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復活~いい加減にしろ~

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 この世のものとは思えない、不気味な咆哮を上げながらそいつは閉じていた目を見開いた。

「なるほど……やはりこの歌には天使に施された封印を解除する力があるか……これは大きな進展ですね」

 蘇った神獣を見上げながらロイが何やら関心した様子で独り言のようにつぶやいた。
 そのおかげかはわからないが、重力魔法が解除されていたので、俺とテレアは揃って立ち上がりロイを睨みつけた。
 そんな俺たちに気が付いたのか、ロイは立ち上がった俺たちを見て笑みを浮かべる。

「あなたたちのご協力のおかげで神獣も復活させられましたし、私の目的達成に一つ前進することができましたよ!ありがとうございます!」
「てめえ!ふざけてんのかよ!?」

 激高した俺を前にしてもロイは全く笑みを崩す様子がない。
 再び俺は剣を構えなおし、より一層ロイを睨めつける。

「私の相手をしてる暇なんてあるんですか?そんなことよりもこの神獣をなんとかするべきなんじゃないんですかね?」

 ロイはそう言いながら、俺から背を向けて神獣を見上げる。
 幸か不幸か、神獣はまだそれらしい動きを見せるそぶりがない。

「……なるほど、これはちょっと私の手に負える代物ではありませんねぇ……まあ私のこの国における目的は達成できたことですし、ここらでお暇しますか」
「逃げるつもりかよ!?」
「私だって自分の命は惜しいんですよ?自ら望んで死にに行くようなことなんてしないに越したことはないでしょう?ああそうだ、せっかくなので……」

 ロイが指鳴らした瞬間、意識を奪われ茫然としていた観客たちが一斉に意識を取り戻しざわめき始めた。
 まさかこいつ、この状況下で自身の洗脳魔法を解いたのか!?

「あれ?なにやってたんだっけ?」
「おいなんだれ!巨大な亀がいるぞ!?」
「一座の新しい見世物かしら?」

 観客たちが口々に騒ぎ立てる中、突然糸が切れたようにフリルがその場で膝から崩れ落ちた。

「フリルお姉ちゃん!」

 倒れたフリルのもとにテレアが急いで駆け寄る。

「良かった……気絶してるだけみたい……」

 恐らくさっきのでロイの洗脳魔法が解けたのだろう。

「では私はこれにて……」
「おい待てよ!せめて一発殴らせろ!!」
「あなたが神獣を倒してこの騒ぎを鎮めることが出来たのなら喜んで殴られてあげますよ?ではごきげんよう」

 そう言ってむかつく笑みを浮かべたまま、ロイは転移魔法で俺たちの前から瞬時に消え去った。
 マジかよあの野郎、本当にこれだけの騒ぎを起こして、その責任を何も取らずに放置していきやがった!?
 俺は未だに動きの見られない神獣を見上げる。
 こんな巨大な亀、本当になんとかできるのかよ……?

「うぅ……あれ?アタシなにして……?」

 俺が少しばかり絶望的な気分に浸っていると、倒れていたラフタさんが目を覚まし起き上がって来た。

「……うわっ!?なんだこの亀!?」
「ラフタさん!神獣だよ!あのロイの野郎が封印を解いて放置して逃げていきやがった!」

 そびえたつ神獣を目にして驚愕の声を上げるラフタさんに、俺は今ここで起こった出来事を簡潔に説明した。

「これが神獣……」

 ラフタさんが目を覚ましたならやってほしいことがある。

「ラフタさん!起きたばかりで悪いけど、観客を避難させてくれないか?」
「そりゃ勿論だけど、アンタはどうするんだい!?」
「勿論……戦う!」
「これと!?本気で言ってるのかい!?」

 俺だって冗談で済むならそうしたいもんだがなぁ……。

「こいつがいつ動き出すかわからない!だから今のうちに早く!」
「まあたしかにアンタなら大丈夫かもな……わかった!観客の避難はアタシに任せな!最悪このテントぶっ壊しても構わないから派手にぶちかましてやんな!!」

 いいんだな?言質取ったぞ!? 
 観客席へと走り出したラフタさんを見送ると、神獣を取り巻いている黒い霧の一部が本体を離れて、神獣の顔面近くに集まっていく。

「ルオオオオオオオ!!!」

 神獣が耳をつんざくような咆哮を上げた途端、その黒い霧の塊の中から赤黒い蝙蝠のような魔物が数匹現れた。
 手下を召喚するタイプか!?面倒くさいなおい!?

