異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

文字の大きさ
上 下
131 / 184
第二部 ダンジョン攻略編

第131話  ダンジョン深層

しおりを挟む
そして、クレイがダンジョン攻略を開始してから半年が過ぎた。

到達階層は既に九百階層を越えた。

ここまで来るとさすがに一筋縄では行かない階層が多く、進行速度は落ちてしまっているが。

出てくる魔物も強いだけでなく癖が強くなっていき、難易度が高くなる。魔物もそうだが、フィールドの環境も特殊な階層も多くなっていった。

例えば溶岩地帯。

まるで川や湖のように溶岩が流れており、歩ける土の足場が少ない灼熱の階層である。歩ける土の部分も、触れれば火傷してしまいそうな熱さである。クレイは断熱服(冷却機能付き)と断熱ブーツ、そして浮かぶ足場をリルディオンで制作する事で対処した。



全て水中の階層。

アクアラングとウェットスーツを制作して対処。そういうアイデアとそれを作る技術がなければ絶対に攻略できない気がしたが、水中で活動できるようなスキルや魔法を使える者が、極めてレアではあるが存在しているという話をクレイは後で知った。



他には、酸素濃度が異常に薄い階層。

酸素が極端に少ないため、一呼吸しただけで気を失ってしまう。(酸素が極端に少ない空気が肺に入ると、血中から酸素が肺の中に吸い出されてしまうため。)ここでもアクアラングが役に立った。



とてつもない嵐が吹き荒れ、頻繁に落雷が起きる階層。

落雷は絶縁スーツと避雷針を作成して対処。突風は、土魔法を使って深めの溝を堀り、その中を通る事で対処した。



魔法が使えない階層。

どういうわけか空間に魔力が存在せず、魔力をとどめておく事ができないのである。階層のどこかに穴が開いていて、そこから魔力が吸い出されるように漏れ出しているようである。体内の魔力を放出してみても、拡散するかのようにあっという間になくなってしまう。それどころか、何もしなくても階層の中にいるだけで徐々に体内の魔力が吸い出されてしまうようである。

リルディオンから供給される魔力も垂れ流しになってしまうだけなので、なんとなくもったいない気がして、供給を一旦オフにしたクレイ。クレイはもともと魔力を生み出す臓器を持たない体質なので、魔力がなくとも何も感じないのだが、ふと見ると、仲間達は全員体からも魔力が抜けてしまい、魔力欠乏になって動けなくなっていたので、全員早々に退場させた。

ただ幸いにも? この階層で出現する魔物は、魔力がないため、魔物と言うよりただの獣であった。魔導銃は普通に撃つ事ができたので、散弾の連射モードでクレイ一人でなんとか対処する事ができた。(魔力の漏出? は亜空間内までは影響しないようで、亜空間内を通って射出される魔導銃は普通に撃つ事ができたのだ。考えてみれば、もし亜空間まで魔力が奪われていたら、マジックバッグの中身が維持できずに大変な事になってしまうだろう。)

この階層のボスモンスターは巨大なシロクマであった。地球のシロクマの三倍以上あろうかという巨体で、毛皮も硬く物理攻撃にはめっぽう強いタイプであったが、反面、魔法攻撃には非常に弱かった。弱点に気づいたクレイがリルディオンからの魔力供給をオンにし、膨大な魔力を無駄に垂れ流しながらもファイアーボールを当てたところ、思いの外あっさりと倒す事に成功した。



一切光のない闇の階層というのもあった。

ただ、その攻略は容易であったが。強い光を発生する光球を作り出し、空に浮かべたのだ。クレイは光系の魔法(魔法陣)が最も得意である。転移魔法陣も光の魔法を使って描いているのだから。リルディオンからの膨大な魔力供給を受け、光球はまるで太陽のように明るく階層内を照らしたが、光のない状態に適応していた魔物は強い光に弱く、それだけで動けなくなってしまったのだ。



透明な壁でできた迷路となっている階層もあった。

一見、何もないだだっ広い空間のように見えるが、進もうとすると見えない壁に阻まれるのだ。透明な壁はダンジョンの内壁と同様で容易に破壊できなかった。ただ、これも攻略はイージーであった。何故なら、クレイの左目の機能で迷路のマッピングが可能だったのである。クレイは階層内の迷路のマップを表示させ、迷路の抜け方を先に解析。あとはそれに沿って進むだけである。階層内には当然魔物も居たが、迷路にハマっているのは魔物も同じなのだ。お互いに、相手の姿は見えるのだが、その間に透明な壁でできた迷路があり、容易に近づくことができない状態のである。しかし、マップを見ながら進んでいるクレイには、どこで魔物と直接エンカウントするかが分かる。次の角を曲がれば接敵すると分かるのだから、その瞬間に銃で撃ってしまば終了である。



他にも、階層の床がすべて毒の沼になっている階層、階層内の空気がすべて毒霧になっている階層、階層内の空気に麻薬が混ざっている階層などもあったが、階層に踏み込む前にリルディオンで作らせたドローンを飛ばして状況を調査・解析し、都度対策を準備しながら進んだので、クレイ達が大きな被害を受けることはなかった。(ドローンはクレイのアイデアで作らせた四軸ヘリコプタータイプである。エリーに尋ねてみたが、このような機械は、リルディオンの時代も含めてこの世界には存在した記録はないようであった。)


しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される

マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。 そこで木の影で眠る幼女を見つけた。 自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。 実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。 ・初のファンタジー物です ・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います ・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯ どうか温かく見守ってください♪ ☆感謝☆ HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯ そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。 本当にありがとうございます!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

魔力ゼロの忌み子に転生してしまった最強の元剣聖は実家を追放されたのち、魔法の杖を「改造」して成り上がります

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
小説家になろうでジャンル別日間ランキング入り!  世界最強の剣聖――エルフォ・エルドエルは戦場で死に、なんと赤子に転生してしまう。  美少女のように見える少年――アル・バーナモントに転生した彼の身体には、一切の魔力が宿っていなかった。  忌み子として家族からも見捨てられ、地元の有力貴族へ売られるアル。  そこでひどい仕打ちを受けることになる。  しかし自力で貴族の屋敷を脱出し、なんとか森へ逃れることに成功する。  魔力ゼロのアルであったが、剣聖として磨いた剣の腕だけは、転生しても健在であった。  彼はその剣の技術を駆使して、ゴブリンや盗賊を次々にやっつけ、とある村を救うことになる。  感謝されたアルは、ミュレットという少女とその母ミレーユと共に、新たな生活を手に入れる。  深く愛され、本当の家族を知ることになるのだ。  一方で、アルを追いだした実家の面々は、だんだんと歯車が狂い始める。  さらに、アルを捕えていた貴族、カイベルヘルト家も例外ではなかった。  彼らはどん底へと沈んでいく……。 フルタイトル《文字数の関係でアルファポリスでは略してます》 魔力ゼロの忌み子に転生してしまった最強の元剣聖は実家を追放されたのち、魔法の杖を「改造」して成り上がります~父が老弱して家が潰れそうなので戻ってこいと言われてももう遅い~新しい家族と幸せに暮らしてます こちらの作品は「小説家になろう」にて先行して公開された内容を転載したものです。 こちらの作品は「小説家になろう」さま「カクヨム」さま「アルファポリス」さまに同時掲載させていただいております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

処理中です...