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一章 森の少女と獣
街での一日
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ローニャはギルドテストに無事、合格し冒険者となったその後の事。
「で、これからどうするの?早速依頼受ける?」
「いや…街で何か食べたい…お腹減って死にそう…」
ローニャはギルドに来る前からお腹を空かせて居た。そのままテストまでした為、もう限界だった。
「此処でも食事は出せるから此処で食べる?」
「此処は酒臭くて無理…」
「そっかぁ…じゃあちょっと待っててね」
そう言ってロザリアは奥へ入って行った、十分ほど経ちロザリアは何かが詰まった袋を持って出て来て、それをローニャに渡した。
「はいこれ、素材の報酬金、二十万ルーベルです」
かなりの金額を渡されてローニャは困惑した。
「多くない?」
「そりゃそうだよ、ダッシュボアはB級の生物、スラッシュベアに関してはA級の生物なんだから、素材は相当価値が有るだ、それを複数となるとこの位するよ。」
階級で言い表されてローニャ何となく納得した、本当に貰って良いのかと困りながら、そのままバッグに入れた。するとロザリアが話しかけて来た。
「それって【マジックバッグ】?珍しいの持ってるね、その剣と言い何処で手に入れたの?」
「貰った物…全部、この剣もこのマントも…誰からかは言わないけど」
「そっか…大事にしてるんだね!」
「うん」
ローニャは少し嬉しそうに頷いた、そしてローニャはロザリアに別れ言い一旦ギルドを出た。
ギルドを出て少し経ち、ローニャは街を歩いて居る、騒がしい街を進みながら、食事が出来そうな場所を探す。そんな時ローニャはふと気付く、周りから視線を感じる。通り過ぎる人がローニャの姿を通り過ぎ側に見ている、その理由はローニャの格好にあった。全身を黒いボロボロのマントで身を包み、身の丈程の見窄らしい剣を背負い、一人で歩いている子供が居れば、皆気にもなる、ローニャは気不味くなって早歩きなった。
あれから少し歩いて居ると、とても良い匂いがして来た、匂いの方向に向かうと一軒の建物に着く、どうやら食堂の様だった。兎に角何か食べたかったローニャは取り敢えずその食堂に入った。
店に入ると店内はとても広く、そして賑わっていた、少しおどおどして居ると、店員に声をかけられ、そのまま席に案内された。席に着きローニャは店員に【オムライス】なる物を注文した。周りの客に見られて縮こまりながら数分待って居ると、店員が料理を運んで来る、ローニャはとても綺麗な料理に驚く、そしてその料理を一口食べ、更に驚く。今まで食べた事の無い、素晴らしい味に感動しながら、手を止める事無く食べ進める。
【オムライス】を食べ終わり、まだ足りないと感じたローニャはその後、また違う料理を幾つも注文し、全て平らげた。食事を終え満足して店を出たローニャは次に泊まる場所を探し始めた。
宿を探して街の中を歩き続けて居るが、どの建物が何の建物なのか全く分からない、日も沈んで来て居た為、仕方無くギルドに戻った。
ギルドに戻って来て、受付でロザリアに話し掛ける。
「あら、お帰り。もう食事は済んだ?」
「うん…今は泊まれる所を探してる…」
「そうなんだ…もし良ければ宿の場所教えようか?」
「うん…お願い…」
ロザリアは簡単な地図を作りローニャに渡す。ローニャは礼を言い立ち去ろうとした時、突然男が数人、ローニャの前に立ちはだかった。
「おいガキ、聞いたぜ、お前がダッシュボアとスラッシュベアの素材を持ち込んだらしいな。」
「それが…?」
「はっはっは!こりゃおもしれー冗談だ!こんな小っこいガキがB級以上の動物狩るなんてな!んな訳ねーだろ!何処から盗んで来たか知らねーが、盗んだもんで金稼ぎするなんて、冒険者のする事じゃねーぜ、盗人のガキはさっさと冒険者辞めてママの乳でも吸ってな!そんで稼いだ金、全部俺らに寄こせ、さもないと痛い目見るぜ。」
