバランスにあった大きさのほうが……。

「シューイチ様?」
「お前らがここにあの薬を隠していきやがったのか!?」

 レリスからの心底冷たい視線耐えられなくなったので、無理やりシリアスな雰囲気を作り見事に誤魔化すことに成功した。

「……シューイチ」
「なんでお前さんは哀れんだ眼をしながら俺の肩に手を置いてんだよ?」

 ていうか俺が悪かったからあんまりそういう方面でいじめないでくれ、泣いちゃうから。

「くっくっ薬ってなんのことですか~!? そんなものは隠してないですぅ!!」

 嘘が下手すぎる。
 しかしなんかこう、無駄に甘ったるい声を出してくるなぁ……日本にいた頃に見たアイドルアニメを思い出すぞ。
 とにもかくにも、こいつらが犯人で間違いないみたいだな。

「マリー、あなたたち三姉妹が国中で指名手配されているのはご存知でしょう?」
「それはおかしいですぅ! マリーたちは何も悪いことしてないですよぉ!」
「「「マリーちゃんの言う通りです!!!」」」
「誰に何を吹き込まれているのかは知りませんが、大人しく投降すれば同学のよしみで手荒なことは致しませんわ」
「いやですぅ! マリーはロイ様の愛に応えるために自分の役目を果たすのですよぉ!」
「「「マリーちゃんの言う通りです!!!」」」

 外野がさっきから超うるせぇ。
 なんなんだよこいつら……親衛隊か何かか? アイドルの追っかけみたいな奴らだな。
 つーかこいつらもこいつらだが、このマリーもイラつく喋り方するなぁ……この数分で俺のフラストレーションがぐんぐん高まっていく。
 そしてやっぱりこいつもロイの奴に蠱惑されてやがるし。

「えっと……一応聞くけどお前らがアホなことしでかしてるせいで、兄であるケニスさんがお前らの尻ぬぐいさせられてるんだけど、それについて少しでも罪悪感があるなら今すぐこんなことはやめろ」
「ケニスお兄様がマリーたちの世話を焼くのは当たり前のことですぅ! 魔力もなく役にも立たない落ちこぼれのケニスお兄様が唯一できることをさせてあげてるのですからぁ、文句を言われる筋合いはないですぅ!」

 根本的に話通じねぇな……つーかグーで殴りたい。本気で。
 しかしカレンの時にも思ったが、こいつら三姉妹は基本的にケニスさんのことを下に見すぎなんじゃないのか? あの人が体質のせいでどれだけしんどい思いをしてるのかなんて、家族なんだから当然知ってて当たり前のはずなのに、それを支えるどころか馬鹿にして貶す始末だ。
 どういう育て方をされたら、ここまで性格が捻じ曲がるんだろう?

「あなたたちは昔からそうやってケニス様のことを下に見てますのね……あの人のおかげで自分たちが好き勝手していても見逃されていますのに」
「お説教なんて聞きたくないですぅ! レリスは昔から顔を会わせればそうやってマリーたちをバカにしてぇ!」

 いや馬鹿にはしてないだろ……お前らとケニスさんのことを思って色々と心を鬼にして注意してくれてただけだと思うぞ?

『なんていうか……こじらせてるわねぇ』
「これならまだうちの妹たちのほうが話が通じますわね……」

 レリスが目を伏せ、まるで頭痛を堪えるかのように額に手を押し当てた。
 心境的には俺もレリスと全く同じだ……ここまで話が通じないともしかして同じ言語で会話してないのかと思えてしまう。
 前にレリスが言っていたが、グウレシア家は立派な貴族だって話、それはケニスさんのそれこそ血の滲むような努力の賜物なんだろうなぁ。そしてこいつら三姉妹はそれを笠に着て好き放題と……これではケニスさんがあまりにも報われない。

「とにかく! ここから持ち出して行ったお薬を今すぐ返すのですぅ! あれはロイ様の崇高な計画の為に絶対に必要な物なのですよぉ!」
「……返すわけがないし、結局自分から神獣薬のことばらしてるし」

 フリルからの鋭いツッコミを受けて、マリーがしまったという顔をしながら一歩後ずさった。

「こうなったら実力行使ですぅ! カルマ教団の皆さん、やっちゃってくださいぃ!」
「「「マリーちゃんの敵は、我々の敵!!!」」」

 声を揃えて叫んだローブを被った教団の団員たちが各々の武器を構えてマリーの前に立ち並ぶ。
 つーかお前らにとっての崇拝の対象はあの邪神じゃないのかよ?