「キイイィィ!!」

 甲高い鳴き声をさせながら、目の前の俺とテレアに蝙蝠たちが襲い掛かる。

「こんにゃろ!!」

 飛んできた蝙蝠を手にした剣を振り下ろすことで真っ二つに切り裂いた。
 スピード自体はそんなに速くもないため、俺でも簡単に倒せるようだ。

「ええーい!!」

 テレアも両手を重ねて、それをハンマーのように振り下ろし、蝙蝠を地面に叩きつけた。
 たったそれだけで、蝙蝠はまるで霧のように霧散して消えていった。
 最初こそびっくりしたが、この程度なら……。

「ルオオオオオオオ!!!!!」

 再び神獣の咆哮が響き渡ったかと思うと、眼前の黒い霧の塊から再び先ほどよりも多くの数の蝙蝠が召喚された。
 無限沸きかよ!!
 俺は襲い掛かる無数の蝙蝠たちをなんとか切り伏せながら、後方にいるテレアの元まで駆け寄った。
 ふとテレアの足元を見ると、フリルが倒れたままになっている。
 しまった……さっきラフタさんに一緒に連れて逃げてもらえばよかった!

「お兄ちゃんどうしよう!一匹一匹は全然強くないけど、このままだと数で押し切られちゃうよ!」

 蝙蝠を倒す手を止めないまま、テレアが俺に切迫した表情で言った。
 テレアの言うことはもっともだ……俺たちだけなら最悪逃げてしまえばいいが、こちらには動けないフリルがいる。
 テレアも俺の倍以上蝙蝠を倒してくれているが、あの亀が次々と蝙蝠を量産していくので全然キリがない。
 こうなったらもう大元を断つしかないな!
 覚悟を決めて俺は服を脱ごうと上着に手を掛けたが……。

「キキイイィィ!!」
「うわっ!危ねっ!!」

 服を脱ごうと無防備になった俺めがけて蝙蝠が群がってくる。
 剣を振り回し追い払うものの、こんな状況では呑気に服なんて脱いでいられない!
 テレアに守ってもらいながらなら?いやダメだ、テレアはフリルを守るのに手いっぱいだ!
 このままじゃテレアの言う通り、数で押し切られて全滅してしまう。
 せめてもう一人いれば……!

「シューイチさん!!」

 その時、逃げ惑う観客の波を掻き分けながら、エナがテントに姿を現した。
 そびえたつ神獣を見上げて、エナの表情が驚愕に彩られる。

「こっこれが神獣!?」
「エナ!ルーデンスさんは!?」
「大丈夫です!安全なところに避難させました!私も手伝えます!」
「よしじゃあ早速で悪いけど服脱ぎたいから俺の周りをあの防御魔法で囲ってくれ!!」

 我ながら何をアホなことを言ってるんだろうと思わなくもないが、服脱いで無敵にならないとどうしようもないので仕方がないのである。
 ガルムスのような小細工が通用する相手には見えないし、もうここは手っ取り早く無敵能力でなんとかするしかない。

「わっわかりました!フル・プロテクション!!」

 エナが魔力を活性化させて魔法を唱えると、俺の周囲にバリアー状の防御壁が張られた。
 蝙蝠たちはその結界を破るために、爪や牙を突き立てるもののその結界を突き破ることができない。
 この結界内ならなんとか服を脱いで全裸になれそうだ。

「エナ!テレアがフリルを守りながら蝙蝠たちと戦ってるから、そっちのフォローを頼む!」
「わかりました!!」

 エナが俺の横を駆け抜けてテレアと無事に合流したのを見て、俺は急いで服を脱ぎだす。
 人数が増えたとはいえ、このままボヤボヤしてたら数で押し切られて俺たちはお陀仏だ。
 折角蘇ったばかりなのに申し訳ないけど、早々に方をつけさせてもらうぜ!
 最後に下着ごとズボンを下ろし俺の準備が完全に完了した。

