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序章(プロローグ)
第35話 あれはまるで、ドラゴンか魔王か?!
しおりを挟む街の門を抜けしばらく歩いていると、森に差し掛かる手前の開けた場所で俺は取り囲まれる事となった。
まぁ分かっててわざと乗ってやったんだが。いつもは空を飛んで帰っているし、なんなら転移で瞬間移動もできるのだから。だが、魔力で隠れている兵士達の気配が分かったので、あえて歩いて近づいて行ったのだ。
すると、周囲の木の陰や岩の陰、土の中? からわらわらと兵士達が湧いてきた。どんどん増えて、最終的には百人…いや、二百人くらいか? 金属の鎧を着ているのが三分の一、簡易な革鎧または鎧なしで武器だけ持っているのが三分の一、ローブに杖を持っているのが三分の一といった感じ。騎士、平民の兵士、魔法使いという構成か。
ある程度統一感のある服装で統制の取れた動きをしているので軍隊で間違いなかろう。紋章は見覚えがある。街のあちこちで見かける紋章だ。つまり、街の領主の勢力と言う事だろう。
中央に出てきた馬に乗った指揮官ぽい奴が叫んだ。
指揮官「猫人カイト! ワッツローブ伯爵の命により、貴様を討伐する!」
「お前…先日の……名前は忘れたにゃ」
指揮官「私は賢者モイラーだ! 名前くらい憶えておけ! それともケダモノだから記憶力がないのか?!」
「名前は覚えてにゃいが、お前の事はちゃんと覚えてるぞ? お前は以前屋敷にやってきて、一人だけ生き残って猛スピードで逃げていった奴にゃ」
モイラー「くっ…! あの時はまんまと騙されたが今日はそうはいかんぞ?!」
「騙した? 何の事にゃ?」
モイラー「問答無用! 伯爵領の全戦力を持ってお前を討伐する! もはや逃れられぬと覚悟するがよい!」
「なぜにゃ? 俺が一体何をしたっていうにゃ?」
モイラー「この期に及んで惚けられるわけないだろうが! 俺の眼の前でシックス達を殺しておいて! …まぁシックス達はどうやって死んだのか、幻覚のせいでよく分からないが…、お前が騎士や貴族を殺したのは事実だろう、覚えがないとは言わせんぞ?」
「まぁ、覚えはない…事もないにゃ…。
でも、すべて攻撃されたから反撃しただけにゃ。正当防衛にゃ」
モイラー「獣人に正当などない! 如何なる理由があろうとも、人間を傷つけた獣人は害獣として処置するのみ!」
「“害獣”呼ばわりか…これは平行線だにゃあ…
まぁ確かに? 俺は人間じゃないから、人間に魔物扱いされて敵視される事もあるにゃろ。だが…
…やめておいたほうがいいにゃ
攻撃されれば反撃するにゃ。殺しに来るなら殺し返すにゃ。人間が俺を人間扱いしないのなら、俺も人間のルールに従う理由もないしにゃ
だいたい、お前は俺の力を見知っているはずにゃろ?」
モイラー「ふん、前回はお前の用意した罠にまんまと嵌ってしまったが、幻覚ももう通用せんぞ? 状態異常を防ぐ魔導具を身につけているからな! それにお前の屋敷と違ってここなら罠も用意できてはおるまい?」
「罠? 幻覚? さっきから妙な事言ってるが、一体何の話にゃ???
あーまさか、先日屋敷で見た事を、幻覚だと思ってたのか…?」
モイラー「ああ、伯爵に言われて私も冷静になった。実力差を演出しようとしたんだろうが、常識的な範囲にしておくべきだったな。あれが現実にありえないと言う事は私も分かる」
モイラー「実際、あの後もう一度お前の屋敷を見に行ったが、綺麗さっぱり何もなかった! それで全て理解した。領主様の言う通り、すべて幻を見せられていたというわけだろう?」
「いや、場所を移動しただけにゃが?」
モイラー「さすがに全員分は(状態異常を防ぐ魔導具を)用意できなかったが、これだけの数の兵士に幻覚を見せるのは無理だろう。覚悟する事だ」
「…話通じないから時間の無駄だにゃ。そう思うならさっさとやってみればいいにゃ。ただし攻撃してきた瞬間、お前達は死ぬだけにゃ」
そう言って俺は頭上を指さした。釣られて見上げるモイラーと兵士達。
そこには小さな火球がひとつ浮かんでいた。
モイラー「はは、やはりな! お前にできるのはせいぜいそんなものだろう! そんな小さな火球で何ができ……
……ばかな?!」
俺が頭上に浮かべた火球にどんどん魔力を込めていく。すると直径10センチほどであった火球がどんどん大きくなり、ついには10メートルほどにまで達した。
騎士1「モイラー殿! あれは……何ですか?」
騎士2「きっ、危険なんでは…?」
モイラー「ばっ、ばかもの! 幻覚だと言っただろうが! あれもそうに違いない。そう見えるだけで、実体はないに違いない!」
騎士1「ですが! 私も状態異常防止の魔導具を着けていますが、それでも見えますし、熱も感じます! モイラー殿もそうでしょう?!」
モイラー「……きっと、魔導具の効果がない種類の魔法なのだ! そうに違いない!」
