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私の王子様
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ピロンッ
携帯がさっきからうるさい。
私はあの後走って家まで戻り布団に潜った。
頭がぐちゃぐちゃにかき回されたみたいだ。
あんなに優しかった先生。
卒業したらちゃんと付き合おうってあの言葉はうそだったの?
ピロンッ
あぁもう。さっきからうるさいな。
しぶしぶと携帯を手に取り画面をみる。
「いったい誰から…。え?なんでこんなに?」
そこには誠くんからの不在着信やラインが10通ほど。
まぁ、置いて帰っちゃったから怒ってるよね。
先生からは一切ないし。
あの後帰って
「うそだよね?」
って送ったら
「ごめん。そう言う事だからもう終わりにしよう。」
ときてきて、それからは一切なにもない。
「私は遊びだったんだ。」
言葉に出すと虚しくなる。
涙が滲んできた。
「とりあえず誠くんに返信しないと。」
誠くんとのチャット画面を開く。
その時
ピロンッ
また通知がなった。
「今家にいるよな?下降りてこい。」
「え?」
あわててカーテンを開けて外を見る。
そこには誠くんが立ってこちらを見上げていた。
「うそ。なんで…」
とりあえず下に降りて玄関のドアを開ける。
「どうしてここに?」
「いや、たまたま近く通ったからさ。」
「そっか。」
まぁ、そりゃそーだよね。
そんな事ない限りここに来ることなんてないもん。
「大丈夫か?」
「なにが?」
がんばって平然を装って答える。
「大丈夫だよ。ちょっとビックリはしたけど。驚かせてごめんね。」
「無理に笑わなくていーよ。辛いんなら泣いていいんだ。」
そう言われた瞬間、私の中の感情が溢れ出して涙が止まらなくなる。
私はしゃくり上げながら
「私、先生のこと本気で好きだったんだよ。ほんとに大好きだった。」
「あぁ。」
「私どうしたらいいのかなぁ?」
もう訳がわからない。
自分がなにを話しているのかさえ。
「お前はこれからも先生と付き合いたいのか?」
それはない。
先生は結婚しちゃってるんだから。
「その顔はなさそうだな。ただ、ひきづってるってことか。」
「なんで分かったの?」
「お前すぐ顔に出るからなぁ。」
そう言ってクスクスと笑う誠くん。
なんか馬鹿にされてない?
「ならさ、いっそ最後に思い伝えてきな?話してきたら落ち着くだろ?」
「え?でも奥さんいるし…。先生結婚するんだよ?」
「でも、今まで付き合ってたんだからもうかわんないだろ。」
それもそうだ。
もう今更なんだって言うんだ。
急いで先生にラインする。
話があるので今から会えますか?と送ったら、意外とあっちも何か察しているのかすぐにOKの返事がきた。
「この後すぐ近くの公園で会うことなったんだけど、誠くんもきてくれない?」
「俺が行ってもいいのか?」
「うん。誠くんにいてほしい。自分1人じゃ冷静に話せないと思うし。」
「分かった。」
とりあえず2人で公園に向かう。
その間もずっとなにを話そうとグルグルしていたけど、一つだけちゃんと話すことは決まっていた。
ついた時には先生はもう来ていた。
「誠くんはここで待っててくれる?」
「あぁ。でも1人で大丈夫か?」
やっぱりなんだかんだ優しいなぁ。
「大丈夫だよ。」
そう言って、公園の入り口で誠くんと別れて先生のもとへ行く。
「先生…」
「あっ、鈴ちゃん…」
気まずい沈黙が2人の間に流れる。
「ごめん!騙すつもりじゃなくて、あれは仕方なく…」
必死に言い訳をする先生。
なんだか悲しくなる。
「もういいんです。」
「え?」
「私、先生の事大好きでした。」
「あぁ。知ってたよ。なのに本当にすまない。」
「先生と一緒にいれて楽しかったです。ご結婚おめでとうございます。ちゃんと幸せにならないと許しませんよ?」
「え?」
予想外の事を言われたからか、鳩が豆鉄砲くらったような表情をする先生。
