3 / 3
✾ Episode.1 ✾ ~ おまけ ~
しおりを挟む
「あった‼」
朱猫が歓喜の声を上げた。
「あったよ、お兄さん‼」
朱猫は、砂浜に打ち上げられた拍子に積み上げられたタンスと椅子の隙間に手を伸ばして、画面の割れた薄っぺらいスマホを取り上げた。
「画面、つくか?」
夕樹は朱猫の持っているスマホを覗き込むようにして見る。
「んー」
ボタンというボタンを長押ししてみたり、画面をタップしてみたりしたけれど、やっぱり予想通り、スマホに反応はない。
「まぁ、見つかっただけでも良しとするかぁ。ありがとな、見つけてくれて」
「うん! アカネ、役に立ったでしょ?」
「ああ、役に立った」
夕樹は朱猫の頭を優しく撫でてやる。朱猫は少し照れくさそうにしていたが、それでもちょっぴり嬉しそうに笑っていた。
「よし、じゃあ車行くか」
「あい!」
朱猫が元気よく返事をして、それから、浜に打ち上げられた漂流物を指さした。
「あー、それは――」
夕樹は腕組みをして少し考えると、「ほっとこう。それは俺達にはどうすることも出来ん」と言った。
夕樹が先導して浜を歩く。その後ろを朱猫が付いて行くカタチで駐車場に入った。
幸いにも車の鍵は車内に置き忘れていたし、不用心にも車は開いたままだったので、二人はすんなり乗り込むことができた。
「……あー、しまった」
座席に座ったあとで、夕樹はちょっと後悔したように言った。
「先にビニール袋を被せておくんだった。俺らどうみても水に濡れて汚れているんだから」
「――大丈夫だよ。あとで洗えば」
「んでもなぁ、中の掃除って結構大変なんだぞ」
言いながら夕樹はエンジンを掛けて、ヘッドライトを点灯させた――ちょうど、そのとき。
「ちょっと君たち」
ふいに車のボディをコン、コンと叩く音が聞こえ、夕樹は車を発進させるのを止めた。それから窓を開けて顔を出すと、怠そうな顔をした警察官が二人、検問【怪しいことや、疑わしいことがないか、問いただして調べること】のために車両の前に立ちはだかった。
「さっきこの辺りから通報が入ったんだが、君たち何か知らんかね」
「あー、そのことなら俺、知ってますよ」
夕樹は軽い口調で答えると、「実はあそこの海辺で、親も連れずに子どもが歩 いていたのを見たって人と、さっき家の近くでばったり会ってね、その人かなり慌てた様子だったんで、俺も気になって声を掛けてみたんですよ」と海辺を指さして、二人の警察官の注意を逸らした。
「なんでも『急に女の子が波に攫われた!』とか、『急に漂流物が流れて来た!』とか、焦った口調でよく分からないことを言うものだから、俺も気になって、散歩がてら娘と一緒に様子を見に来たんですよ。――ああ、娘はよく『眠れない』と、夜に駄々をこねるもので。
それで、いざ来てみれば――いやぁ、何が何だかさっぱりですね。本当に漂流物がたくさん流れ着いている」
夕樹は平然とした態度で、でたらめなことを言いながら、より信憑性を持たせるために車から降りて、親切心たっぷりで浜辺に打ち上げられたガラクタの山を指さした。
「ほら、見えます? 影になって見えにくいでしょうけど、あそこにある黒い物体、ぜんぶ海から流れてきたやつらしいですよ」
「誰かがここに、いらないものを捨てたんじゃないのか?」
警察官の一人が腕組みをして、疑わし気に遠くの影を睨みつけている。
「波に打ち上げられたと言っても、あれだけ大きい物が流れ着くとは思えん。津波警報も出ていないのに、どうやったら、あんなにも沢山の物が打ちあがるのか理解できん」
「でもアレが事実ですよ。俺が何かを企てようと一人で浜に運び込んだ——とかっていう話は現実的じゃない。事情聴取でもすれば明らかだけど、あの漂流物は昨日までそこに無かったモノなんだ。大人でも一人では持ち上げられないモノがほとんどだしね。どうにかできるレベルではないでしょう」
