異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

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第二部 ダンジョン攻略編

第99話 お前がクレイか?

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大量のオークの素材を出して買取担当の職員に悲鳴をあげさせてしまったクレイ達。

結局、査定に時間が掛かると言う事で、代金の支払いは明日という事になってしまった。

仕方がないので宿に帰ろうとしたところ、ロッテにサブマスが呼んでいると声を掛けられた。

そして、ギルド奥の会議室へ通されたクレイとルルリリ。そこに現れた男が名乗った。

ゴーン 「このギルドのサブマスターをしているゴーンだ」

クレイ 「呼びつけたくらいだから知ってるとは思うが、クレイだ。こっちの二人はルルとリリ。何か話があるとか?」

ゴーン 「ああ、その、なんだ、妙な噂を耳にしてな」

クレイ 「噂? どんな噂だ?」

ゴーン 「お前達、ダンジョンの階層内の魔物をすべて狩り尽くして回ってるらしいじゃないか?」

クレイ 「ああ…その事か。それはちょっと悪かったと思ってる」

ゴーン 「ああ、まぁ、狩り尽くしてはいけないというルールはないんだがな、ただそれをされると、他の冒険者が狩る獲物がなくなってしまって苦情が出るんでな」

クレイ 「もう苦情があったのか?」

ゴーン 「ああ、まぁ、そうなんだ。まぁ、マナーみたいなもんだな」

クレイ 「ああ、分かってる、もうやらないよ。……話はそれだけか?」

ゴーン 「まぁ、その、そんなところだが…。まぁ。ところで、階層内の魔物を三人で狩り尽くすというのは、まぁ? なかなか大した腕だな?」

クレイ (まぁまぁうるさいな、口癖か?)

クレイ 「まぁ? それほどでもないがな、まぁまぁ・・・・だな」

ゴーン 「…まぁ。その、なにか、強力な武器を持ってるんだって?」

クレイ 「…まぁ、な」

ゴーン 「どんな武器なんだ?」

クレイ 「まぁ、それは秘密だ」

ゴーン 「まあ? なんでだ? 見せられない理由でもあるのか?」

クレイ 「妙な事を言うな? 冒険者が自分の手の内を秘匿するのは当たり前の事じゃないか?」

ゴーン 「まぁ、他の冒険者に隠すのは分かるが、ギルドは別だ。ギルドは所属する冒険者の武器やスキルを把握しておく必要があるんだ」

クレイ 「…それは、任意だろう? 協力をお願いしているだけ、必ず従わなければならないルールではないはずだ」

ゴーン 「いや、まぁ、それはそうなんだがね。協力してくれれば、ギルド内での扱いも少し優遇されるようになるぞ? 逆に協力できないというのなら、それなりの扱いになる事もあるが…?」

クレイ 「脅しか? 別に優遇などしてもらわなくて結構だよ。強要するなら、冒険者ギルドなど脱退してもいい」

ゴーン 「脱退って…。今日登録したばかりだろう? そうまでして隠したがるとは、一体何を隠しているんだ? 概要だけ…なぜ見せられないのかその理由だけでも教えてくれないか?」

クレイ 「…言う必要はないな」

ゴーン 「…どうしてもか?」

クレイ 「用がそれだけなら帰らせてもらっていいか?」

ため息をつき、肩を竦めたゴーンを見て、用事は終わったと判断したクレイは、席を立つとひらひらと手を振りながら部屋を出ていったが、ゴーンは黙ってそれを見送った。

ゴーン 「……まぁこれは、鉄の爪が言ってた事も、あながち間違いではないかもしれんな…」



  * * * *



翌日、昼少し前にギルドにやってきたクレイとルル・リリ。昨日査定に出した大量のオークの素材の代金を受け取るためである。

だが、クレイが全て現金で要求したため、待たされる事になってしまった。

コウゾ 「少額ならともかくこの金額だ、急に言われても用意できないよ。現金で欲しいなら昨日のうちに言っといてくれないと」

コウゾというのはギルドの買取カウンター担当職員である。

クレイ 「悪いな。今後も俺からの買取はすべて現金で頼むよ、覚えといてくれ」

コウゾ 「なぁ、今日だけギルドカードに入金じゃ駄目なのか?」

クレイ 「悪いが、ギルドカードに入金だと、カードがトラブった時になくなってしまいそうで、信用できないんだよ」

コウゾ 「ギルドカードでトラブルが起きたなんて事、今まで聞いた事ないぞ?」

クレイ 「いや、現に昨日、俺のカードがエラーを起こして再登録させられる羽目になってるんだが?」

コウゾ 「え、マジ……?」

クレイ 「ああ、おかげでFランクから再スタートだよ、元はCランクだったのにな」

コウゾ 「え、それは酷いな。ランクだけでも元通りにしてもらえないのか? ギルマスに相談して…って、そうか、今ギルマスが居ないんだっけ」

クレイ 「まぁ、ランクには特に拘ってないから別にいいんだけどな。それで、どれくらいで用意できる?」

コウゾ 「ああ、少し待ってくれ。かき集めてる。二~三十分もあればなんとかなると思う」

と言うやりとりがあり、クレイとルルリリはギルド併設の酒場で昼食を取りながら待つ事にしたのだが…

そこに数人の衛兵が入ってくるのが見えた。衛兵は領主に雇われて街の防衛や治安維持を担っている者達なので、冒険者ギルドであまり見かけない。

珍しいなと思って見ていたクレイだが、衛兵はギルド職員と何か話したと思ったら、クレイのところにやってきた。

衛兵A 「お前がクレイか?」

クレイ 「人に名を尋ねる時はまず自分から名乗れって教わらなかったか?」

衛兵A 「む…。生意気な」

クレイ 「冒険者ギルドでそんな事気にするなよ。冒険者なんて生意気なもんだ」

衛兵A 「ああ、戦闘時に指揮系統を悟らせないために敬語を使わないんだったか? だが、冒険者は魔物を相手にする商売だろう? 言葉が分からない魔物相手にそれって意味あんのか?」

クレイ 「高ランクの魔物の中には言葉を理解する奴も居るんだよ」

衛兵A 「そうなのか。まぁ、正直少し羨ましいところもある、貴族に雇われている兵士は敬語を使わないなんてありえんからな」

クレイ 「……それで?」

衛兵A 「その前に一つ確認だ、お前は貴族ではないよな?」

クレイ 「ああ、平民の冒険者だ」

衛兵A 「そうか。たまに貴族の冒険者が居るもんでな、確認だ。いくらタメ口が基本の冒険者とは言え、貴族相手に知らずに失礼な口をきくと、やっぱりマズイ事になるもんでな。

平民なら遠慮はいらないな、俺は、見て分かるだろうがこの街の衛兵をしているヤーマだ」

ヤーマは鎧の胸についているヴァレットの紋章を見せながら言った。

クレイ 「…クレイだ。何か用か?」

ヤーマ 「ふむ、お前には、領主家から武器を盗み出した容疑が掛かっている」

クレイ 「……はぁ?」


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