「僕を許してくれるのか?」
「えぇ。ほんとは最初憎かった。悲しかった。なんでって思った。」
「すまない。」
「でも、嫌な思い出で終わらせたくないんです。あと、私にも味方になってくれる心強い人がいますから。」
そう言ってにっこりと笑う。
今度は心から笑えた。
「それは誠くんの事かい?」
「はい。先生は高校生らしい恋愛をしていいと言いました。だからこれからはそうしたいと思います。まだ誠くんどどうなるか分からないけど、頑張ろうと思います。今まで楽しい思い出をありがとうございました。お幸せに。」
「あぁ。俺の方こそありがとう。幸せになるよ。本当に君にはすまない事をした。これからはちゃんと幸せになってくれ。」
「はい!まぁ、本当に私の片想いなのでどうなるかわからないですけど…」
そう言って苦笑いを浮かべる。
本当の勝負はこれからだ。
「そんな事ないんじゃないか?」
「え?」
にっこりと笑う先生の視線の先には、誠くんがいつの間にか来ていたらしく立っていた。
「誠くんなんでここに?」
「いや、揉めたら大変と思って見張ってたらこいつと目があって呼ばれたんだよ。」
「え?先生なんで…」
「いや、なんか必死な姿見たら可愛くて。そして君は学校では王子様と言われてるけどそんな事はなくただの男の子だったんだね。」
「うるせぇよ。」
私を庇うように立つ誠くんが先生を睨みつける。
私は大丈夫なんだけど本当優しいなぁ。
「いや、悪い意味じゃなくてただの恋する普通の男の子って事さ。好きな子のために動けるってかっこいいよ。僕も見習わないとね。」
「え?好きな人って?」
そう言って誠くんの顔を見ると、誠くんの顔はほんのり赤くなっている。
そしてふいっと顔を逸らされた。
「まぁ、あとはお2人さんの邪魔をしちゃ悪いし僕はお暇させていただこうかな。」
そう言ってヒラヒラと手を振りながら去っていく先生。
その背中にありったけの思いを込めて
「今までありがとうございました!大好きでした!」
そう叫ぶ。
もうこれでこの恋心は最後だ。
これからはちゃんと向き合いたい人がいるから。
先生は足を止め振り返る。
「僕こそありがとう。こんな感じの別れになってしまって申し訳ないけど、僕は君たちを応援してるよ。」
そして、そうそうと思い出したように先生は
「女の子から言わせたらかっこ悪いぞ。男見せろ。誠。」
「うるせー!お前に言われたくねーよ。」
それを聞いて満足気に先生は去っていった。
「おわったな。」
「うん。」
「もう後悔はないのか?」
「うん。もうないよ。自分でも驚くほどに。」
本当に先生が好きだった。
それはうそじゃない。
でも私は引きづってない。
だって、そのおかげで出会えた奇跡もあるから。
「それより、最後の先生と話してたのなんだったの?」
「は?お前気付いてねーわけ?鈍感すぎるだろ。」
え?え?
気付いてないってなにが?
「あー、くそ。あの野郎にも言われっぱなしとかシャクだし、言う通りにするつもりもなかったけど…」
そう言ってワシャワシャとかみをかく誠。何かを決心したようにこちらを向いた。
「俺、お前の事も先生の結婚の話も最初から知ってたんだよ。」
え?最初から知ってた?
「俺みたいな男は苦手だろうし、かといってこうやって素を出したら引かれるんじゃと怖かった。」
え?誠くんが怖いって言った?
意外だ。
「お前、今俺のこと意外とか思っただろ。」
「え?なんで分かったの?!」
もしやエスパー?
人間じゃないとか?
いや、完璧な王子様の誠くんならあり得る…
「お前、今変なこと考えただろ?」
「いえ!滅相もない!」
本当か?って顔で覗き込まれる。
「まぁいいや。そもそも俺はお前らのことを誰かに話すつもりはなかった。でも、お前が悲しむ姿を見たくなくて、いっそ嫌われてでもあいつと居る時間をなくして別れさせてやろうと思った。」
「やっぱり優しいね。」
「そんなことはねーよ。俺は卑怯者だ。でも、お前のことをそれからどんどんもっと好きになっていった。」
「え?」
え?え?
