パワハラで人間に絶望したサラリーマン人間を辞め異世界で猫の子に転生【賢者猫無双】(※タイトル変更-旧題「天邪鬼な賢者猫、異世界を掻き回す」)

田中寿郎

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序章(プロローグ)

第13話 魔力欠乏で気絶してみた

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とりあえず、なんか不思議な効果のある恐ろしく美味な果物が二種類ある。当面の食べ物はこれでなんとかなるだろう。種類は少ないが、とりあえず贅沢は言わない。

それよりも心配だったのは、食料の備蓄方法である。

食料確保は行きていく上で最重要課題である。そして当面は果物が採れるとしても、それだけでは問題がある。果物が採れる季節は限られているからである。

だが大丈夫。転生前、種族を選ぶ時の条件として、数ある魔法の中でも【空間魔法】が使える事はマストの条件としてあったのだ。

空間魔法の中で最も有名なのは【収納魔法】であろう。亜空間というこの世界とは僅かに次元のズレた空間を作り出し、そこに物を収納しておけるという魔法である。

時間を停止した状態の収納空間を作る事も可能なので、そこに食べ物を入れておけば、腐る事もなく保存できる。

もちろん時間停止の収納空間を作るためには非常に多くの魔力が必要となるのだが、とりあえず製作が可能な程度には魔力は足りているようだ。

空間を作る時に込めた魔力の量によって、収納できる量、つまり収納空間の大きさが決まる。魔力が少ないと小さな空間しか作れず、大したものは入れられないと言う事になるが、魔力さえあれば、どんな大きな物でも収納可能ということである。

時間が外の空間と同じように自然に流れる収納空間であれば、より少ない魔力で作る事ができる。つまり、同じ魔力であればより大きな収納空間を作ることができるという事である。

収納空間はいくつでも製作できるようなので、時間停止と時間の流れる収納をそれぞれ作っておいて、使い分けるのが良さそうだ。

とりあえず、魔力を限界ギリギリまで消費して、時間停止の収納空間を作ってみる事にした。

これは、魔力を完全に枯渇するまで使ってしまうとどうなるか、試してみる意味もあった。

もしかしたら、魔力を完全に空になるまで消費してしまうと死んでしまう可能性もあるのでは? …と思わないでもなかったのだが…

…多分そんな事はないだろうと踏んだ。

例えば体力を限界まで使い切り、動けなくなったとしても別に死にはしない。それと同じだろうと思ったからだ。

もちろん体力だって生命維持に必要な分まで完全に使い切ってしまえば死んでしまうだろうが。

確か地球でも、限界ギリギリの飢餓状態の人間に食事を与えると、食べたものを消化・吸収しエネルギーに変換する分で最後の体力を使い切ってしまい死んでしまうという話を聞いたことがある。(※そういう場合は食事を与える前に、消化の必要がなく即座にエネルギーになるブドウ糖などを注射するのだそうだ。)

ただまぁ、多少絶食した程度でそこまでの飢餓状態になる事はない。魔力も多分、大丈夫じゃなかろうか? 実際に魔法をたくさん使って魔力が減っていく感触を意識してみたが、そこまでヤバい感じはしなかったし。

それに、仮に限界まで疲労? して動けなくなったとしても、今なら頑丈なドームの中で、外敵に襲われる心配もない。

ドームの扉は閉めて閂を掛けてから、ベッドの上で作業する。ベッド脇には土魔法で作ったテーブルを置き、何個かラキシスの実を置いておく。

そして、【収納空間】の作成を始める。どんどん魔力を注入していく。(魔力が)限界近くなると、ちょっと気が遠くなる感じがした。だが、あえて無理してそこからさらに魔力を注入していくと……

   ・
   ・
   ・

…ベッドの上で俺は目を覚ました。

どうやら気を失ったらしい。だが、死にはしなかったようだ。気絶して、しばらく寝て、魔力が自然回復したら目が覚めたということだろう。

魔力を使い切ってしまうと気絶してしまう事が分かったのは重要である。例えば魔物と戦闘中などに魔法を使いすぎて魔力が枯渇してしまうと、気を失って大変危険な状況となるだろう。戦闘中も、魔力は使い切らないように気をつける必要がある事になる。

― ― ― ― ― ― ―
※実は後に、この結論は訂正される事になるのだが。

俺は後日、そこからもう一歩突っ込んで調べてみたのだ。魔力を使い切っても気絶しないで持ちこたえる方法はないか、チャレンジしてみたのである。

結果、気をしっかりと持てば気絶する事もない事が分かった。慣れれば魔力が完全に枯渇した状態でも、普通に活動を続けられる。(まぁそうなるまでには、多少の訓練は必要であったが。)

どうやら魔力がゼロになっても肉体の生命力だけで生きてはいけるらしい。

ただ、その状態になると、体力というか生命力? が削られていくような気がしたので、なるべくやらない事にした。もしかしたら、魔力がなくなると肉体の消耗が激しくなって寿命が縮むとかありそうな感触がしたのだ。
― ― ― ― ― ― ―


とりあえず、現状で限界ギリギリサイズの魔法収納空間は製作できた。そして、やってみて分かったのだが、収納空間は、作る時に大きな魔力を必要とするが、一度作ってしまえば維持及び出し入れにはほとんど魔力が必要ないようだ。これはありがたい。

できた大容量収納空間に、泉の周辺に生えている果物のなる木から果物を収穫し、どんどん蓄積していった。食料備蓄がある程度確保できれば安心できる。

ただし……この作業も必要ない努力であった事が後に分かったのだが……。

なぜなら、泉の周辺の果物は、どれだけ収穫しても翌日になると木にはまた実が生っているのだ。そして、どれだけ月日が経っても実りの季節が終わる気配がない。

というかそもそも、季節が移ろっていく気配がないのだ。

季節が無いと言っても過言ではないくらい、気候が安定しているのか? そんな、なんて楽園であろうか……。


― ― ― ― ― ― ―
※ただ後にこれも訂正されたのだが。

後に泉の周辺を探索し、範囲を拡大していったところ、この泉の周辺だけが特殊な空間となっており、それ以外の場所にはちゃんと季節がある事が判明したのだ。当然、の世界では、果物などの収穫できる時期はやはり限られているようであった。
― ― ― ― ― ― ―


さらに、俺はどうやら魔力があれば食事はしなくても生きていける種族だったらしい事も後に判明した。

魔力はこの世界の空気中にも常に微量に含まれている。それを吸収するだけで、食べなくても生きていけるのだ。

まぁ食べる事は娯楽の一種でもあるので、やめる気はなかったが。

さて、食料備蓄の問題がなくなると、今度は贅沢が言いたくなってくる。食べ物の種類を増やしたくなるわけである。

現状では果物が二種類あるだけ。これではさすがに飽きてしまうだろう。さらに周辺を探検すれば、また違う種類の果物や食べられる植物や野菜なども発見できるかも知れない。

また、植物ばかりでなく、肉も食べたい。(そもそも、猫は肉食じゃなかったか?)

まぁ、魔法の実験・練習をしながら、少しずつ周辺の探索をしていく事にした。


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