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王宮~思わぬ褒美~

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 エナが目を覚ました連絡を受けて、一座の仮設宿舎の一室へとやってきていた。
 俺は布団から上半身だけ身を起こしているエナに、事件の経緯と結果を細かく説明した。

「そうですか、無事に神獣を鎮めることが出来たんですね……本当に良かったです」
「被害も……まあ喜んでいいのか微妙だけど、一座テントが滅茶苦茶になっただけで済んだしな」

 神獣の全方位電撃でテント内のあちこちが焼けこげたり破壊されてしまったものの、ラフタさん曰く「このくらいならなんとか最後の公演までには体裁保てるくらいには直してみせるから大丈夫!」と言っていた。
 むしろ神獣や召喚された魔物が街を滅茶滅茶にする前に食い止められて良かったとまで言ってくれた。
 たしかに神獣なんて物騒なのが復活した……なんて割には最小限の被害で済んだことが奇跡的ではあるよな。
 ただ天井に空いた大きな穴は修復が間に合わないとラフタさんが嘆いていた。
 あれって確か俺が神獣を宇宙まで放り投げようとした時に出来た穴だったよな……申し訳ないことをしてしまった。


「エナはもう大丈夫なのか?」
「はい、ご心配をおかけしましたがもう平気です!そもそもただ寝てただけですしね」

 本当にただ寝てただけなのだろうか?
 叩いても揺すっても声を掛けても全く反応しなかったというのに。
 それと気のせいだろうか……エナの瞳が以前よりも赤みが増したようにも見える。
 きっと色々と聞かないといけないのだとは思う。
 この先もエナと一緒に仲間としてやっていくなら、知っておかないといけない事情というものはあるはずだ。
 だが踏み込んではいけない領域があるのもまた事実。

「なあエナ……フリルを回復させるのに使ったあれって、魔法じゃないよな?」

 だがそれでも知らなければいけないことは絶対にある。
 エナにとって答えづらい質問であることは十分承知の上だが、今後またエナがあの力を使わないという保証は絶対にない。

「そうですね……あれはなんというか……私にしか使えない力です。シューイチさんの言う通り魔法じゃありません」
「おいそれと使っても大丈夫なものなのか?」
「大丈夫とは言えませんね。使う力にもよりますが使えば大体今回みたいに行動不能に陥ります」

 やっぱりそうだよな……エナは寝てるだけと言っていたが、その寝ている状態が明らかに異常だったし。

「今回は使わないといけないと思ったからやむを得ず使っちゃいました」

 そう言ってエナが力なく笑う。
 今回は運よくなんとかなったものの、正直言ってあの状況でエナが行動不能になるのは痛い。

「もし今後あの力を使うことがあるなら、前もって相談してくれ」
「わかりました……ただ一つ言っておきますけど、基本的に私はあの力には頼ってはいないので今回が特殊なケースだっただけですよ?」
「まあ相手が神獣とかいう化け物だったからなぁ」

 この話はもうここまでいいだろう。
 本当はもっと突っ込んで聞かないといけない部分があるのだけど、ある意味ではエナも病み上がりだしね。
 だけどもし次に同じことがあったら、その時は……。

「エナお姉ちゃん!目が覚めたって本当!?」

 エナが寝ていた一座の仮設宿舎の部屋に、テレアとフリルが扉を開けて入って来た。

「……エナっち平気?」
「はいこの通りピンピンしてます!二人とも心配かけちゃってごめんなさいね?」
「エナお姉ちゃん全然起きないんだもん、テレアずっと心配してたんだよ?」

 テレアとフリルの乱入により、真面目な話をする空気でもなくなってしまった。
 正直さっきのような空気はちょっと苦手なので、今はこの二人の存在が少しありがたかった。

「……シューイチ……公演会場の修復も大分進んでる」
「そうかそうか!次の公演には間に合いそうか?」
「……間に合うと思う……ラフタがあとでシューイチにも手伝ってほしいって」
「わかった、エナも目を覚ましたことだし俺も手伝いに……」

