異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

文字の大きさ
上 下
101 / 184
第二部 ダンジョン攻略編

第101話 クレイ? 知らんな

しおりを挟む
ヤーマ 「言うにことかいて父親とか……笑わせる! すぐバレるような嘘つくんじゃねぇ!」

クレイ 「嘘など言ってないんだが…」

ポルトス 「…ヴァレット子爵には、子供はワルドマ様一人しか居ないはずだが? いや、まさか、領主の落胤だとでも…?」

クレイ 「別に妾の子というわけではない、ワルドマは俺の実の兄だよ。俺は魔力が少なくてな、ヴァレット家に迷惑が掛からないよう、家を出たんだよ。

―ああこの事は秘密だぞ? 表向きは、ヴァレット家には俺は存在しない事になっているんだ。外でベラベラ喋らると、領主から処罰されるかもしれん」

ポルトス 「それは…、本当なら、もちろん喋らんが…、本当の事なのか?」

クレイ 「俺には魔力はなかったが、魔導具作りの才能があってな。領主が持っていた魔導銃は、俺が作ってプレゼントしたものだ。似ていて当然だな」

ヤーマ 「領主家の秘密だって脅せば何も言えなくなると思ってのハッタリじゃないのか?! 証拠は?! お前が言ってる事が本当だという証拠は何もないだろうが!」

ポルトス 「領主家に確認させてもらう事になるがそれでもいいか?」

クレイ 「うーん、あまり実家に迷惑を掛けたくないんだがな。訊くだけならまぁ、いいか? 通信用の魔導具は冒険者ギルドにもある、それを借りれるかも…」

ヤーマ 「班長…もし嘘だったら俺達が領主様に何やってんだって叱られますよ。それより、まどろっこしい事していないで逮捕して隷属の首輪で自白させればいいでしょう! それでスピード解決だ! 少しは一班の連中を見返してやれますよ!」

ポルトス 「逮捕命令はまだ出ていない」

ヤーマ 「こうすればいいんですよ!」

そう言うと、ヤーマは突然床にひっくり返り、一番近くに居たルルを指差しながら叫び出した。

ヤーマ 「ああ! 痛い! 殴られた! コイツに殴られた! 暴行罪だ、逮捕だ! コイツラも全員仲間だ、まとめて逮捕だ~!」

ルル 「……何言ってるにゃ? ルルは指一本触れてないにゃよ?」

ヤーマ 「衛兵が殴られたって証言したんだからそれで逮捕できるんだよ! 衛兵の証言が信じられないってのか?! ポルトス班長、何をしてるんです、早く逮捕しちゃって下さい!」

クレイ 「……これは酷いな」

ポルトス 「…やめろヤーマ。俺はそういうやり方は好かんといつも言ってるだろうが!」

そう言われて渋々ヤーマは立ち上がった。

ヤーマ 「ポルトス班長は甘いんですよ! …そんなだから二班は一班に勝てないんだ…」

クレイ 「おいおい…、この街の衛兵は、いつもこんなやり方をしているのか?」

ポルトス 「……

…そういう方法もある事は否定しない。街の治安を維持するためには、綺麗事では済まない事もあるんだ。

まぁ俺としては、できるだけそういう乱暴なやり方は使いたくないんだがな…」

クレイ 「なんかいろいろ問題がありそうだなぁ……でも、俺が口を出すことでもないか…

それより、逮捕しないなら、領主に確認って事でいいのか?」

ポルトス 「そ、そうだな…」



  * * * *



ギルドマスターの執務室の通信機を借りて、ポルトスが領主家と通信している。

通信機の先に居るのはどうやらクレイの兄、ワルドマのようである。

ポルトス 「あの…ワルドマ様、東隊第二班の班長ポルトスです、お忙しいところ申し訳ありません」

ワルドマ 『ポルトスか? どうした? 何かあったのか?』

ポルトス 「それが、ですね、クレイと名乗る冒険者が、自分はヴァレット家の縁者だと言っておるのですが……間違いないですか?」

ワルドマ 『クレイ? そんな奴は知らんな』

クレイ 「?! ちょ――」
ヤーマ 「やっぱり嘘――」

ワルドマ 『――なんてな、冗談だ。声が聞こえたが、クレイ、そこに居るのか?』

クレイ 「…つまらん冗談はやめてくれよ…」

ワルドマ 『はははスマンスマン。だが、お前が家名を名乗るなんて珍しいな、どうかしたのか?』

クレイ 「すまんな兄さん、ここだけの話にするよう言ってある。別に俺がヴァレット家の人間だと吹聴して回ってるわけじゃないんで勘弁してくれ」

ワルドマ 『別に吹聴してもらっても構わんぞ? お前を貴族籍に戻したいって親父も言っていたろ?』

クレイ 「俺は平民の冒険者のままでいいんだよ」

ヤーマ 「嘘だろおい……本当に…ヴァレット家の…?」

ワルドマ 『ああ、クレイは俺の弟、ヴァレット家の人間で間違いない。何か問題でも?』

ポルトス 「っいえ! 問題など何も…!」

ワルドマ 「それはおかしいな、問題が何もないのにわざわざ連絡してきたわけじゃなかろう? 俺も暇じゃないんだが?」

クレイ 「ああ、スマン。俺が使っている魔導銃を見た者が居たらしくてな。俺が領主家から盗んだんじゃないかって疑われてるんだ」

ワルドマ 『ああ、なるほど。それは災難だったな。だが、今お前が使ってるは、領主家とは大分デザインが違っていると思うが…?』

クレイ 「細かいデザインの違いまでは誰も覚えてないんだとさ。まぁ俺も、ヴァレット家の紋章の入ったグリップを付けていたから良くなかった。今度から別のを使うよ」

ワルドマ 『別に構わんだろ、そのまま付けとけ。何が文句がある奴は、全部俺に言ってこさせればいい』

クレイ 「いちいち兄さんの手を煩わせる事もないさ」

ワルドマ 『少しは煩わせて欲しいんだがな?

――ポルトス、そういうわけだ。くだらん事で弟を煩わせるんじゃない。弟の事で何か文句があるなら全部俺に言って来い』

ポルトス 「はっ、いえ! その…はい! 分かりました、申し訳ありませんでしたっ……!」


しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)

田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ? コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。 (あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw) 台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。 読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。 (カクヨムにも投稿しております)

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

スキル【アイテムコピー】を駆使して金貨のお風呂に入りたい

兎屋亀吉
ファンタジー
異世界転生にあたって、神様から提示されたスキルは4つ。1.【剣術】2.【火魔法】3.【アイテムボックス】4.【アイテムコピー】。これらのスキルの中から、選ぶことのできるスキルは一つだけ。さて、僕は何を選ぶべきか。タイトルで答え出てた。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

処理中です...