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序章(プロローグ)
第19話 人間は信用してないにゃ
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ロデス「デメリット? 無いと思いますが……」
「現金を用意する必要がない? 数字を動かすだけで済むから待たされず楽?」
ロデス「はい」
「現金を使わずとも商業ギルドのカードで直接口座から決済できる?」
ロデス「ええ、そうです。ほとんどの店でカード決済が可能となっています」
「逆に言えば、商業ギルドの息の掛かった店でしか買い物ができなくなるって事にゃろ?」
ロデス「今どき商業ギルドのカード決済ができない店などほとんどないですよ?」
「ほとんど、にゃ。全部、ではないにゃろ? 使えないケースもあるって事にゃ」
ロデス「それは…まぁそうですが。現金も、いつでも引き出せますので。世界中に商業ギルドの支店はありますから」
「でも、今日の買い取り金額を全額下ろしたいと言っても、金庫に現金が足りないんにゃろ?」
ロデス「それは……ちょっと予想外の大金だったためで……」
「それに、商業ギルドに金を預けていたら、ギルド潰れてなくなったら金も全部なくなってしまう事になるにゃろ?」
ロデス「ははは、そんな事はありえませんよ。商業ギルドがどれだけ大きな組織だと思っているのですか? 世界で商業ギルドより大きな信頼できる商店は存在しないですよ? 商業ギルドが潰れてなくなるなんて事は絶対に有りえません」
「この世に絶対などないにゃ」
ロデス「う…むぅ…」
「仮に商業ギルドが潰れなかったとしても、金の管理を他人に任せれば、その人間に縛られる事になるにゃ。もし、商業ギルドと敵対したらどうなるにゃ?」
ロデス「敵対などする気はありませんが…」
「ギルドの職員に意地悪されて、金を降ろさせないとか動かせないとか言われたらどうすればいいにゃ? 金を降ろさせてほしければ言うことを聞けとか言われたら?」
ロデス「そっ! さすがにそんな事はないですよ! 絶対にない! 断言できます! そんな事をする職員がもし居たら、厳罰に処されますから!」
「……いや。人が大勢集まれば、絶対に目が届かなくなる部分があるはずにゃ。末端の人間まで、完全に管理し切れるのか? 本当に? そんな言葉は信じられないにゃ。商業ギルドはかなり大きな組織らしいが、汚職や横領など、不正を行った者は過去に一人も居なかったにゃ?」
ロデス「それは……」
「居たはずにゃ。それが人間にゃ。だから人間は信用できないにゃ」
ロデス「でも、現金を持ち歩くと危険ですよ?」
「それは大丈夫にゃ。亜空間に収納しておけば誰も手出しできないにゃ」
ロデス「そ、そうでしたね。でも、例えば、亜空間に収納したものを出せと脅されたり拷問されたりしたら…」
「そういう事があるから、人間とはなるべく関わりを持ちたくないにゃ。ギルドに所属すれば、必ず厄介事が起きてくるにゃ」
ロデス「そんな事はないですよ、私の責任で、ご迷惑を掛けるような事はないように致します」
「ちなみに、ギルドに所属するとなると、守らなければいけないギルドの規約とか、あるんじゃにゃいか? 義務とかも? 俺は自由が好きにゃ。ルールとかに縛られたkうないにゃ」
ロデス「それは、まぁ色々とルールはありますね…。義務も色々とありますが、それについてはカイト様に関しては免除させて頂きますよ」
「だからそういうのがダメにゃ! 特別扱いすれば、絶対にやっかむ奴が出てくるにゃ。そしてそういう奴に裏で嫌がらせされたりするようになるにゃ」
ロデス「……カイト様、人間の事に妙にお詳しいですよね……? 以前、人間の街で暮らした事が?」
「まぁ、遠い昔ににゃ…」(前世でにゃ)