「結局こうなりますのね……まあ話が通じる相手だとは思っておりませんでしたが」
「教団の下っ端はぶちのめすのは当然として……あのマリーはどうしようか?」
「勿論捕まえて色々と情報を聞き出さないといけませんわね。マリーのことはわたくしにまかせてもらってもよろしいでしょうか?」
「何の心配もしてないけど、一応気を付けてね?」

 俺の言葉に頷いて、レリスが再び剣を構えなおした。

「じゃあ俺が残りの三人を引き受けるか……フリル、久々に頼めるかな?」
「……うい」

 フリルが少し後ろに下がり魔力を少しずつ活性化させていくのに合わせて、俺も腰の剣を引き抜いた。
 正直こいつらにフリルの歌を聴かせてやるのは勿体ないが、俺の実力だと素の状態で三人を相手にするのはちょいとばかり厳しいからな。

「よし行くぞ二人とも! 戦闘開始だ!」

 俺の言葉を受け、フリルの歌が始まった事を合図に戦いが始まった。

「「マリーちゃんの敵は我らの敵!!」」

 三人のうち馬鹿正直に武器を構えてこちらに突進してくる二人を、身体強化を発動しながら冷静に分析する。
 一人は俺と同じ剣で、もう一人は槍か……近距離と中距離のペアね……それならまずは!

「プロテクション!」

 魔法による防御壁を、自分の目の前ではなく槍を構えて突進してくる男の目の前に出現させた。

「うおっ!?」

 案の定突然現れた魔法壁を前に、槍の男が驚きバランスを崩しその場でよろける。
 そちらに一瞬気を取られた剣の男へ向けて、俺は一気に距離を詰めた。

「なにっ!?」

 一瞬のことで驚愕し反応できないそいつの顔面に、渾身の右ストレートをぶち込んでやると、それだけで大きく後方に吹っ飛んでいく。
 フリルの歌魔法による強化状態といえ、自分でもびっくりするくらいの威力だ……。
 そして吹っ飛んだそいつは、少し後ろでまだ体制を整えられていない槍の男とぶつかり二人一緒に地面に倒れこんだ。
 その隙を見逃さず、今度はさらに離れたところで魔法を使おうと様子を見ていた杖の男へ狙いを定める。

「マジック・ニードル!」

 威力よりも発動スピードを重視したその魔力針は真っすぐ杖の男へと飛んでいき、あわや直撃というところで魔法による壁を張られて防がれてしまった。

「ビックリさせやがって! そんなものが通じるかよ!」
「思ってないけど?」

 その隙に杖の男の眼前へと迫った俺は、そいつへ向けて袈裟斬りしてやると鮮血をまき散らしながら絶叫し地面に倒れた。まずは一人っと。
 その時、後ろから二つの気配がこちらへ真っすぐ向かって来ているのを察知した。

「この野郎! やりやがったな!」
「隙だらけだぜ!!」
「隙をつきたいなら声に出すなよ」

 これがテレアなら何も言わずに冷静に隙をついてくるぞ?
 瞬時に魔力を活性化させた俺は、脳内に風をイメージする。

「エア・バースト!」

 俺から発生した突風の直撃を受けた二人が、またも吹っ飛んでいき建物の壁にぶつかって、打ち所が悪かったのか槍の男の方が意識を手放しうつ伏せに地面に倒れこんだ。これで二人目っと。

「ばっ化物!!」

 辛うじて耐えた剣の男が、ひどく失礼なことを叫びながら背を向けてこの場から逃げようと試みる。
 悪いけど逃がしはしない。

「パーフェクト・バインド!」

 以前ゴルマが使っていた拘束魔法を使い、逃げる剣の男の動きを止めた。
 素の状態の俺が使うとせいぜい2秒ほど止めるのが限界なんだが、フリルの歌魔法の強化状態の今の俺なら2秒もあれば十分だ!

