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暴走~短期決戦~

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「え?今の悲鳴なに……?」

 突然の悲鳴にテレアが不安そうな声を上げた。
 ダックスのこの慌てぶりを見るに、恐らくよほどの緊急事態が発生してるはずだ。

「とにかく行こう!ダックス案内頼む!」

 俺の声にダックスが頷いて先導するにように走りだし、俺たちもその後を追っていく。
 そのまま宿舎を出てテントの裏……魔物たちの檻があるところまでたどり着くと、そこはすでに一座の団員たちでごった返していた。

「ブモ――――――!!!」

 突然の魔物の咆哮に、思わず耳を塞ぐ。
 この鳴き声はたしか、ピースケのはずだ。

「どうしたんだピースケ!」
「ピースケ落ち着いて!!」

 他の団員たちが取り囲み宥めようとするも、興奮した様子のピースケは一向に聞く耳を持たず、巨大な前足で地面をスタンピングし、その衝撃で地面が揺れる。
 ピースケは檻の中で大人しくしていたはずなのになぜ外に出てるんだ?
 そう思い檻のあった場所を見ると、もはやその役目を果たせなくなり滅茶滅茶に折れ曲がりひしゃげた檻の残骸が残されていた。
 恐らく力ずくで暴れ、檻を破壊したのだろう。

「ガオ――――――!!」

 突然聞こえたもう一つの咆哮に驚き、そちらに目線を向けるとピースケと同じように興奮し暴れまわるコックルが団員に取り囲まれていた。

「コックルやめろ!一体どうしたんだ!?」

 団員たちが必死に声を掛けるも、ピースケと同じで全く聞く耳を持たないようだ。
 あの大人しかった二匹がなぜ暴れてるんだ?

「シューイチさん、あの二匹に怪しい魔力が纏わりついてます」
「怪しい魔力……?もしかしてそれのせいで暴れてるのか?」
「はい!恐らく誰かに理性を失い暴走させる魔法を掛けられてますね」

 どこのどいつがそんなこと……と思い、先程のあのキザ男が脳裏をよぎる。
 ほぼ間違いなくアイツが犯人だろうが、今はそれを確認しあっている場合ではない。
 今は何とか団員たちに牽制される形で抑えられているが、もしもこの二匹が外で暴れまわったら大変なことになるのは、火を見るより明らかだろう。

「あとこのままだと、30分もしないうちに国の憲兵団が騒ぎを聞きつけてやってきてしまうと思います」
「え?憲兵団に見つかっちゃったら、あの二匹討伐されちゃうんじゃ……」

 エナの言葉を聞いたテレアが不安そうに言った。
 それだけは何としても避けないとな……。
 事態は一刻を争うみたいだし、今回はちょっと四の五の言ってられない。

「一つ聞きたいんだけど、その暴走させる魔法って解除できる?」
「見た感じ結構強力な魔法みたいなので、私があの二匹に直接触れて解除魔法を掛けないと無理かもですが、なんとかできると思います」

 エナのその言葉を聞き、脳内で作戦を組み立てる。

「エナ、テレア、3分くらいでいいから二人で時間稼いでくれないか?」
「いいですけど、一体何を……ってまさかシューイチさん!?」

 エナの顔が真っ赤になる。うん、察しが早くて非常に助かるけど、いい加減慣れてくれないかな?

「テレア、エナと二人で協力してあの二匹を外に出させないように立ち回れるか?」
「……テレア一人だったら無理だと思うけど、エナお姉ちゃんが手伝ってくれるなら何とかなると思う」
「よしそれなら難しいと思うけど前の槍の男の時と同じだ、攻撃せずに回避に専念してあの二匹を外に出させないでくれ!3分くらい時間稼いでくれれば、後は俺がなんとかするから!」

 俺の指示にテレアが力強く頷き、エナが渋々といった感じで頷いた。

「やるしかないんですね……よし!テレアちゃん、ちょっと危険ですが今からあの二匹の注意を引き付ける魔法を掛けますから、シューイチさんの指示通りにお願いできますか?」
「うん!あの二匹を外に出さないように逃げ回って、攻撃しないようにすればいいんだよね?」
「危ないときは私が必ず守りますから!それじゃ行きますよ……ヘイト・ブースト!!」

 エナがテレアの背中に触れて魔法を唱えると、コックルとピースケが一斉にテレアに向かって振り向いた。
 それを見たテレアが、二匹に向かって駆けだした。

「おいお嬢ちゃん!何やってんだ危ないぞ!?」
「早く逃げろ!!」

 団員たちの制止の声を振り切り、テレアが二匹の眼前へと躍り出る。
 真っ先に反応したのが、コックルだった。
 コックルは突然現れたテレアに向かい牙を向けて飛びかかるも、対するテレアは低い身長を生かした低姿勢のダッシュでその下を潜り抜ける。
 だがその先に待ち受けていたのは、勢いよく長い鼻を振り上げそれをテレアに叩きつけようとするピースケだった。
 その鼻の叩きつけを、横跳びで回避したテレアに再びコックルが飛びかかる。
 しかしテレアはその突進を振り返りもせず、高く飛び上がるバク宙でひらりと躱す。
 着地して一瞬無防備になったテレアに向けて、今度はピースケが踏みつけるべく前足を高々と振り上げた。

「フル・プロテクション!!」

 その踏み付け攻撃はエナの魔法によって、テレアの周辺に張られたドーム型の防御壁に防がれたものの、その防御壁は衝撃に耐えきれず粉々に砕け散った。
 しかしその一瞬の隙をつき、テレアはピースケと地面の隙間を縫うように走り抜けて、あっという間に後ろに回り込んでいた。