ロデス「なるほど、そうでしたか…」
「人間は、酷いにゃ…。いまさらどこかの人間の組織の一員になるなどまっぴらにゃ」
「組織に属すれば、必ず柵ができてきて、自由が失われていくにゃ。絶対そうなるにゃ。俺はそういうのに縛られるのが嫌なんにゃ」
ロデス「はぁ……」
ロデスは少し大きなため息をつき、分かりましたと言った。
ロデス「多分、熱心に勧誘する事はカイト様には逆効果のようですね……」
では、と、ロデスは何やらギルドカードに似たカードを持ってきて渡してくれた。商業ギルドのVIPである事を示す顧客証明書だそうだ。ギルド員としての登録ではなく、商業ギルドの大事なお得意様である事の証明書という事らしい。
これを見せれば、すべての商業ギルドでVIP待遇で扱ってくれると言う。
まぁ、カスタマーカードくらいならいいかと、それは受け取ってやる事にした。あまりいじめても可哀想だしな。(と、こうして妥協してしまう事も、小さな柵のひとつであるよなぁと思うが、これも人間の街で売り買いをしてしまった自分の責任、この程度は受け入れるしかあるまい…。)
カードは魔導具になっていて、魔力紋を登録すれば使用制限を掛けられ不正使用できなくなると言う。
ちなみに実は、会った最初の時点から俺は、嘘を見極める【ライクラック】という魔法を発動している。これは相手に掛ける魔法ではなく、相手から発せられた気をこちらで察知分析するものであるため、相手には気づかれにくい。
それをロデスに明かしてみたところ、さすが賢者猫と関心していた。そういう魔法がある事はもちろん知っているが、人間では使えるのは【神官】という特殊なスキルを持つ者だけなのだそうだ。そして、そんな魔法が使えるなら是非使ってほしいと言う。実は、重要な契約を交わす時には商業ギルドでも使う事があるのだが、教会に金を払って神官を呼ぶらしい。
念のため、いくつか嘘を混ぜた事を言ってもらい、どれが嘘なのか当てるという実験をして、魔法が正常に働いている事を確認した。
ちなみに、ロデスが言った「私は人間です」という言葉は嘘判定となった。
「現金を用意する必要がない? 数字を動かすだけで済むから待たされず楽?」
ロデス「はい」
「現金を使わずとも商業ギルドのカードで直接口座から決済できる?」
ロデス「ええ、そうです。ほとんどの店でカード決済が可能となっています」
「逆に言えば、商業ギルドの息の掛かった店でしか買い物ができなくなるって事にゃろ?」
ロデス「今どき商業ギルドのカード決済ができない店などほとんどないですよ?」
「ほとんど、にゃ。全部、ではないにゃろ? 使えないケースもあるって事にゃ」
ロデス「それは…まぁそうですが。現金も、いつでも引き出せますので。世界中に商業ギルドの支店はありますから」
「でも、今日の買い取り金額を全額下ろしたいと言っても、金庫に現金が足りないんにゃろ?」
ロデス「それは……ちょっと予想外の大金だったためで……」
「それに、商業ギルドに金を預けていたら、ギルド潰れてなくなったら金も全部なくなってしまう事になるにゃろ?」
ロデス「ははは、そんな事はありえませんよ。商業ギルドがどれだけ大きな組織だと思っているのですか? 世界で商業ギルドより大きな信頼できる商店は存在しないですよ? 商業ギルドが潰れてなくなるなんて事は絶対に有りえません」
「この世に絶対などないにゃ」
ロデス「う…むぅ…」
「仮に商業ギルドが潰れなかったとしても、金の管理を他人に任せれば、その人間に縛られる事になるにゃ。もし、商業ギルドと敵対したらどうなるにゃ?」
ロデス「敵対などする気はありませんが…」
「ギルドの職員に意地悪されて、金を降ろさせないとか動かせないとか言われたらどうすればいいにゃ? 金を降ろさせてほしければ言うことを聞けとか言われたら?」