「なっ!? 動けない……くっ来るなぁ!!」

 恐怖に顔を引きつらせたそいつの胸に向けて剣を横薙ぎにすると、先程と同じように鮮血をまき散らしながら仰向けに地面に倒れて気絶した。
 これで全員……っと。

「お疲れさんフリル、もういいぞ?」
「……ふー」

 フリルの歌が中断され、俺に掛かっていた歌魔法の強化が途切れた。
 うん、実にスムーズに片付いたな! 俺もそこそこ戦えるようになってきたということか。

「……もうちょっと歌いたかった。シューイチもう少し苦戦して?」
「お前さんは相変わらず無茶なことを言ってくるなぁ……エルサイムに戻ったらなんかフリルが存分に歌える方法を考えるよ」
「……言質取った。もし約束破ったら、テレアにあることないこと吹き込んでシューイチと口を利かせないようにするからそのつもりで」

 やめて! テレアに口をきいてもらえないとか死にたくなるから!!

「さてと……こちらは無事に片付いたけどレリスは?」

 フリルと共にレリスの方へ身体を向けると、壁際へとレリスに追い詰められて涙目になっているマリーの姿が目に入った。
 ……向こうは向こうで圧倒的だったみたいだな。

「降参しなさい? あなたは昔からなにかとわたくしに突っかかってきましたが、一度も勝てたことがないでしょう?」
「こっこっ降参なんかしないですぅ!! そっちこそ油断してると痛い目に遭うですぅ!!」

 ガタガタと震えながらも手にしたメイスをレリスに向けながら、マリーが叫ぶ。

『ここまで完膚なきまで追い詰められておいて、まだそんなことを言える度胸だけは認めてあげてもいいわね……』

 レリスの肩に乗っかっている朱雀が呆れたように呟いた。

「そもそもどうしてあなたはわたくしを目の敵にしてくるのですか?」
「そんなの決まってるですぅ! マリーの方が学舎で男の子たちからちやほやされる予定だったのに、レリスの方がちやほやされていたからに決まってるですぅ!!」

 THE☆逆恨み!
 ていうか、学舎ってのは多分学校とかそういう類の物なんだろうけど、そういうところは異性にちやほやされるために行くところじゃないだろ……どんだけ脳内お花畑なんだよ。

「別にちやほやはされておりませんでしたが……わたくしの記憶ではマリーの方が男の人の取り巻きが多かったと思うのですが……」
「あいつらは薄情ですぅ! みんなで楽しくおしゃべりしててもレリスが横を通り過ぎるだけで、あいつらの視線はみんなレリスに釘付けだったですぅ!! その視線はマリーだけが浴びればいい物なのですよぉ!!」

 一瞬何を言ってるのかわからなくて、つい隣にいるフリルを見るが、俺と顔を見合わせるなり小さく首を横に振った。うん、そうだよな!

「それは別にわたくしのせいではないと思いますが……」
「レリスのせいですぅ!! 運動も勉強も男の子たちの人気も全部マリーよりも上だったですぅ!! これはあってはならないことなのですよぉ!!」
「それならそれで、わたくしよりも上にいけるようにもっと精進すればよいだけの話でしょう? わたくしに間違った恨みを向けるよりも、なぜそれをしなかったのですか?」

 レリスの正論が突き刺さり、マリーが悔しさでわなわなと肩を振るわせる。
 まったくもってその通りだよなぁ……まあそれが出来ていればここまで歪んだ性格にはなっていないだろうと思うけど。

「もう許せないですぅ……ここで積年の恨みを晴らすですぅ!!」

 涙をまき散らしながらマリーが自身の胸の谷間に手を突っ込むと、そこからもはや見慣れた「例の物」を取り出した。
 そう……最近俺たちの間で話題の神獣薬である。
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