いやいや違うだろうと言う顔でモイラーを見る兵士達……
まぁ分かっててわざと乗ってやったんだが。いつもは空を飛んで帰っているし、なんなら転移で瞬間移動もできるのだから。だが、魔力で隠れている兵士達の気配が分かったので、あえて歩いて近づいて行ったのだ。
すると、周囲の木の陰や岩の陰、土の中? からわらわらと兵士達が湧いてきた。どんどん増えて、最終的には百人…いや、二百人くらいか? 金属の鎧を着ているのが三分の一、簡易な革鎧または鎧なしで武器だけ持っているのが三分の一、ローブに杖を持っているのが三分の一といった感じ。騎士、平民の兵士、魔法使いという構成か。
ある程度統一感のある服装で統制の取れた動きをしているので軍隊で間違いなかろう。紋章は見覚えがある。街のあちこちで見かける紋章だ。つまり、街の領主の勢力と言う事だろう。
中央に出てきた馬に乗った指揮官ぽい奴が叫んだ。
指揮官「猫人カイト! ワッツローブ伯爵の命により、貴様を討伐する!」
「お前…先日の……名前は忘れたにゃ」
指揮官「私は賢者モイラーだ! 名前くらい憶えておけ! それともケダモノだから記憶力がないのか?!」
「名前は覚えてにゃいが、お前の事はちゃんと覚えてるぞ? お前は以前屋敷にやってきて、一人だけ生き残って猛スピードで逃げていった奴にゃ」
モイラー「くっ…! あの時はまんまと騙されたが今日はそうはいかんぞ?!」
「騙した? 何の事にゃ?」
モイラー「問答無用! 伯爵領の全戦力を持ってお前を討伐する! もはや逃れられぬと覚悟するがよい!」
「なぜにゃ? 俺が一体何をしたっていうにゃ?」
モイラー「この期に及んで惚けられるわけないだろうが! 俺の眼の前でシックス達を殺しておいて! …まぁシックス達はどうやって死んだのか、幻覚のせいでよく分からないが…、お前が騎士や貴族を殺したのは事実だろう、覚えがないとは言わせんぞ?」
「まぁ、覚えはない…事もないにゃ…。
でも、すべて攻撃されたから反撃しただけにゃ。正当防衛にゃ」
モイラー「獣人に正当などない! 如何なる理由があろうとも、人間を傷つけた獣人は害獣として処置するのみ!」
「“害獣”呼ばわりか…これは平行線だにゃあ…
まぁ確かに? 俺は人間じゃないから、人間に魔物扱いされて敵視される事もあるにゃろ。だが…
…やめておいたほうがいいにゃ
攻撃されれば反撃するにゃ。殺しに来るなら殺し返すにゃ。人間が俺を人間扱いしないのなら、俺も人間のルールに従う理由もないしにゃ
だいたい、お前は俺の力を見知っているはずにゃろ?」
モイラー「ふん、前回はお前の用意した罠にまんまと嵌ってしまったが、幻覚ももう通用せんぞ? 状態異常を防ぐ魔導具を身につけているからな! それにお前の屋敷と違ってここなら罠も用意できてはおるまい?」
「罠? 幻覚? さっきから妙な事言ってるが、一体何の話にゃ???
あーまさか、先日屋敷で見た事を、幻覚だと思ってたのか…?」
モイラー「ああ、伯爵に言われて私も冷静になった。実力差を演出しようとしたんだろうが、常識的な範囲にしておくべきだったな。あれが現実にありえないと言う事は私も分かる」
モイラー「実際、あの後もう一度お前の屋敷を見に行ったが、綺麗さっぱり何もなかった! それで全て理解した。領主様の言う通り、すべて幻を見せられていたというわけだろう?」
「いや、場所を移動しただけにゃが?」
モイラー「さすがに全員分は(状態異常を防ぐ魔導具を)用意できなかったが、これだけの数の兵士に幻覚を見せるのは無理だろう。覚悟する事だ」
「…話通じないから時間の無駄だにゃ。そう思うならさっさとやってみればいいにゃ。ただし攻撃してきた瞬間、お前達は死ぬだけにゃ」
そう言って俺は頭上を指さした。釣られて見上げるモイラーと兵士達。
そこには小さな火球がひとつ浮かんでいた。
モイラー「はは、やはりな! お前にできるのはせいぜいそんなものだろう! そんな小さな火球で何ができ……
……ばかな?!」
俺が頭上に浮かべた火球にどんどん魔力を込めていく。すると直径10センチほどであった火球がどんどん大きくなり、ついには10メートルほどにまで達した。
騎士1「モイラー殿! あれは……何ですか?」
騎士2「きっ、危険なんでは…?」
モイラー「ばっ、ばかもの! 幻覚だと言っただろうが! あれもそうに違いない。そう見えるだけで、実体はないに違いない!」
騎士1「ですが! 私も状態異常防止の魔導具を着けていますが、それでも見えますし、熱も感じます! モイラー殿もそうでしょう?!」
モイラー「……きっと、魔導具の効果がない種類の魔法なのだ! そうに違いない!」
いやいや違うだろうと言う顔でモイラーを見る兵士達……
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