今好きって言ったの?
私の事を誠くんが?
学校の王子様が?!
だからーっと言いながら髪をかく誠くん。
困った時にする癖だよね。
最近分かるようになってきた。
そんな誠くんを私は今愛しく思う。
「誠くん。」
「ん?なんだよ。」
ぶっきらぼうな言葉の中にも優しさがある。
私はこれを知ってしまった。
そんなあなたのことを私は
「大好きだよ。」
えっ?っと驚いた表情を浮かべる誠くんに思わず笑ってしまう。
「今なんて…」
私は迷いなく今は言える。
「誠くんの事が大好きです。ぶっきらぼうだけど優しい誠くんが。」
はぁっと息をついてしゃがみ込む誠くん。
そしてこっちに向き直り
「俺も鈴。お前が好きだ。まさかお前に先こされるとはな。かっこつかねーじゃん。」
そんな悪態を吐きつつにやけている誠くんをみてなんだか私も嬉しくなる。
「なら私たち両想いだよね?」
「あぁそうだな。」
「私とイルミネーション一緒に行ってくれる?」
「当たり前だ。てか、それもお前が言うのかよ。少しは俺に言わせろよー。」
そう言ってお互い笑い合う。
こんなにいい人と巡り合えたことが嬉しい。
「なら、俺に最後くらいは大事なこと言わせろよ。」
「え?大事なこと?」
何かあったっけ?と首を傾げる私。
お前なぁっと笑われた。
でもそれすら今は嬉しい。
「俺と付き合ってください。」
私は迷いなく答えた。
「はい!こちらこそよろしくお願いします。」
そのいって顔を上げるとおでこに柔らかい感触があたった。
それが誠くんの唇だと気付いた時の私の顔は誠くんより真っ赤だっただろう。
それから2人で笑い合う。
こんな時間がいつまでも続きますように。
バイバイ。過去の自分。
そして誠くん。
これからよろしくね。
携帯がさっきからうるさい。
私はあの後走って家まで戻り布団に潜った。
頭がぐちゃぐちゃにかき回されたみたいだ。
あんなに優しかった先生。
卒業したらちゃんと付き合おうってあの言葉はうそだったの?
ピロンッ
あぁもう。さっきからうるさいな。
しぶしぶと携帯を手に取り画面をみる。
「いったい誰から…。え?なんでこんなに?」
そこには誠くんからの不在着信やラインが10通ほど。
まぁ、置いて帰っちゃったから怒ってるよね。
先生からは一切ないし。
あの後帰って
「うそだよね?」
って送ったら
「ごめん。そう言う事だからもう終わりにしよう。」
ときてきて、それからは一切なにもない。
「私は遊びだったんだ。」
言葉に出すと虚しくなる。
涙が滲んできた。
「とりあえず誠くんに返信しないと。」
誠くんとのチャット画面を開く。
その時
ピロンッ
また通知がなった。
「今家にいるよな?下降りてこい。」
「え?」
あわててカーテンを開けて外を見る。
そこには誠くんが立ってこちらを見上げていた。
「うそ。なんで…」
とりあえず下に降りて玄関のドアを開ける。
「どうしてここに?」
「いや、たまたま近く通ったからさ。」
「そっか。」
まぁ、そりゃそーだよね。
そんな事ない限りここに来ることなんてないもん。
「大丈夫か?」
「なにが?」
がんばって平然を装って答える。
「大丈夫だよ。ちょっとビックリはしたけど。驚かせてごめんね。」
「無理に笑わなくていーよ。辛いんなら泣いていいんだ。」
そう言われた瞬間、私の中の感情が溢れ出して涙が止まらなくなる。
私はしゃくり上げながら
「私、先生のこと本気で好きだったんだよ。ほんとに大好きだった。」
「あぁ。」
「私どうしたらいいのかなぁ?」
もう訳がわからない。
自分がなにを話しているのかさえ。
「お前はこれからも先生と付き合いたいのか?」
それはない。
先生は結婚しちゃってるんだから。
「その顔はなさそうだな。ただ、ひきづってるってことか。」
「なんで分かったの?」
「お前すぐ顔に出るからなぁ。」
そう言ってクスクスと笑う誠くん。
なんか馬鹿にされてない?