「何なんだあの子!?」
「あの二匹を完全に翻弄してるぞ!?」

 だろう?うちのテレア凄いだろ?
 ちょっと鼻高々な気分だが、今がそんな状況でないことを思い出し、俺は急いで服を脱いでいく。
 その間もあの二匹との攻防は続いていて、猛然と襲い掛かるコックルとピースケの攻撃をテレアはまるで翻弄するようにかわし続けている。
 時に発生する隙をエナが魔法でフォローすることで、回避に専念するテレアが二匹を外に出させないように華麗に立ち回っていた。
 うん、これは安心して見ていられるな。
 だがぼやぼやしていたら騒ぎを聞きつけた憲兵団がやってきてしまう。
 そうなったらこの作戦は失敗だ、そうなる前になんとかしなければならない。

「テレアとエナねーちゃんすげー!」
「アンタは見てるだけな……ってなんで服脱ぎだしてんだよ!?」

 ダックスが目の前の光景に興奮する横で、おもむろに服を脱ぎだしている俺を見てラフタさんが叫んだ。

「えっと、事情は後で説明するんで今は気にしないでいただけると」
「……シューイチ変態」

 いつの間にか後ろにやって来ていたフリルがぼそりと呟いた。
 あの二人が周りの応援を受けている中、俺は何をやっているんだろうと思わなくもないが必要な工程なので仕方がないのだ。
 悲しい気持ちに苛まれつつも、ようやく身に纏っていた全ての衣服を脱ぎ去り、生まれたままの姿になることができた。
 全裸になった俺は二人の元に走り出す。

「よしテレア!俺とチェンジだ!!」
「うん!お兄ちゃん……って、え――――――っ!!??」

 突然現れた全裸な俺を見てテレアが真っ赤になりながら絶叫した。
 
「おっおっお兄ちゃん!?なんで裸になってるの!!??」
「事情は後で説明するから、今は素直にこの場を離れてくれ!」
「わっわかった……!」

 急な事態に戸惑いながらも俺の言いつけを守り、テレアが前線を離れた。テレアのそういう素直なところ、お兄ちゃん好きだぞ?

「エナ、さっきのテレアにやったあの魔法を俺に掛けてくれ!」
「わっわかりました……ヘイト・ブースト!」

 目を逸らしながら俺の背中に手を当てて、エナが魔法を掛けた。
 前線を離れようとしたテレアを追っていた二匹が今度は俺に振り返る。

「俺がアイツらの動きを止めるから、その間にエナは解除魔法を頼む」
「了解です!」

 無防備で前線に現れた俺に真っ先に反応したのは、やはりコックルだった。
 鋭い爪で俺を引き裂こうと両前足を広げながら飛びかかってきたコックルの頭に向けて、俺は手の伸ばし強引に掴んで地面に押さえつけた。
 逃れようと暴れるコックルの頭を押さえつけながら俺は背中へと回り込んでいく。
 暴れるコックルの爪が幾度となく俺に当たるも、無敵状態の俺には傷一つつかない。
 なんなく背中へと回り込んだ俺は空いたもう片方の手で背中を押さえつけた。
 完全に地面に縫い付けられるようにうつぶせになったコックルが暴れて脱出しようとするも、押さえつけた俺の手がそれを許さない。

「エナ、今だ!」
「はっはい!」

 指示を受け駆け寄ってきたエナがコックルの背中に手を当てて、目を閉じて集中し始める。
 時間にして5秒ほど経つと、憑き物が落ちたようにコックルが大人しくなった。

「解除できました!これでコックルちゃんは大人しくなるはずです!」
「よし次は……」

 立ち上がりピースケを見上げると、先程テレアにしたように大きな鼻を高々と振り上げ俺に叩きつけようと力を溜めている真っ最中だった。

「エナ、ちょっと離れててくれ」

 俺がそう言うと、エナが俺から急いで距離を取る。
 その瞬間、振り下ろされた鼻が俺の頭に直撃し、衝撃で足が少し地面にめり込んだ。
 服着た状態でこんなもん食らったら、つぶれて真っ赤なトマトになってるところだな。
 そんなことを思いながら俺はピースケの鼻を無造作に掴み、軽く手前に引き寄せた。
 たったそれだけでピースケが俺の元にものすごい勢いですっ飛んできて、勢い余って俺の身体に激突する。
 それをものともせず俺は先ほどコックルにしたように、鼻を掴んだままもう片方の手で頭に手をやりそのまま地面に押さえつける。
 その巨体と重量故、押さえつけた振動で地面に衝撃が走った。

「エナー」

 こうなってくるともはや作業感半端ないな……などと思いつつエナを呼んだ。
 急いで駆け付けてきたエナが、ピースケの鼻に手を置いて先ほどと同じように集中し始めると、少し間を置いた後、ピースケが大人しくなった。

「これで大丈夫かな?」
「はい、問題なく暴走魔法は解除できました!お疲れ様でしたシューイチさん」

 あまりに呆気ない結末にその場の全員が口を開けてポカーンとしていたものの、一呼吸置いた後一斉に歓声が上がった。

「全裸なのになんだったんだ今の!?すげー!」
「全裸なのにあの二匹をあっという間に大人しくさせちまったぞ!?」
「全裸なのにスゲーぞ、シューイチ兄ちゃん!!」
「全裸なのに大したもんだよアンタ!」

 枕詞的に全裸全裸連呼しないでほしいなぁ。
 そういえば、こんなに人が大勢いる状況で全裸になったの初めてだな……。

「エナ、悪いけど俺の服取って来てくれない?さすがにこの人数は恥ずかしい」
「はっはい……」

 顔を背けながら返事をしたエナを見つつ、やはりどんなに圧倒的な勝ち方をしても、全裸というだけでそれは台無しなんだなぁ……と一人悲しく思う俺なのであった。
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