王子様の裏の顔

ミュリウム

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見られた。

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夕陽が差し込む教室。
そこで私は1人の男性を待っている。
「早く来ないかなぁ。先生。」
外でみんなが部活をしている声が教室まで響いてくる。
教室には、みんな部活生以外帰ったのか私1人だ。
「お待たせ。結構待たせちゃったかな?」
ガラガラッと扉を開けて先生が入ってくる。
私は先生と付き合っている。
でも、周りには言えないから秘密の恋愛なんだよね。
ほんとはみんなみたいに、彼氏の事で盛り上がったり恋バナして、堂々と付き合いたいんだけど、なかなか先生と生徒じゃそうもいかないんだよね。
「遅いよー!待ちくたびれたんだから。」
ぷくっと頬を膨らませて拗ねてみる。
そんな私をみてごめんごめんと言いながら私の頭を撫でてくる先生。
私はこの先生の手で撫でられるのが大好きだ。
「やっぱり学校じゃなかなか話せないから寂しいなぁ。」
「まぁね。でも仕方ないさ。」
「そーだけど。」
「まぁまぁ。これで許して?」
そう言って優しいキスをする。
これでいいやって思えちゃう私は、結構簡単な女なんだろうなぁ。
その時ふと教室の扉の方から視線を感じてそっちをみる。
「あっ。」
クラスの誠くんがいた。
私と誠くんの目が合う。
なにもみてないような感じでどこかへ行ってしまった。
見られた。
秘密を見られた。
どうしよう。
混乱している私に気がついて先生が声をかけてくる。
「どうしたの?鈴ちゃん体調悪いのかな?」
「う、うん。そうみたい。なんかぼーっとしちゃってた。私そろそろ帰らないと。」
「そっかぁ。残念だけど仕方ないよね。まだ僕は仕事があるから送ってあげられないけど気をつけて帰ってね?」
「うん。ありがと。また明日ね?」
「はーい。また明日。」
適当な理由をつけて私は急いで教室を後にした。
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