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第三部 暗殺者編
第173話 今後の課題と行き先変更
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通常の魔導具(魔法陣)は魔石または使用者自身の魔力を動力源とする事が多いため、既存の魔法陣をそのまま投写しても効果は発動しないのである。
しかし、その魔法陣のソースコードを一部改変、再コンパイルし、リルディオンの魔力炉に接続して動力が供給されるように改造した事で、クレイは魔法を発動させる事ができるようになったのである。
(リルディオンとの接続は、亜空間通信にて行われる。つまり、空間魔法の術式をある程度解析する事ができたため、やっと実用化する事ができるようになったのである。)
光を投写する射程距離は、クレイが視認できる範囲であれば制約はない。弱い光なので暗い場所でなければ投写された魔法陣は殆ど見えないが、視認できるかどうかは問題ではないようで、強い光の中でも魔法は発動してくれた。
しかもこの光は、物質を透過して内部に魔法陣を映し出す事が可能であった。そのため、体の内側に魔法陣を投写し、転移を発動する事が可能であったのである。これを利用して、相手の体内から魔石や臓器を抜き取ってしまえるのではないかとクレイは考えたわけである。
クレイ 「できるとは思っていたけど、とんでもない能力だよなぁ……」
ただ、いざ使ってみて、今後の課題もたくさん生まれてしまった。
まず、光の魔法陣の投写速度と転移の発動速度の向上。さらに、複数同時発動の練習ももっと必要そうである。
自分が逃げるにせよ、相手を飛ばすにせよ、転移が完了する前に攻撃を受けてしまう可能性も否定できない事に気付いたのだ。
また、以前ダンジョンで少しだけ実験した時、上手く発動しないケースがあったのだ。(結果が不確実であったため、ダンジョン攻略中にはあまり使用しなかったのだ。肝心なところで不発では洒落にならない。)今後は発動の条件をキチンと調べておく必要がある。
今回の事件では、万が一、攻撃的転移が発動しなかった時は、【加速装置】を使って犯人を全員打ちのめすつもりであったが、幸い、転移は全て発動できた。
それから、反省点というか今後の課題として、他の魔法も使えるようになりたいと思うようになった。
これまでは空間魔法の研究が中心であったが、生活魔法に関しては必要なので解析して使用できるようになっている。使えるのは六種類。【水を出す】【風を出す】【温める】【冷やす】【着火】【清浄にする】であるが、それ以外にも攻撃に使えるような魔法陣をストックできれば、と考えたのである。
ただ、空間魔法の術式に関してもごく一部を解析しただけの状態である。(もう少し解析を深めれば、もっと使い勝手が良くなる部分もありそうである。)その他の魔法陣の解析もとなると、研究の時間はいくらあっても足りない。多分、一生掛かっても全てを解明する事は不可能だろうし意味はないだろう。
― ― ― ― ― ― ―
※さすがにクレイも空間魔法の術式をすべて解き明かそうとは思っていない。
クレイが前世の地球時代、最も普及していたOS “ドアーズ” も、そのソースコードは膨大過ぎて、すべてを一人で把握しているプログラマーは居ないと言われていた。
それぞれが、一部分のソースコードを担当し、それらがパッケージされた膨大な数の “コンテナ” が組み合わさって構成されているのである。(それゆえに、バグも多かったのだが。別の人間が担当したコンテナの動作が、他の担当者が作ったコンテナ同士とどのように干渉し合うかが、組み込んでみないと分からないのだ。組み込んで実際に動作してみておかしな挙動が出て初めて問題が発覚する。そして、問題が出ないように回避策を見つけ出し、対症療法的に対応していくしかないのであった。)
ただのコンピューターのOSですらそうである。魔法という、この世界の謎システムを全てソースコードで表現しようとしたら、それは天文学的な量となるだろう。一人の人間がそれを全て解析し、理解するなど無理な話であるとクレイも理解していた。
そのため、できることは、一部分のみ解明し、利用する事だけだろうとクレイも割り切っているのだ。
― ― ― ― ― ― ―