 そう言いかけたところで、部屋の扉が開く。

「シューイチにーちゃんいるか?」
「ダックスじゃないか?どうしたんだ?」
「にーちゃんにお客が来てるぜ?なんか眼鏡かけた……」

 眼鏡……もしかしてクエスさんか?
 何の用だろうと思ったけど、どう考えても国からの呼び出しの件だろうな……。
 少しばかり気が進まないが行くしかないか……なにせ国を巻き込んだのは何を隠そう俺自身だしな。

「あとその眼鏡のにーちゃんがいうには、今回の件に関わったにーちゃんの仲間は全員連れてきてくれってさ!」
「全員か……エナ、テレア悪いけど……」
「はい大丈夫ですよ」
「テレアも大丈夫だよ!」

 フリルはどうしたらいいんだろうか?今回の件に関して言えば一番の功労者ではあるんだけど、正式な俺の仲間というわけじゃないしなぁ……。

「フリルはどうする?一緒に行くか?」
「……私は別に」
「ああ、フリルは絶対に来てくれて言ってたぜ」

 絶対ですかそうですか。
 あの神獣を鎮めた張本人だし、国が大人しく放っておくはずがないよな。

「そう言うことなら仕方ないな、フリルも俺たちと一緒に行こう」
「……うい」

 フリルが小さく頷いたのを確認し、俺たちは連れ立って部屋を出た。



「昨日はお疲れさん。さっそくで悪いけど王様から直々のお呼び出しだ」
「俺たち罰せられるんですかね?」
「罰せられるようなことしてないだろう?」

 俺の要望をかなり無理やり通した自覚があるからなぁ……王様がそのことで機嫌を損ねている可能性だって無きにしも非ずって感じ?

「決して悪い話じゃないだろうし、もし悪い話だったとしたら今ここで国を出た方がいいと進言してるよ」
「ですよねー」
「それじゃあ行こう。王様も忙しい時間を割いてまでこうして君たちと会ってくれるんだから待たせちゃ失礼だ」

 そうして俺たちはクエスさんの用意してくれた馬車に乗り込み、宮殿へと向かっていく。
 やけに内装が豪華な馬車なおかげで俺たちはその時点ですでに緊張がピークに達してしまった。
 そんな中フリルだけが平然としていたのを見て、その図太い神経を羨ましいと心底思いつつ、10分ほど馬車に揺られて、俺たちはリンデフランデの王宮へとやって来た。

「凄い建物だな……」
「そっそうだね……」

 テレアも緊張でがちがちになってしまっている。
 かくいう俺もすでに逃げ出したい気分だ。
 そう言えばライノスでもマグリドでも俺は城を見たことがないんだよな……マグリドに至っては王から推薦状までもらってるというのにおかしな話だよ。

「さあ、みんな降りてくれ」

 クエスさんはすでに慣れているのか、まったく緊張した様子など見せずに振舞っている。
 さすがはこの国の冒険者ギルドのマスターと言ったところか。
 クエスさんの後の続くように馬車を降りて王宮に足を踏み入れると、あまりにも豪華な内装や作りにただただ圧倒された。
 壁を見れば何やら豪華な額縁に入れて飾られている有名な画家が描いたであろう油絵が飾られているし、床に敷かれた絨毯はありえないほどふかふかしているし、そこら中に高そうな壺とか飾られているわで、目に入る情報量の多さに目が回りそうだ。