「結界を解いてくれ!俺のフォローはしなくてもいいから、そっちはそっちに集中するんだ!!」
「はい!!」

 目の前の結界が消えたのを合図に、俺は群がる蝙蝠たちを無視しながら神獣へと駆け出す。
 普通の人間相手に無敵状態で本気を出すと色々と危ないが、こういう相手だったら手加減なんていらない!
 身体強化を発動した俺は、その足で一気に飛び上がり神獣の顔面を視界に捕らえる。

「くらえっ!!」

 握りこぶしを作り、それを神獣の顔面に向けて叩きこんだ。

 パァン!!!!

 やたら軽快な破裂音と共に、神獣の頭が消し飛んだ。
 ……なんかやけにあっけなくないっすかね?
 そんなことを思いながら地面に着地して神獣の巨体を見上げると、頭があったところに例の黒い霧が集まっていき……。

「ルオオオオオオオ――――――――――――!!!!!!」

 咆哮と共にその黒い霧が神獣の吹き飛ばされた頭に成り代わった。
 その様子に俺は思わず茫然となる。
 再生するとか、そんなのありかよ……。
 ロイが「手に負えない」と言って逃げ出した意味がようやく分かった。

「それなら……!」

 俺は両手に魔力を集中させて、ガルムスが教えてくれた(語弊あり)例の魔力剣を作り出す。
 いや剣じゃだめだ……もっとこう……。
 悩む俺の脳裏に、先程のテレアが蝙蝠を倒した時の光景がよぎった。
 よし剣じゃない、ハンマーだ!!
 更にありったけの魔力をつぎ込んでいき、自分でもやりすぎなくらいの巨大な魔力ハンマーを形成した。
 一部分を倒しても復活してしまうなら……。

「全身叩き潰してやる!!」

 俺は再度身体強化を発動してテントの天井すれすれまで飛び上がり、神獣を見下ろす。
 そして俺は落下の勢いに任せて巨大な魔力ハンマーを神獣へと叩きつけた!

「ルゴオオアアアァァァ――――――――――――!!!!!」

 まるで断末魔の叫びのような咆哮を上げて、俺の魔力ハンマーに潰されたものの、今度は体全体が霧状態になったかと思うと空中で一つに集まっていき―――

「ルオオオオオオオ――――――――――――!!!」

 またもや何事もなかったかのように復活を成し遂げたのだ。
 その巨体が降り立った振動で地面にひび割れが生じるとともに軽い地震が起こった。

「おいおい、これでもダメなのかよ……?」

 何だこの無理ゲー?
 そうだよなぁ……物理的に倒せるならわざわざ封印なんてしないよなぁ……。
 ……よし!どうせ倒せないなら!
 俺は復活した神獣の真下に潜り込んで、先程よりもかなり小さい魔力ハンマーを形成する。

「こいつでどうだ!!」

 俺は回転しながらハンマーの長さをうまく調整して、神獣の巨体を支える両前足を回転攻撃で吹き飛ばした。
 当然足がなくなった神獣の巨体が俺めがけて落ちてくるものの、それを片手で受けとめた俺は両足に力を入れて踏ん張り……。

「飛んでけ!!!」

 渾身の力で、神獣を真上に放り投げた!
 天井を突き破りなおも勢いを止めないまま神獣はすっ飛んでいき、とうとう見えなくなった。
 さすがに大気圏を超えて宇宙まで飛んで行ってしまえば、帰っては来れないだろう。
 安堵した俺の視線の先に、もはや見慣れた黒い霧が集まり出してきた。
 なんだこれ、ものすごく嫌な予感がするぞ……。

「ルオオオオオオオ――――――――――――!!!!!!!!!」

 なんか「いい加減にしろ」とでも言いたげな咆哮を上げながら、俺の目の前で神獣が三度目の復活を果たした。
 いい加減にしてほしいのはこっちだっつーの!!
 これでもダメとかもう何なんだよお前は!?ここをリスポーン地点にでも登録してんの!?

 負けることはないものの、相手を確実に倒せる手段がないことに俺は辟易してしまった。
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