まぁ今後の課題はおいおい片付けていくとして。クレイはふと、やる事をひとつ思い出し、行き先を変える事にした。
クレイが向かったのはダイナドー侯爵の屋敷である。
しかし、その魔法陣のソースコードを一部改変、再コンパイルし、リルディオンの魔力炉に接続して動力が供給されるように改造した事で、クレイは魔法を発動させる事ができるようになったのである。
(リルディオンとの接続は、亜空間通信にて行われる。つまり、空間魔法の術式をある程度解析する事ができたため、やっと実用化する事ができるようになったのである。)
光を投写する射程距離は、クレイが視認できる範囲であれば制約はない。弱い光なので暗い場所でなければ投写された魔法陣は殆ど見えないが、視認できるかどうかは問題ではないようで、強い光の中でも魔法は発動してくれた。
しかもこの光は、物質を透過して内部に魔法陣を映し出す事が可能であった。そのため、体の内側に魔法陣を投写し、転移を発動する事が可能であったのである。これを利用して、相手の体内から魔石や臓器を抜き取ってしまえるのではないかとクレイは考えたわけである。
クレイ 「できるとは思っていたけど、とんでもない能力だよなぁ……」
ただ、いざ使ってみて、今後の課題もたくさん生まれてしまった。
まず、光の魔法陣の投写速度と転移の発動速度の向上。さらに、複数同時発動の練習ももっと必要そうである。
自分が逃げるにせよ、相手を飛ばすにせよ、転移が完了する前に攻撃を受けてしまう可能性も否定できない事に気付いたのだ。
また、以前ダンジョンで少しだけ実験した時、上手く発動しないケースがあったのだ。(結果が不確実であったため、ダンジョン攻略中にはあまり使用しなかったのだ。肝心なところで不発では洒落にならない。)今後は発動の条件をキチンと調べておく必要がある。
今回の事件では、万が一、攻撃的転移が発動しなかった時は、【加速装置】を使って犯人を全員打ちのめすつもりであったが、幸い、転移は全て発動できた。
それから、反省点というか今後の課題として、他の魔法も使えるようになりたいと思うようになった。
これまでは空間魔法の研究が中心であったが、生活魔法に関しては必要なので解析して使用できるようになっている。使えるのは六種類。【水を出す】【風を出す】【温める】【冷やす】【着火】【清浄にする】であるが、それ以外にも攻撃に使えるような魔法陣をストックできれば、と考えたのである。
ただ、空間魔法の術式に関してもごく一部を解析しただけの状態である。(もう少し解析を深めれば、もっと使い勝手が良くなる部分もありそうである。)その他の魔法陣の解析もとなると、研究の時間はいくらあっても足りない。多分、一生掛かっても全てを解明する事は不可能だろうし意味はないだろう。
― ― ― ― ― ― ―
※さすがにクレイも空間魔法の術式をすべて解き明かそうとは思っていない。
クレイが前世の地球時代、最も普及していたOS “ドアーズ” も、そのソースコードは膨大過ぎて、すべてを一人で把握しているプログラマーは居ないと言われていた。
それぞれが、一部分のソースコードを担当し、それらがパッケージされた膨大な数の “コンテナ” が組み合わさって構成されているのである。(それゆえに、バグも多かったのだが。別の人間が担当したコンテナの動作が、他の担当者が作ったコンテナ同士とどのように干渉し合うかが、組み込んでみないと分からないのだ。組み込んで実際に動作してみておかしな挙動が出て初めて問題が発覚する。そして、問題が出ないように回避策を見つけ出し、対症療法的に対応していくしかないのであった。)
ただのコンピューターのOSですらそうである。魔法という、この世界の謎システムを全てソースコードで表現しようとしたら、それは天文学的な量となるだろう。一人の人間がそれを全て解析し、理解するなど無理な話であるとクレイも理解していた。
そのため、できることは、一部分のみ解明し、利用する事だけだろうとクレイも割り切っているのだ。
― ― ― ― ― ― ―
まぁ今後の課題はおいおい片付けていくとして。クレイはふと、やる事をひとつ思い出し、行き先を変える事にした。
クレイが向かったのはダイナドー侯爵の屋敷である。
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