 ほどなくして俺たちはやたら大きく豪華な装飾を施された扉の前へとやって来た。
 扉の両脇にはこの王宮の兵士が一人ずつ立っていて、警備の厳重さが伺える。

「王の命により、此度の件に関わった者たちをお連れしましたので、王とのお目通りを願いたい」
「ご苦労であります!話は聞いておりますので、今扉をお開けしますね!」

 両脇に控えていた兵士の二人が扉の中央に移動して、静かにその扉を開いていく。

「どうぞ、王がお待ちです」
「あっどうもっす」

 丁寧なお辞儀をする兵士たちに対し、こちとら平民根性丸出しである。
 日本にいたころにこういうところに来る経験さえしてれば、もっと冷静に対処できるだろうが、生憎現代日本でこんな場所に来るような機会などなるはずがないのである。
 もう緊張しすぎて自分が何考えてるのかわからなくなってきた。
 そんな緊張に呑まれながら豪華な装飾の施された絨毯の上を歩いて行くと、クエスさんに止まるように促されたので俺たちは揃って立ち止まる。
 するとクエスさんが突然腰を下ろし片膝をついたので、俺たちもそれに習い片膝をつく。

「王様!先日復活した神獣の件に関わったハヤマ=シューイチとその仲間たちをお連れいたしました!」

 クエスさんのよく通る声が部屋に響き渡る。
 やたらと豪華な玉座に座る威厳たっぷりな王様が、その言葉に反応して顔を上げる。

「ご苦労であった……その方たち表を上げるがよい」

 王様に言われたので俺たちは顔を上げて王様を見る。
 玉座に座る王様はまさにこの国の王と呼ぶに相応しい威厳を持った、おひげの立派なおじいさんって感じだった。

「話は全てそこのクエスより聞いておる、此度の活躍誠にご苦労であった」
「ありがたきお言葉」

 こういう場に慣れているのであろうか?
 エナが特に緊張した様子もなく俺たちを代表して口を開いた。

「ふむ……ハヤマ=シューイチというのは其方かな?」
「あっはい、おれ……じゃなくて私です!」

 急に名前を呼ばれるとほんとビックリする。
 隠しきれない小市民っぷりに我ながら情けなくなるが、この圧倒的な威厳の前にはこうなってしまうのも仕方のないことだ。

「クエスから詳しい話を聞いておるぞ?神獣復活の件を事前に知って、それを阻止するために尽力してくれたようじゃな?この国のすべての民を代表して礼を言わせてほしい、ありがとう」
「もっ勿体ないお言葉えす!!」

 思わずセリフを噛んでしまった。

「はっはっはっは!そこまで緊張することはない!其方はこの国を救った英雄も同然じゃ!何も恥ずることはないぞ?」

 いやいやそうは言うがな王様。
 というか英雄とか俺に全く似つかわしくない呼ばれ方だなおい。

「そしてそこの娘が神獣をその歌で鎮めたというフリル=フルリルじゃな?其方も良くやってくれた!」
「……うい」

 こんな場でもフリルはフリルだった。

「そしてその仲間であるエナ=アーディスとテレア=シルクスの四人の活躍がなければ、この国は千年前の神獣復活の時のようになっておったかもしれぬ。改めて礼を言う……ありがとう」
「ありがたきお言葉」
「あっありがたき……お言葉です……」

 エナはともかく、テレアが可哀そうなくらい一杯一杯になってしまっている。
 元々そんなに精神的なキャパシティが大きいわけじゃないだろうし、俺だってさっさと用件だけ済ませて帰りたいくらいだ。
 こんな場所は俺には不釣り合いすぎる。

「此度の活躍に対し、其方らには相応の褒美を取らせたいと思っておる」

 いらない!褒美とかマジいらないからもう帰らせて!
 僕もう一杯一杯なの!

「あれを」
「はい」

 そう言って王様が傍に控えていた兵士に促すと、その兵士がなにやら豪華な箱を持って俺たちの下へと歩いてきた。
 兵士が俺の前に座り箱を差し出してきたので、頭の中で疑問符を浮かべながらそれを受け取った。

「えっと……これは?」
「この世界で一部しか流通しておらぬ、『通信機』と呼ばれる物だ。主に各国のギルドマスターに支給され、国と円滑に連絡を取るために利用されておる」

 いつだったか、「あるだろうな」と思っていた通信するためのアイテムを思わぬ形で手にしてしまった。
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