「ならさ、いっそ最後に思い伝えてきな?話してきたら落ち着くだろ?」
「え?でも奥さんいるし…。先生結婚するんだよ?」
「でも、今まで付き合ってたんだからもうかわんないだろ。」
それもそうだ。
もう今更なんだって言うんだ。
急いで先生にラインする。
話があるので今から会えますか?と送ったら、意外とあっちも何か察しているのかすぐにOKの返事がきた。
「この後すぐ近くの公園で会うことなったんだけど、誠くんもきてくれない?」
「俺が行ってもいいのか?」
「うん。誠くんにいてほしい。自分1人じゃ冷静に話せないと思うし。」
「分かった。」
とりあえず2人で公園に向かう。
その間もずっとなにを話そうとグルグルしていたけど、一つだけちゃんと話すことは決まっていた。
ついた時には先生はもう来ていた。
「誠くんはここで待っててくれる?」
「あぁ。でも1人で大丈夫か?」
やっぱりなんだかんだ優しいなぁ。
「大丈夫だよ。」
そう言って、公園の入り口で誠くんと別れて先生のもとへ行く。
「先生…」
「あっ、鈴ちゃん…」
気まずい沈黙が2人の間に流れる。
「ごめん!騙すつもりじゃなくて、あれは仕方なく…」
必死に言い訳をする先生。
なんだか悲しくなる。
「もういいんです。」
「え?」
「私、先生の事大好きでした。」
「あぁ。知ってたよ。なのに本当にすまない。」
「先生と一緒にいれて楽しかったです。ご結婚おめでとうございます。ちゃんと幸せにならないと許しませんよ?」
「え?」
予想外の事を言われたからか、鳩が豆鉄砲くらったような表情をする先生。
「僕を許してくれるのか?」
「えぇ。ほんとは最初憎かった。悲しかった。なんでって思った。」
「すまない。」
「でも、嫌な思い出で終わらせたくないんです。あと、私にも味方になってくれる心強い人がいますから。」
そう言ってにっこりと笑う。
今度は心から笑えた。
「それは誠くんの事かい?」
「はい。先生は高校生らしい恋愛をしていいと言いました。だからこれからはそうしたいと思います。まだ誠くんどどうなるか分からないけど、頑張ろうと思います。今まで楽しい思い出をありがとうございました。お幸せに。」
「あぁ。俺の方こそありがとう。幸せになるよ。本当に君にはすまない事をした。これからはちゃんと幸せになってくれ。」
「はい!まぁ、本当に私の片想いなのでどうなるかわからないですけど…」
そう言って苦笑いを浮かべる。
本当の勝負はこれからだ。
「そんな事ないんじゃないか?」
「え?」
にっこりと笑う先生の視線の先には、誠くんがいつの間にか来ていたらしく立っていた。
「誠くんなんでここに?」
「いや、揉めたら大変と思って見張ってたらこいつと目があって呼ばれたんだよ。」
「え?先生なんで…」
「いや、なんか必死な姿見たら可愛くて。そして君は学校では王子様と言われてるけどそんな事はなくただの男の子だったんだね。」
「うるせぇよ。」
私を庇うように立つ誠くんが先生を睨みつける。
私は大丈夫なんだけど本当優しいなぁ。
「いや、悪い意味じゃなくてただの恋する普通の男の子って事さ。好きな子のために動けるってかっこいいよ。僕も見習わないとね。」
「え?好きな人って?」
そう言って誠くんの顔を見ると、誠くんの顔はほんのり赤くなっている。
そしてふいっと顔を逸らされた。
「まぁ、あとはお2人さんの邪魔をしちゃ悪いし僕はお暇させていただこうかな。」
そう言ってヒラヒラと手を振りながら去っていく先生。
その背中にありったけの思いを込めて
「今までありがとうございました!大好きでした!」
そう叫ぶ。
もうこれでこの恋心は最後だ。
これからはちゃんと向き合いたい人がいるから。
先生は足を止め振り返る。
「僕こそありがとう。こんな感じの別れになってしまって申し訳ないけど、僕は君たちを応援してるよ。」
そして、そうそうと思い出したように先生は
「女の子から言わせたらかっこ悪いぞ。男見せろ。誠。」
「うるせー!お前に言われたくねーよ。」
それを聞いて満足気に先生は去っていった。
「おわったな。」
「うん。」
「もう後悔はないのか?」
「うん。もうないよ。自分でも驚くほどに。」
本当に先生が好きだった。
それはうそじゃない。
でも私は引きづってない。
だって、そのおかげで出会えた奇跡もあるから。
「それより、最後の先生と話してたのなんだったの?」
「は?お前気付いてねーわけ?鈍感すぎるだろ。」
え?え?