威圧的な態度で喋り続ける男に、ローニャは恐れよりも呆れを感じて居た。早く去りたいと思って居るとロザリアが止めに男に注意する。
「ちょっと貴方達、止めなさい!子供に向かって!大人気無いわよ!」
しかし男は止める気は無かった。
「うるせー!そもそもこんなガキがそんな大金稼いでて怪しいと思わねーのか?」
「それはちゃんとギルドのテストで証明してるわ!」
「は!それもどうせインチキだったんだろ!こんな小っこくて貧弱なガキが冒険者に成る事自体、可笑しい話だ!何だったら俺が証明してやる、このガキがくだらねー嘘つきだってな!」
そう言いながら男はローニャに掴み掛かろうとした。しかしローニャはその手を掴み、指を思いっきり外側に曲げた。
「いいだだだだ!何だこのガキ!力強えー!いででで!折れる折れる!お前らこのガキ何とかしろ!」
男の指示で今まで後ろでくすくすと笑って居ただけの取り巻きらしき男数人が、ローニャに向かって襲い掛かる。そこに掴んで居た男の腹を思い切り蹴り、襲って来た取り巻き達を壁へ蹴り飛ばす
「ぐあーー!」
リーダーの男は立ち上がり腰にぶら下げて居た剣を抜いた、それと同時にローニャも鞘の留め具を外し剣を抜けるようにした。
「このクソガキ、調子乗ってんじゃねーぞ!」
剣を振り上げローニャに襲い掛かる、剣を振り下ろした瞬間ローニャは、男の剣を横に躱し、剣に蹴りを入れた。魔法で足を強化して居た為、男の剣は真っ二つになった。剣先が床に突き刺さる。男は一瞬何が起こったのか理解出来ず停止する。しかし直ぐに正気に戻り、情け無い声を上げながら尻餅を着く、ローニャはそんな状態の男にゆっくり近付き、思いっきり剣を振り上げる。男は悲鳴を上げながら一目散に逃げて行き、それを追い掛ける様に取り巻き達も外へ出て行った。
剣を仕舞い溜め息を吐いて居るとロザリアが申し訳な無さそうに話し掛けて来た。
「大丈夫?怪我とかない?」
「いや…別に無い…」
「よかったー、本当にごめんね冒険者ってああ言うの多いのよ初心者にちょっかい掛けたり、自分より弱い人に命令や失敗を押し付けたりとか。多分今の奴らも君を恨み持って復讐に来たりするかもだから気を付けてね。」
「問題無い…また来たらその時も返り討ちにすれば良いし…あんな感じで強がって私に挑んで来た奴を返り討ちにした、事何度もあるし…」
「え、あるの?」
「うん…ゴブリンとか…」
「ゴブリンかー…あはは…でもやっぱり気を付けてね?」
「わかった…そうする…」
一波乱有ったもののローニャはロザリアに教えて貰った近い宿に無事辿り着き、部屋を借りれた。
その日の夜
この街に来てから初めての事ばかりだった、今まで森の中だけで過ごして居た日々とは違う騒がしい一日を過ごした。最初は不安だった街も、トラブルは有ったものの、今は少しだけ楽しいと感じている。ローニャは街での一日を振り返りながら眠りの着いた。
夜 ギルド長室
その日の夜、ギルドのギルド長室でカーバッツが何かを待って居た。すると扉がノックされる。
「ギルドマスター殿、失礼致します。」
と丁寧な挨拶をして部屋に騎士が三人程入って来た。
「ギルドマスター殿、御報告致します。貴方に依頼された通り、【暗い森】を捜索して参りました。残念ながら、我々では浅い場所までしか捜索出来ませんでしたが。その上で、子供らしき人物もその親らしき人物も現れませんでした。森から一日程の距離の集落等を回って、情報を探って見ましたが。森に子供が居るのを知っているかと訪ねた所。その様な子供ら知らないとの事でした。以上です。では我々はこれで。」
「ああ、助かったよ、報告ありがとう。報酬については帰る時に受付嬢から受け取ってくれ。」
騎士達はカーバッツに御辞儀をして部屋を出て行った。
「…森の近くの集落で知らないとなると…森から遠いこの街や村から行く事も無いだろう……だとするならば…【帝国】側の人間か…これ以上首を突っ込めんな…俺に出来るのは見守る事だけか…」