ロデス「そっ! さすがにそんな事はないですよ! 絶対にない! 断言できます! そんな事をする職員がもし居たら、厳罰に処されますから!」
「……いや。人が大勢集まれば、絶対に目が届かなくなる部分があるはずにゃ。末端の人間まで、完全に管理し切れるのか? 本当に? そんな言葉は信じられないにゃ。商業ギルドはかなり大きな組織らしいが、汚職や横領など、不正を行った者は過去に一人も居なかったにゃ?」
ロデス「それは……」
「居たはずにゃ。それが人間にゃ。だから人間は信用できないにゃ」
ロデス「でも、現金を持ち歩くと危険ですよ?」
「それは大丈夫にゃ。亜空間に収納しておけば誰も手出しできないにゃ」
ロデス「そ、そうでしたね。でも、例えば、亜空間に収納したものを出せと脅されたり拷問されたりしたら…」
「そういう事があるから、人間とはなるべく関わりを持ちたくないにゃ。ギルドに所属すれば、必ず厄介事が起きてくるにゃ」
ロデス「そんな事はないですよ、私の責任で、ご迷惑を掛けるような事はないように致します」
「ちなみに、ギルドに所属するとなると、守らなければいけないギルドの規約とか、あるんじゃにゃいか? 義務とかも? 俺は自由が好きにゃ。ルールとかに縛られたkうないにゃ」
ロデス「それは、まぁ色々とルールはありますね…。義務も色々とありますが、それについてはカイト様に関しては免除させて頂きますよ」
「だからそういうのがダメにゃ! 特別扱いすれば、絶対にやっかむ奴が出てくるにゃ。そしてそういう奴に裏で嫌がらせされたりするようになるにゃ」
ロデス「……カイト様、人間の事に妙にお詳しいですよね……? 以前、人間の街で暮らした事が?」
「まぁ、遠い昔ににゃ…」(前世でにゃ)
ロデス「なるほど、そうでしたか…」
「人間は、酷いにゃ…。いまさらどこかの人間の組織の一員になるなどまっぴらにゃ」
「組織に属すれば、必ず柵ができてきて、自由が失われていくにゃ。絶対そうなるにゃ。俺はそういうのに縛られるのが嫌なんにゃ」
ロデス「はぁ……」
ロデスは少し大きなため息をつき、分かりましたと言った。
ロデス「多分、熱心に勧誘する事はカイト様には逆効果のようですね……」
では、と、ロデスは何やらギルドカードに似たカードを持ってきて渡してくれた。商業ギルドのVIPである事を示す顧客証明書だそうだ。ギルド員としての登録ではなく、商業ギルドの大事なお得意様である事の証明書という事らしい。
これを見せれば、すべての商業ギルドでVIP待遇で扱ってくれると言う。
まぁ、カスタマーカードくらいならいいかと、それは受け取ってやる事にした。あまりいじめても可哀想だしな。(と、こうして妥協してしまう事も、小さな柵のひとつであるよなぁと思うが、これも人間の街で売り買いをしてしまった自分の責任、この程度は受け入れるしかあるまい…。)
カードは魔導具になっていて、魔力紋を登録すれば使用制限を掛けられ不正使用できなくなると言う。
ちなみに実は、会った最初の時点から俺は、嘘を見極める【ライクラック】という魔法を発動している。これは相手に掛ける魔法ではなく、相手から発せられた気をこちらで察知分析するものであるため、相手には気づかれにくい。
それをロデスに明かしてみたところ、さすが賢者猫と関心していた。そういう魔法がある事はもちろん知っているが、人間では使えるのは【神官】という特殊なスキルを持つ者だけなのだそうだ。そして、そんな魔法が使えるなら是非使ってほしいと言う。実は、重要な契約を交わす時には商業ギルドでも使う事があるのだが、教会に金を払って神官を呼ぶらしい。
念のため、いくつか嘘を混ぜた事を言ってもらい、どれが嘘なのか当てるという実験をして、魔法が正常に働いている事を確認した。
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