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しおりを挟む三○五の札が垂れたドア。河嶋 志津希の新生活が始まろうとしていた。ドアの横にかかる名札は確かに自分の部屋だと知らせていた。だけどそれは同時に自分だけの部屋ではないことも知らせてくる。思わず志津希はため息を吐く。あぁ、最悪だ。なんで寮になんか入ってしまったんだろう。今更言ってもどうにもならないことを思う。一年の時は運が良かった。寮側の手違いで部屋がなく仕方なく幽霊部屋と呼ばれる場所にひとり、入ることになった。他人と同じ空間にいるのがあまり得意ではない志津希に幽霊部屋は居心地が良かった。さらにあの幽霊部屋にいて平気な顔をしていることに周りは君悪がって志津希に近づいてこないのが好都合だった。そんなこんなで快適な学園生活をおくれていたのだか流石に二年連続手違いは起こらなかったらしい。志津希にはちゃんとした正規の部屋が与えられていた。憂鬱な気分。河嶋志津希の隣にかけられた名札。名前も知らない全くの初対面。最悪。
「…行くしかない、よね?」
小さく呟いて志津希は軽い木のドアを開けた。
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