カーバッツは窓の外を見ながら一人で呟いていた。
翌日 早朝六時
ローニャはいつも通り時間に起きた。寝起きの頭で自分がもう森には居ない事を思い出す。顔を洗う為に一階の食堂に向かう、食堂に入ると店主の女性に元気よく挨拶をされた
「おはよう!」
「お…おはようございます…?」
朝の挨拶など数年ぶりでローニャは少し戸惑った
「食事はもう少し待ってね!その間、店の裏に井戸があるから、其処で顔でも洗って来な!」
ローニャは言われた通りに井戸で顔を洗い、また食堂に戻った。席に座り食事を待つ、待って居ると次々と宿泊して居た客達が降りて来る、次第に食堂は賑やかになっていた。数十分待って居ると店主が食事を運んで来た。
「あいよ!アンタのは少し多めにしといたからね!沢山食べな!」
「あ…ありがとうございます…」
ローニャは小さくお礼を言い食事を初める。
朝食を食べ終わり立ち上がる。宿屋を出ようとしたドアノブに手を掛けようとした時、妙な視線を感じた。しかし敵意は感じ無かった為、警戒しつつ宿屋を出た。
ギルドに向かう道中も何故かその視線の主が付いて来て居る様に感じ、ローニャはかなり早歩きでギルドへ向かった。
ギルドに到着し、ローニャはクエストボードで依頼を見て居た。その間も視線を感じて居た。だがやはり敵意は感じられない為、ローニャは一度気にしない様にして見た。
視線を気にしない様にクエストボードを眺める。しかし、ローニャの身長では上の方は見えはするものの、取れなかった為、下の方にあった部分だけ見て居た。そんな時、後ろからローニャを呼ぶ声が聞こえて来た。その声に反応して振り返る。振り返った視線の先に、ロザリアが手を振って居た。ローニャはロザリアの居るカウンターへ行き、話を聞く。
「何?」
「いきなりごめんね…実は昨日忘れてた事が有って。」
「?」
「ローニャちゃん、昨日スラッシュベアとダッシュボアの素材を持ち込んだでしょ。本当はあれで、ランク昇格出来る筈だったんだけど。私が言い忘れてて…ごめんね…昇格は任意だからローニャが決めて。」
ローニャは少し考える、が考える間でも無い。ランクが高い方が受けれる依頼も報酬も多く成る。【E】位なら、成ってもデメリットは無い。なので一分も考える事無く返答した。
「うん…」
「了解しました…では、ライセンスをお預かりしますね。」
突然仕事モードに成りライセンスを受け取るロザリア。ギルドの奥へ入って行き。そして少しして戻って来て、そしてライセンスを渡して来た。
「はい、これで貴女は【E】ランクです。」
「ありがとう…」
ライセンスを受け取り、御礼を言い再びクエストボードの前に戻った。
再びクエストボードを眺める。下の方にある依頼は取り尽くされて居るのか、低いランクの依頼が少ない。己のランクに合ったランクの依頼が無いかと探して居ると。一枚の埋れた依頼書を見付ける。その依頼書を手に取るとランクは【E】で内容はローニャの得意な討伐。相手はゴブリンの群れだそうだ。ローニャは、その依頼を受ける事にし、ロザリアの元に持って行った。
カウンターに依頼書を置く。ロザリアはそれを見て残念そうな顔をする。
「ローニャちゃん…これ…パーティ推奨の奴何だ…ローニャは受けるのは止めた方が…」
とロザリアは言うがローニャは受けるつもりだった。
「問題無い…何度も倒してるから慣れてる…それにそれ以外私が受けれる奴無い…」
「うーん…そうかもだけど…」
心配そうにするロザリアに対しローニャは自信満々だった。ロザリアはあまり納得しては居なかったがローニャの言葉を信じて受理した。
「これで受理されました。場所はかくかくしかじか……気を付けてね…危なくなったらすぐに逃げるのよ…」
受理した後も心配し続けるロザリアに、ローニャは強気に言う。
「大丈夫…ゴブリンなんかに負ける程…弱くないから…」
そう言ってローニャはギルドを後にした。
街の東門から街の外に出る。ローニャは自身に《身体加速・改》《脚力強化》の魔法を掛け、勢いよく走り出した。
「で、これからどうするの?早速依頼受ける?」
「いや…街で何か食べたい…お腹減って死にそう…」
ローニャはギルドに来る前からお腹を空かせて居た。そのままテストまでした為、もう限界だった。
「此処でも食事は出せるから此処で食べる?」
「此処は酒臭くて無理…」
「そっかぁ…じゃあちょっと待っててね」
そう言ってロザリアは奥へ入って行った、十分ほど経ちロザリアは何かが詰まった袋を持って出て来て、それをローニャに渡した。
「はいこれ、素材の報酬金、二十万ルーベルです」
かなりの金額を渡されてローニャは困惑した。
「多くない?」
「そりゃそうだよ、ダッシュボアはB級の生物、スラッシュベアに関してはA級の生物なんだから、素材は相当価値が有るだ、それを複数となるとこの位するよ。」
階級で言い表されてローニャ何となく納得した、本当に貰って良いのかと困りながら、そのままバッグに入れた。するとロザリアが話しかけて来た。
「それって【マジックバッグ】?珍しいの持ってるね、その剣と言い何処で手に入れたの?」
「貰った物…全部、この剣もこのマントも…誰からかは言わないけど」
「そっか…大事にしてるんだね!」
「うん」
ローニャは少し嬉しそうに頷いた、そしてローニャはロザリアに別れ言い一旦ギルドを出た。
ギルドを出て少し経ち、ローニャは街を歩いて居る、騒がしい街を進みながら、食事が出来そうな場所を探す。そんな時ローニャはふと気付く、周りから視線を感じる。通り過ぎる人がローニャの姿を通り過ぎ側に見ている、その理由はローニャの格好にあった。全身を黒いボロボロのマントで身を包み、身の丈程の見窄らしい剣を背負い、一人で歩いている子供が居れば、皆気にもなる、ローニャは気不味くなって早歩きなった。
あれから少し歩いて居ると、とても良い匂いがして来た、匂いの方向に向かうと一軒の建物に着く、どうやら食堂の様だった。兎に角何か食べたかったローニャは取り敢えずその食堂に入った。
店に入ると店内はとても広く、そして賑わっていた、少しおどおどして居ると、店員に声をかけられ、そのまま席に案内された。席に着きローニャは店員に【オムライス】なる物を注文した。周りの客に見られて縮こまりながら数分待って居ると、店員が料理を運んで来る、ローニャはとても綺麗な料理に驚く、そしてその料理を一口食べ、更に驚く。今まで食べた事の無い、素晴らしい味に感動しながら、手を止める事無く食べ進める。
【オムライス】を食べ終わり、まだ足りないと感じたローニャはその後、また違う料理を幾つも注文し、全て平らげた。食事を終え満足して店を出たローニャは次に泊まる場所を探し始めた。
宿を探して街の中を歩き続けて居るが、どの建物が何の建物なのか全く分からない、日も沈んで来て居た為、仕方無くギルドに戻った。
ギルドに戻って来て、受付でロザリアに話し掛ける。
「あら、お帰り。もう食事は済んだ?」
「うん…今は泊まれる所を探してる…」
「そうなんだ…もし良ければ宿の場所教えようか?」
「うん…お願い…」
ロザリアは簡単な地図を作りローニャに渡す。ローニャは礼を言い立ち去ろうとした時、突然男が数人、ローニャの前に立ちはだかった。
「おいガキ、聞いたぜ、お前がダッシュボアとスラッシュベアの素材を持ち込んだらしいな。」
「それが…?」
「はっはっは!こりゃおもしれー冗談だ!こんな小っこいガキがB級以上の動物狩るなんてな!んな訳ねーだろ!何処から盗んで来たか知らねーが、盗んだもんで金稼ぎするなんて、冒険者のする事じゃねーぜ、盗人のガキはさっさと冒険者辞めてママの乳でも吸ってな!そんで稼いだ金、全部俺らに寄こせ、さもないと痛い目見るぜ。」
威圧的な態度で喋り続ける男に、ローニャは恐れよりも呆れを感じて居た。早く去りたいと思って居るとロザリアが止めに男に注意する。
「ちょっと貴方達、止めなさい!子供に向かって!大人気無いわよ!」
しかし男は止める気は無かった。
「うるせー!そもそもこんなガキがそんな大金稼いでて怪しいと思わねーのか?」
「それはちゃんとギルドのテストで証明してるわ!」
「は!それもどうせインチキだったんだろ!こんな小っこくて貧弱なガキが冒険者に成る事自体、可笑しい話だ!何だったら俺が証明してやる、このガキがくだらねー嘘つきだってな!」
そう言いながら男はローニャに掴み掛かろうとした。しかしローニャはその手を掴み、指を思いっきり外側に曲げた。
「いいだだだだ!何だこのガキ!力強えー!いででで!折れる折れる!お前らこのガキ何とかしろ!」
男の指示で今まで後ろでくすくすと笑って居ただけの取り巻きらしき男数人が、ローニャに向かって襲い掛かる。そこに掴んで居た男の腹を思い切り蹴り、襲って来た取り巻き達を壁へ蹴り飛ばす
「ぐあーー!」
リーダーの男は立ち上がり腰にぶら下げて居た剣を抜いた、それと同時にローニャも鞘の留め具を外し剣を抜けるようにした。
「このクソガキ、調子乗ってんじゃねーぞ!」
剣を振り上げローニャに襲い掛かる、剣を振り下ろした瞬間ローニャは、男の剣を横に躱し、剣に蹴りを入れた。魔法で足を強化して居た為、男の剣は真っ二つになった。剣先が床に突き刺さる。男は一瞬何が起こったのか理解出来ず停止する。しかし直ぐに正気に戻り、情け無い声を上げながら尻餅を着く、ローニャはそんな状態の男にゆっくり近付き、思いっきり剣を振り上げる。男は悲鳴を上げながら一目散に逃げて行き、それを追い掛ける様に取り巻き達も外へ出て行った。
剣を仕舞い溜め息を吐いて居るとロザリアが申し訳な無さそうに話し掛けて来た。
「大丈夫?怪我とかない?」
「いや…別に無い…」
「よかったー、本当にごめんね冒険者ってああ言うの多いのよ初心者にちょっかい掛けたり、自分より弱い人に命令や失敗を押し付けたりとか。多分今の奴らも君を恨み持って復讐に来たりするかもだから気を付けてね。」
「問題無い…また来たらその時も返り討ちにすれば良いし…あんな感じで強がって私に挑んで来た奴を返り討ちにした、事何度もあるし…」
「え、あるの?」
「うん…ゴブリンとか…」
「ゴブリンかー…あはは…でもやっぱり気を付けてね?」
「わかった…そうする…」
一波乱有ったもののローニャはロザリアに教えて貰った近い宿に無事辿り着き、部屋を借りれた。
その日の夜
この街に来てから初めての事ばかりだった、今まで森の中だけで過ごして居た日々とは違う騒がしい一日を過ごした。最初は不安だった街も、トラブルは有ったものの、今は少しだけ楽しいと感じている。ローニャは街での一日を振り返りながら眠りの着いた。
夜 ギルド長室
その日の夜、ギルドのギルド長室でカーバッツが何かを待って居た。すると扉がノックされる。
「ギルドマスター殿、失礼致します。」
と丁寧な挨拶をして部屋に騎士が三人程入って来た。
「ギルドマスター殿、御報告致します。貴方に依頼された通り、【暗い森】を捜索して参りました。残念ながら、我々では浅い場所までしか捜索出来ませんでしたが。その上で、子供らしき人物もその親らしき人物も現れませんでした。森から一日程の距離の集落等を回って、情報を探って見ましたが。森に子供が居るのを知っているかと訪ねた所。その様な子供ら知らないとの事でした。以上です。では我々はこれで。」
「ああ、助かったよ、報告ありがとう。報酬については帰る時に受付嬢から受け取ってくれ。」
騎士達はカーバッツに御辞儀をして部屋を出て行った。
「…森の近くの集落で知らないとなると…森から遠いこの街や村から行く事も無いだろう……だとするならば…【帝国】側の人間か…これ以上首を突っ込めんな…俺に出来るのは見守る事だけか…」
カーバッツは窓の外を見ながら一人で呟いていた。
翌日 早朝六時
ローニャはいつも通り時間に起きた。寝起きの頭で自分がもう森には居ない事を思い出す。顔を洗う為に一階の食堂に向かう、食堂に入ると店主の女性に元気よく挨拶をされた
「おはよう!」
「お…おはようございます…?」
朝の挨拶など数年ぶりでローニャは少し戸惑った
「食事はもう少し待ってね!その間、店の裏に井戸があるから、其処で顔でも洗って来な!」
ローニャは言われた通りに井戸で顔を洗い、また食堂に戻った。席に座り食事を待つ、待って居ると次々と宿泊して居た客達が降りて来る、次第に食堂は賑やかになっていた。数十分待って居ると店主が食事を運んで来た。
「あいよ!アンタのは少し多めにしといたからね!沢山食べな!」
「あ…ありがとうございます…」
ローニャは小さくお礼を言い食事を初める。
朝食を食べ終わり立ち上がる。宿屋を出ようとしたドアノブに手を掛けようとした時、妙な視線を感じた。しかし敵意は感じ無かった為、警戒しつつ宿屋を出た。
ギルドに向かう道中も何故かその視線の主が付いて来て居る様に感じ、ローニャはかなり早歩きでギルドへ向かった。
ギルドに到着し、ローニャはクエストボードで依頼を見て居た。その間も視線を感じて居た。だがやはり敵意は感じられない為、ローニャは一度気にしない様にして見た。
視線を気にしない様にクエストボードを眺める。しかし、ローニャの身長では上の方は見えはするものの、取れなかった為、下の方にあった部分だけ見て居た。そんな時、後ろからローニャを呼ぶ声が聞こえて来た。その声に反応して振り返る。振り返った視線の先に、ロザリアが手を振って居た。ローニャはロザリアの居るカウンターへ行き、話を聞く。
「何?」
「いきなりごめんね…実は昨日忘れてた事が有って。」
「?」
「ローニャちゃん、昨日スラッシュベアとダッシュボアの素材を持ち込んだでしょ。本当はあれで、ランク昇格出来る筈だったんだけど。私が言い忘れてて…ごめんね…昇格は任意だからローニャが決めて。」
ローニャは少し考える、が考える間でも無い。ランクが高い方が受けれる依頼も報酬も多く成る。【E】位なら、成ってもデメリットは無い。なので一分も考える事無く返答した。
「うん…」
「了解しました…では、ライセンスをお預かりしますね。」
突然仕事モードに成りライセンスを受け取るロザリア。ギルドの奥へ入って行き。そして少しして戻って来て、そしてライセンスを渡して来た。
「はい、これで貴女は【E】ランクです。」
「ありがとう…」
ライセンスを受け取り、御礼を言い再びクエストボードの前に戻った。
再びクエストボードを眺める。下の方にある依頼は取り尽くされて居るのか、低いランクの依頼が少ない。己のランクに合ったランクの依頼が無いかと探して居ると。一枚の埋れた依頼書を見付ける。その依頼書を手に取るとランクは【E】で内容はローニャの得意な討伐。相手はゴブリンの群れだそうだ。ローニャは、その依頼を受ける事にし、ロザリアの元に持って行った。
カウンターに依頼書を置く。ロザリアはそれを見て残念そうな顔をする。
「ローニャちゃん…これ…パーティ推奨の奴何だ…ローニャは受けるのは止めた方が…」
とロザリアは言うがローニャは受けるつもりだった。
「問題無い…何度も倒してるから慣れてる…それにそれ以外私が受けれる奴無い…」
「うーん…そうかもだけど…」
心配そうにするロザリアに対しローニャは自信満々だった。ロザリアはあまり納得しては居なかったがローニャの言葉を信じて受理した。
「これで受理されました。場所はかくかくしかじか……気を付けてね…危なくなったらすぐに逃げるのよ…」
受理した後も心配し続けるロザリアに、ローニャは強気に言う。
「大丈夫…ゴブリンなんかに負ける程…弱くないから…」
そう言ってローニャはギルドを後にした。
街の東門から街の外に出る。ローニャは自身に《身体加速・改》《脚力強化》の魔法を掛け、勢いよく走り出した。
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