夕樹がその口から流暢な日本語を垂れ流している間、警察官は「ふーむ」と唸りながら、どこか納得のいかない顔をしていた。
そこで夕樹はここぞとばかりに畳みかける。
「何を考えているかは知らないですけど、一度ご自身で持ち上げてみれば真相がハッキリするんじゃないですかねぇ」
「まぁ、そうだな」
「俺、持ち上げてみようかな」
もう一人の警察官が少しだけ嬉しそうに言うので、男は「やれやれ」と首を横に振った。
「持ち上げるなら、持ち上げて。見るなら、もっと近くで見てくださいね。アレは普通の家具とかじゃなかった。第一発見者がここにいないのは残念ですけど、俺たちもアレを見たところでどうにも出来なくて、困っていたところだったんです。おまわりさん、アレを何とかできませんか?」
「何とかって言ってもねぇ……、それを今、必死に考えているんじゃないか」
夕樹の巧みな言葉運びで、完全に警察官の注意が逸れている。二人がぶつぶつと自分の考えを口に出して、大方漂流物に気を取られているだろうことを確認すると、夕樹は抜き足、差し足で、一歩ずつ二人から距離をとった。
そうして二人に気付かれず、車のそばまで足を運びきると、中に朱猫が乗っているのを確認して、そっと運転席側のドアを開けた。
「でも妙な話だな」
警察官の一人が顔を上げた。
「俺、事務所で最初に受話器を取ったんだ。電話の声は男のもので、確かあんなような声をしていた」
「それは気のせいだろう。あの男は『別の人から聞いた』と言っていたぞ。世の中、声のレパートリーなんて少ないものさ。そんなことより――」
もう一人の警察官が何かを問いただそうとして振り返ったとき、そばにいたはずの男の姿が消えていた。おまけに、車もない。
彼は呆けた表情で、もう一人の男の顔をじっと見つめる。
「あの男、怪しくないか?」
「だから、それはさっき俺が言っただろう。あのときの電話の相手は、やっぱりあの男で間違いなかったんだ」
「でも逃げられたな」
「ああ、逃げられた。車種はレヴ●ーグだってことは分かったが、車のナンバーを見るのを忘れたよ」
「俺も忘れた」
二人の警察官は、お互いに見つめ合って溜息を吐いた。
「それにしても俺たちの課題は、あの漂流物をどう処理するかってことだ。明日になったら近隣住民から連絡があって、『始末してくれ』とか何だか言われるんだろうからさ」
男はまた「やれやれ」と息を吐いて、腕組みをした。
「苦情の電話やら、偽の迷惑電話やら、面倒事はいつも俺らに回ってくる。ほんと上の奴らも働けってのな」
男がしかめっ面で、ぶつぶつ文句を言っていると、もう一人の男が突然、肩を揺さぶってきた。
「なんだよ、俺は今、不平不満で頭ん中がいっぱいなんだ」
「ちげーって! ほら、アレ見てみろよ」
男が少し慌てた様子だったので、彼も腕を組んだまま、大人しく指さす方を見てみると、不思議なことに沢山あった大小さまざまな漂流物が、ぷくぷく泡になって消え始めているではないか。
「……どうなっているんだ」
男は自分が夢か幻でも見ているのかと思って目を擦ってみたが、事実として今この瞬間、さっきまでそこに存在していたモノが泡になって消えていくのを目撃した。
「――俺たち、夢でも見ているのか?」
「これは間違いなく夢だろ。それ以外にはあり得ない」
「んー、たしかに何だか眠
くなってきたような……」
「ああ、俺もだ」
二人の警察官はその場でヘナヘナと地面にへたり込むと、突然睡魔に襲われた様子ですぐに眠りに落ちてしまった。
――翌朝。
二人の警察官は近隣住民の通報で無事保護され、署へと戻って行った。そのとき、仲間の警察官から「昨日は何があったんだ?」と聞かれたが、二人ともその時の記憶をすっかり失くしてしまったようで、「昨日は何があったか分からない」ということしか、分からなかったそうだ。
