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第一幕 ジパング編

オヤジさん

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アマンダさんの修行その最後を飾るために、俺とゼインはギルドにきていた。

「すみません、クエスト受けたいんですけど。」
俺が話しかけたのは、アマンダさんの教え子で受付のアンナさんだ。

「あっこれはショー君にゼイン君おはようございます。二人に接点があったなんて驚きです。」
相変わらず元気はつらつなアンナさんは俺たちが一緒にいることを疑問に思っているようだ。

「ショーとはアマンダさん修行でともに鍛えましたから。それよりアンナさん、アマンダさんから何か聞いてないですか?」
ゼインがのいう通り、俺たちは結局アマンダさんからどんなクエストなのか聞いていない。なら教え子であるアンナさんに何か伝えているはずだ。

「アマンダ先生から?特に聞いてないわね。」
おかしいなそれじゃなんのクエストを受ければいいのかわからない。

「手紙とかも届いてないですか?」
ゼインがほかの可能性を聞いた。

「そうねー、そうだわ。手紙なら昨日届いたわ。てっきりまたあのストーカ男からかと思ったけど、あれはアマンダ先生からの手紙かもしれないわね。」
ストーカ男って大丈夫かアンナさん。受付嬢をしていると確かに変な男に絡まれるのかもしれないな。俺とゼインは苦笑いをした。

「あったわ。何々えーと、cランクのデカベアー討伐のクエストを受けさせよ。書いてあるわ。そういえばショー君はクエスト受けたことあったけ?」
デカベアーアマンダさんが因縁の相手といった理由が分かった。確かにデカベアーにはこの世界にきて初めて二ガ汁を飲まされた。

「いいえ、ありませんけど。」

「そうね、じゃあまずはクエストを受ける仕組みについてから説明するわ。ギルドの決まりだから、一応覚えておいてね。」
そういってアンナさんは説明を始めた。

「まずクエストにはS~Eのランクまであるわ。Sがもっとも難しくEが最も簡単なクエスト。Eランクのクエストは主に荷物運びや資材の調達。ケガをする可能性がないに等しいわ。次にDランクは小さい魔物の討伐や警備などね。けがをする可能性があるクエストよ。次に今回あなたたちが受けるCランク、これは命の危険がゼロではないクエストよ。それはもちろんCランクの実力があるっていう前提でね。BランクはCランクで単体で扱う魔物などが複数現れた場合などね。もちろんその分危険度が増すわ。次にAランクは大型の魔物の討伐もしくはBランクで扱えないものとかね。実力がなければ即死よ。最後のSランクだけれど、これは普通では扱ってないわ。特別なこと、例えば大型の魔物が複数現れたときや、魔物が大量発生したとき、もしくはテロが起きたときね。これは国がギルドを通して、実力のある者に直接依頼するケースが多いわ。」

俺はアンナさんの話を真剣に聞いていたがゼインは退屈そうにあくびをしていた。おそらく二回目の話だから退屈なんだろう。

「それともう一つ、18歳以下はCランク以上の実力がなければ、Cランク以上のクエストを受けることが出来ないわ。というのは、成人であればたとえ実力がEだろうがAだろうがSランク以外のクエストなら自由に受けることができるわ。ただ18歳以下は無謀に命を危険に晒してしまう恐れがあるため法律でそう決まったわ。ただしCランク以上のものと同伴であれば、Cランク以上でも受けることができるわ。まぁだいたい説明はこんなところかしら。」
今回Cランクのクエストを受けるということは、すでにゼインはCランクの実力があるってことじゃないか。ならこのクエストゼインにとってはそれほど難しくないものなのか。

「やっと終わったか、そっそくCランクデカベアー討伐の詳細を教えてくれ。」
ゼインは眠たそうな顔でアンナさんに言った。若干素がでてきているし。

「そうね、あなた達の年でCランクは他と比べても早いと思うけれど、アマンダ先生が推薦した二人ならきっと問題ないわね。」
俺はゼイン以外同じ年の人を知らないから知らなかったけど、そうかCランクは早いのか。