気付いてないってなにが?
「あー、くそ。あの野郎にも言われっぱなしとかシャクだし、言う通りにするつもりもなかったけど…」
そう言ってワシャワシャとかみをかく誠。何かを決心したようにこちらを向いた。
「俺、お前の事も先生の結婚の話も最初から知ってたんだよ。」
え?最初から知ってた?
「俺みたいな男は苦手だろうし、かといってこうやって素を出したら引かれるんじゃと怖かった。」
え?誠くんが怖いって言った?
意外だ。
「お前、今俺のこと意外とか思っただろ。」
「え?なんで分かったの?!」
もしやエスパー?
人間じゃないとか?
いや、完璧な王子様の誠くんならあり得る…
「お前、今変なこと考えただろ?」
「いえ!滅相もない!」
本当か?って顔で覗き込まれる。
「まぁいいや。そもそも俺はお前らのことを誰かに話すつもりはなかった。でも、お前が悲しむ姿を見たくなくて、いっそ嫌われてでもあいつと居る時間をなくして別れさせてやろうと思った。」
「やっぱり優しいね。」
「そんなことはねーよ。俺は卑怯者だ。でも、お前のことをそれからどんどんもっと好きになっていった。」
「え?」
え?え?
今好きって言ったの?
私の事を誠くんが?
学校の王子様が?!
だからーっと言いながら髪をかく誠くん。
困った時にする癖だよね。
最近分かるようになってきた。
そんな誠くんを私は今愛しく思う。
「誠くん。」
「ん?なんだよ。」
ぶっきらぼうな言葉の中にも優しさがある。
私はこれを知ってしまった。
そんなあなたのことを私は
「大好きだよ。」
えっ?っと驚いた表情を浮かべる誠くんに思わず笑ってしまう。
「今なんて…」
私は迷いなく今は言える。
「誠くんの事が大好きです。ぶっきらぼうだけど優しい誠くんが。」
はぁっと息をついてしゃがみ込む誠くん。
そしてこっちに向き直り
「俺も鈴。お前が好きだ。まさかお前に先こされるとはな。かっこつかねーじゃん。」
そんな悪態を吐きつつにやけている誠くんをみてなんだか私も嬉しくなる。
「なら私たち両想いだよね?」
「あぁそうだな。」
「私とイルミネーション一緒に行ってくれる?」
「当たり前だ。てか、それもお前が言うのかよ。少しは俺に言わせろよー。」
そう言ってお互い笑い合う。
こんなにいい人と巡り合えたことが嬉しい。
「なら、俺に最後くらいは大事なこと言わせろよ。」
「え?大事なこと?」
何かあったっけ?と首を傾げる私。
お前なぁっと笑われた。
でもそれすら今は嬉しい。
「俺と付き合ってください。」
私は迷いなく答えた。
「はい!こちらこそよろしくお願いします。」
そのいって顔を上げるとおでこに柔らかい感触があたった。
それが誠くんの唇だと気付いた時の私の顔は誠くんより真っ赤だっただろう。
それから2人で笑い合う。
こんな時間がいつまでも続きますように。
バイバイ。過去の自分。
そして誠くん。
これからよろしくね。
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