朱猫が歓喜の声を上げた。
「あったよ、お兄さん‼」
朱猫は、砂浜に打ち上げられた拍子に積み上げられたタンスと椅子の隙間に手を伸ばして、画面の割れた薄っぺらいスマホを取り上げた。
「画面、つくか?」
夕樹は朱猫の持っているスマホを覗き込むようにして見る。
「んー」
ボタンというボタンを長押ししてみたり、画面をタップしてみたりしたけれど、やっぱり予想通り、スマホに反応はない。
「まぁ、見つかっただけでも良しとするかぁ。ありがとな、見つけてくれて」
「うん! アカネ、役に立ったでしょ?」
「ああ、役に立った」
夕樹は朱猫の頭を優しく撫でてやる。朱猫は少し照れくさそうにしていたが、それでもちょっぴり嬉しそうに笑っていた。
「よし、じゃあ車行くか」
「あい!」
朱猫が元気よく返事をして、それから、浜に打ち上げられた漂流物を指さした。
「あー、それは――」
夕樹は腕組みをして少し考えると、「ほっとこう。それは俺達にはどうすることも出来ん」と言った。
夕樹が先導して浜を歩く。その後ろを朱猫が付いて行くカタチで駐車場に入った。
幸いにも車の鍵は車内に置き忘れていたし、不用心にも車は開いたままだったので、二人はすんなり乗り込むことができた。
「……あー、しまった」
座席に座ったあとで、夕樹はちょっと後悔したように言った。
「先にビニール袋を被せておくんだった。俺らどうみても水に濡れて汚れているんだから」
「――大丈夫だよ。あとで洗えば」
「んでもなぁ、中の掃除って結構大変なんだぞ」
言いながら夕樹はエンジンを掛けて、ヘッドライトを点灯させた――ちょうど、そのとき。
「ちょっと君たち」
ふいに車のボディをコン、コンと叩く音が聞こえ、夕樹は車を発進させるのを止めた。それから窓を開けて顔を出すと、怠そうな顔をした警察官が二人、検問【怪しいことや、疑わしいことがないか、問いただして調べること】のために車両の前に立ちはだかった。
「さっきこの辺りから通報が入ったんだが、君たち何か知らんかね」
「あー、そのことなら俺、知ってますよ」
夕樹は軽い口調で答えると、「実はあそこの海辺で、親も連れずに子どもが歩 いていたのを見たって人と、さっき家の近くでばったり会ってね、その人かなり慌てた様子だったんで、俺も気になって声を掛けてみたんですよ」と海辺を指さして、二人の警察官の注意を逸らした。
「なんでも『急に女の子が波に攫われた!』とか、『急に漂流物が流れて来た!』とか、焦った口調でよく分からないことを言うものだから、俺も気になって、散歩がてら娘と一緒に様子を見に来たんですよ。――ああ、娘はよく『眠れない』と、夜に駄々をこねるもので。
それで、いざ来てみれば――いやぁ、何が何だかさっぱりですね。本当に漂流物がたくさん流れ着いている」
夕樹は平然とした態度で、でたらめなことを言いながら、より信憑性を持たせるために車から降りて、親切心たっぷりで浜辺に打ち上げられたガラクタの山を指さした。
「ほら、見えます? 影になって見えにくいでしょうけど、あそこにある黒い物体、ぜんぶ海から流れてきたやつらしいですよ」
「誰かがここに、いらないものを捨てたんじゃないのか?」
警察官の一人が腕組みをして、疑わし気に遠くの影を睨みつけている。
「波に打ち上げられたと言っても、あれだけ大きい物が流れ着くとは思えん。津波警報も出ていないのに、どうやったら、あんなにも沢山の物が打ちあがるのか理解できん」
「でもアレが事実ですよ。俺が何かを企てようと一人で浜に運び込んだ——とかっていう話は現実的じゃない。事情聴取でもすれば明らかだけど、あの漂流物は昨日までそこに無かったモノなんだ。大人でも一人では持ち上げられないモノがほとんどだしね。どうにかできるレベルではないでしょう」
夕樹がその口から流暢な日本語を垂れ流している間、警察官は「ふーむ」と唸りながら、どこか納得のいかない顔をしていた。