「そうですよ。それにCランクのゼインもいるし大丈夫ですよ。」
俺はゼインのほうを向いて言った。

「そうだぜ、ショー。俺はすでにCランクだ安心しな。まぁCランクの任務は初めてだけどな。」
はぁ?初めてなのかよ。俺は急に不安になった。

「では、詳細について伝えますね。最近カーマの都市から少し離れた湖で頻繁にデカベアーが目撃されるみたいです。その場所は本来攻撃的な魔物がいなく安全な場所でよく観光客も訪れていました。しかしデカベアーが現れてから、観光客の足も途絶え、そこの運営者は困っているみたいです。今回のクエストはとりあえずそこの運営の方により詳しい情報を聞いて、デカベアーの討伐をしてください。」
そういって、アンナさんは俺たちが向かう場所の地図を渡してくれた。

「わかりました。ゼイン早く討伐して、最後の修行の課題クリアしよう。」
ゼインに向かって俺はそう言った。

「あぁ!」
ゼインはそれに答えた。
だがクエストに向かう前に準備をしなくてはいけない。俺はアマンダさんから、武器と防具を買うお金を家を出る前にわたしてくれた。その場所にこれから向かわないといけない。ゼインはすでに自分のを持っているから、これから支度に向かうはずだ。

「ゼイン二時間後に、カーマの門で待ち合わせだ。」
ゼインはその言葉にうなずいた。


ゼインと別れてから俺は、武器防具の店が立ち並ぶ通りに来ていた。この場所はアンナさんに教えてもらった。武器防具の店は多くあったがその外観は様々でだった。小汚いいかにもの店もあれば、宝石店と見間違えるほどきれいな店もあった。俺はある程度、目ぼしい店の場所を覚えながらさらに先を進んだ、30分くらい歩いた俺はあたりをきょろきょろしていた。
「道に迷った......。」

そう道に迷ったからだ。俺が予想していた以上にこのカーマの街は人や店で多くあふれていた。人の波に流されながら奥に奥に行っていると迷ってしまったのだ。俺はそこから出ようとさらに歩き始めた。あいまいな記憶を頼りに歩いていたら、どうやらさらに迷ったらしい。すでに周りには武器防具の店もほとんどなくなっていた。やばい時間がない......。ゼインとの約束の時間まであと一時間を切っていた。そろそろ買い始めないと間に合わなくなる。俺はこっちの世界で武器や防具を買うとき、腕利の名工が作った剣や防具が欲しかった。だけどそうも言ってられないみたいだ。さっきからこの辺でよく定員オーバー目にするホームセンターのような店に入ることにした。その店はあまりデカくないが、看板に(なんでもそろう店)と書いてある。剣や防具を専門に売ってないとしたら、専門の店よりそれらは性能が低いだろう、しかし今はそんなことを言ってもいられない。俺はこのホームセンターもどきに店に入った。店内はコンビニくらいの大きさだった。中には武器や防具、牛馬車の車輪から、生き物の皮など多種多様なものを売っていた。店内を少し進むとここの店員らしき人が目に入った。
「はぁあい、いらっっしゃーい」
間延びしたその挨拶はこの店を選んだことを後悔させる。大丈夫かこの店、こんなのが店員の偽なんか田舎の駄菓子屋なみに何も置いてないぞ。

「あっどうも、おやじさん、武器と防具を買いたいんですけど予算がこれで買えるもってなにがありますか?」
俺はお金を見せながら言った。するとさっきまでだらけていたおやじさんの顔が急にキュッっと引き締まった。そして鋭い眼光で俺の目を覗いてくる。

「お前さん、武器が必要かね、だがみたところそこまで剣の腕は高くないらしい。だったらわしはお前さんに良い剣をやるわけにはいかんわ。」
なんだ、このじじい。いっちょ前に剣を売らないとか、こんなホームセンターみたいな店をしていて、客に剣を売らないこだわりがあるとは。

「なぜですか?」
その理由を聞いた。

「いい武器ってのは、その武器を持つものの腕前によってこそ、最高の性能がでる。しかしお前さんのように腕前がないものがいい武器をもっても、その武器の本当の性能は発揮されないからだ。武器というのは武器を持つものによってそれぞれ会う武器ってのがある。」
会う武器?剣は剣だろう。

「会う武器ってのはどういうことですか?親父さん。」

「あぁ、これはわしの考えじゃが。大切なことだ、自分には合わず剣に振り回されて死んだやつをわしはよう見てきた。じゃから武器というのは武器を持つものの戦い方、用途などさまざまなことを考慮して選ぶ、これが一番大切なこととわしは思っておる。
その言葉には説得力があるがそもそも剣などは相手を切る、突くために作られていて、違いなんてさほどないだろうという疑問が俺にはあった。

「おやじさん、ぼくが買いたいのは剣ですが、剣にそこまでの違いがあるものですか?
俺の言葉におやじさんの顔が急に笑顔になった。

「ある、例えば獲物をしとめるために必要な剣は毒が塗りやすいように加工して、一撃でも相手に入れば殺せるようにする。どんなに切れ味が良くても獲物によってはもしくは用途によっては、そっちのほうがいい場合もある。軽い、思い、長い、短い、材質など同じ剣でもさまざまじゃ、お前さんは何のために剣を使う、どんな戦い方をする?」
確かにな俺がただ切れ味がいい剣を使っても相手をしとめられないかもしれない、だけど毒とからなら十分勝算はある。だけど毒はさすがに危ないな。

「俺の用途は様々だと思います。ギルドのクエストを受けるので、魔物を討伐することもあれば人と戦いとらえることが目的の場合もあります。そして戦い方ですが俺の魔法の特性的に守りです。ただその守りの魔法もインターバルが生じます。その時部防備なおれが、倒れないための武器が欲しいです。」
アマンダさんから教わった弱点の一つ無防備な瞬間ができる、これをこのおやじは解決できる武器を持っているのか?

「なるほどのぉ。もう少し話を聞かせてくれるかのう。お前さんに会う武器は必ずある。」
それから俺は親父さんにもう少し話をした。俺が話し終わると親父さんは何かひらめいたかのように店の奥に行ってしまった。それから10分くらいして親父さんは手になにやら持って帰ってきた。

「またせたのぅ。お前さんに会ったぴったりな武器を見つけたわい。どうじゃこの剣、特に特別な剣には見えんじゃろう。じゃがこの剣は二つの特色をもっとる。一つ目は、ほれここに丸い引き金が見えるかのぅ?」
俺は無言でうなずいた。親父さんが言った丸い引き金は剣をもつところのちょうど親指辺りに、拳銃の引き金のように引っ付いていた。

「この引き金を引っ張ると剣の先端が出る仕組みじゃ。わっはっはどうじゃ面白いじゃろ。剣の先端がでるからといって剣の性能は失われんぞ、実はこの剣もともと大量に作られた、一般的な剣じゃ。じゃがわしが改良して先端だけ飛ばせるようにした。そして飛ばした先端の変わりにまたほかの先端をつけることが可能じゃ。もちろんわししかうっとらんけどな。」
んーー、使えるのか?当たったとしてもだろ。

「ん?あまりよさそうな顔ではないな。じゃが二つ目はお前さんにぴったりじゃ、二つ目の特色はこの剣の素材にある。この剣の表面にはしびれ薬を効率的に濡れるように細工がしてある。どうじゃ、しびれ薬じゃぞ聞いただけでも、近づきたくなかろう。さらにこれを先端に塗って飛ばせば、遠くの敵もしびれさせることができる。」
これはもしかしたら、俺にあった武器じゃないか?俺はすでに親父さんが持ってきた武器を欲しいと思っていた。

「親父さん、俺買うよそれ。」
そして俺は親父さんの武器を買うことになった。ついでに俺にあった防具も一緒にかった。その後親父さんにこの辺の地図をもらい、お礼を言ってカーマの門を目指す。時間ぎりぎりだな。だけど、準備も終わったしいよいよデカベアー討伐に向けて出発だな。
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