そこで夕樹はここぞとばかりに畳みかける。
「何を考えているかは知らないですけど、一度ご自身で持ち上げてみれば真相がハッキリするんじゃないですかねぇ」
「まぁ、そうだな」
「俺、持ち上げてみようかな」
もう一人の警察官が少しだけ嬉しそうに言うので、男は「やれやれ」と首を横に振った。
「持ち上げるなら、持ち上げて。見るなら、もっと近くで見てくださいね。アレは普通の家具とかじゃなかった。第一発見者がここにいないのは残念ですけど、俺たちもアレを見たところでどうにも出来なくて、困っていたところだったんです。おまわりさん、アレを何とかできませんか?」
「何とかって言ってもねぇ……、それを今、必死に考えているんじゃないか」
夕樹の巧みな言葉運びで、完全に警察官の注意が逸れている。二人がぶつぶつと自分の考えを口に出して、大方漂流物に気を取られているだろうことを確認すると、夕樹は抜き足、差し足で、一歩ずつ二人から距離をとった。
そうして二人に気付かれず、車のそばまで足を運びきると、中に朱猫が乗っているのを確認して、そっと運転席側のドアを開けた。
「でも妙な話だな」
警察官の一人が顔を上げた。
「俺、事務所で最初に受話器を取ったんだ。電話の声は男のもので、確かあんなような声をしていた」
「それは気のせいだろう。あの男は『別の人から聞いた』と言っていたぞ。世の中、声のレパートリーなんて少ないものさ。そんなことより――」
もう一人の警察官が何かを問いただそうとして振り返ったとき、そばにいたはずの男の姿が消えていた。おまけに、車もない。
彼は呆けた表情で、もう一人の男の顔をじっと見つめる。
「あの男、怪しくないか?」
「だから、それはさっき俺が言っただろう。あのときの電話の相手は、やっぱりあの男で間違いなかったんだ」
「でも逃げられたな」
「ああ、逃げられた。車種はレヴ●ーグだってことは分かったが、車のナンバーを見るのを忘れたよ」
「俺も忘れた」
二人の警察官は、お互いに見つめ合って溜息を吐いた。
「それにしても俺たちの課題は、あの漂流物をどう処理するかってことだ。明日になったら近隣住民から連絡があって、『始末してくれ』とか何だか言われるんだろうからさ」
男はまた「やれやれ」と息を吐いて、腕組みをした。
「苦情の電話やら、偽の迷惑電話やら、面倒事はいつも俺らに回ってくる。ほんと上の奴らも働けってのな」
男がしかめっ面で、ぶつぶつ文句を言っていると、もう一人の男が突然、肩を揺さぶってきた。
「なんだよ、俺は今、不平不満で頭ん中がいっぱいなんだ」
「ちげーって! ほら、アレ見てみろよ」
男が少し慌てた様子だったので、彼も腕を組んだまま、大人しく指さす方を見てみると、不思議なことに沢山あった大小さまざまな漂流物が、ぷくぷく泡になって消え始めているではないか。
「……どうなっているんだ」
男は自分が夢か幻でも見ているのかと思って目を擦ってみたが、事実として今この瞬間、さっきまでそこに存在していたモノが泡になって消えていくのを目撃した。
「――俺たち、夢でも見ているのか?」
「これは間違いなく夢だろ。それ以外にはあり得ない」
「んー、たしかに何だか眠
くなってきたような……」
「ああ、俺もだ」
二人の警察官はその場でヘナヘナと地面にへたり込むと、突然睡魔に襲われた様子ですぐに眠りに落ちてしまった。
――翌朝。
二人の警察官は近隣住民の通報で無事保護され、署へと戻って行った。そのとき、仲間の警察官から「昨日は何があったんだ?」と聞かれたが、二人ともその時の記憶をすっかり失くしてしまったようで、「昨日は何があったか分からない」ということしか、分からなかったそうだ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる