異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

文字の大きさ
上 下
67 / 184
第一部 転生編

第67話 俺TUEEE?

しおりを挟む
試験に合格し、一気にCランクへと昇格したクレイは、めでたくダンジョン・リジオンへ入場する資格を手に入れ、早速ダンジョンへ来ている。

メンバーはクレイとトニー…

…だけではなく、ランクアップ試験に挑戦して合格した4人(※)と試験官のダードも一緒であった。

なんでも、特殊なダンジョンなので、最初の一回はギルドのガイドがついて説明してくれるのだそうだ。

※魔法使いの少女ルウナは失格となったらしい。ルウナは魔法については実力はあるそうなので、もう少し経験を積めば良い冒険者になるだろうとマスター・コウガイは言っていた。

ダンジョンは、意外と普通であった。確かに、ヴァレットの近くにあったペイトティクバダンジョンに比べると、かなり危険度の高い魔物が出る。

例えば、ペイトティクバの一階層では危険度Fの魔物しか出ないのだが、リジオンの一階層では危険度E~D当たりの魔物が出る。

ただ、Cランク以上でなければ入場させないというほど危険とは思えなかったのだが…

ダードの説明によると、このダンジョン、いたるところに転移系の罠があるのだそうだ。そして、次に飛ばされる先は色々であるが、いきなりCランク以上の魔物が出るような階層? に飛ばされる事などザラなのだとか。

そのため、罠にハマらないように、最初はギルドの先輩がガイドして説明してやる必要があるのだとか。

なるほど、Fランクの冒険者がCランク級の魔物にいきなり遭遇したら、瞬殺されて終わりであろう。

クレイ 「魔法陣……」

クレイはそれを聞いて目を輝かせる。自分の知らない新たな(高度な)魔法陣を求めてこのダンジョンまでやってきたのだ。

転移魔法陣の罠も一つ一つ記録して解析したいところなのだが、罠は一見してそれとは見えないのだそうだ。魔法陣が姿を表した時には既に遅く、転移がすぐに発動してしまい逃れられないのだそうだ。

クレイは、魔法陣の記録自体はスキルで一目見れば事足りるのだが、その後、どこに飛ばされるのか分からず、帰ってこられないと言う事では困ってしまう。

ただ、罠に嵌まらず、階層を最奥まで踏破してボスモンスターを倒せば、常設の魔法陣があるということなので(次の階層への階段などは現れず、転移魔法陣があるだけだそうだ)、それをまずは収録し、後でじっくり解析させてもらえば良いとクレイは考えた。

魔法陣は、ダンジョンを出る帰還用魔法陣の他に、いくつか魔法陣が現れるらしい。その中の一つだけが次の階層に移動する魔法陣であり、その他の魔法陣は罠だと言われているそうだ。

言われている、というのは、誰も転移先から戻ってこないから、どこへ飛ばされるのかは不明なのである。もしかしたらより危険度の高い階層へ飛ばされるだけなのかもしれないが…。

帰還用の魔法陣は割りとわかりやすくなっているそうだが、次の階層へ移動する正解の魔法陣はひとつだけで、その見分け方を伝授するのもガイドの役割なのだそうだ。

とりあえず、遭遇すエンカウントる魔物を倒しながらダンジョンの中を進む一行。

どうやらこのダンジョンから出てくる魔物は無機物系が中心らしい。ゴーレムやパペットなどである。生物系の魔物も出るが、圧倒的に無機物系が多い。

泥でできた人形の魔物、木でできた操り人形のような魔物、さらに木材や石、各種金属でできたゴーレム。Eランクは少なく、Dランクが多い。一階層目だけでもFランクの駆け出し冒険者では危険だろう。

ただ…

トニー 「なんか、このダンジョン、クレイにとっては楽勝なんじゃないか?」

そう、無機物系の魔物に対しては、クレイの魔導銃はめっぽう相性が良かったのだ。

無機物系の魔物には魔法による攻撃はあまり効かない。さりとて物理攻撃は効果があるが、弱点というわけではなく、通常の魔物よりもむしろ頑丈なくらいである。つまり、普通の冒険者はかなり苦戦する事になるのだ…

まず、多く出てくるのは土のゴーレム。動きは速くないのでそれほど脅威には感じないが、斬りつけてみても、土の身体ボディは傷つくものの、しばらくすると戻ってしまうのだ。

土なので、魔法も火系・風系はあまり効かない。水系の魔法は土系の素材でできたゴーレムにだけは多少効くが、効率はよくはない。一番効果的なのは土系の魔法である。土系の攻撃魔法である土の槍や石の槍などは、効果としては物理的な破壊力が主なので、土ゴーレムの身体を貫く事ができるのだ。そして、上手く体内の魔石を破壊できれば勝利である。

やっかいなのは、たまに出てくる砂や泥でできたゴーレムである。強さはそれほどではないのだが、なにせ砂や泥でできているがゆえに、物理攻撃が効かない。剣で切っても身体に線をつけるだけで、すぐに戻ってしまうのだ。土同様、火系・風系の魔法攻撃もあまり効かないのは当然だが、さらに水系もあまり効果がない。物理的な破壊をもたらす土系の魔法は効果がある。これも魔石を破壊できれば、である。砂ゴーレムや泥ゴーレムの魔石は、体内を常に移動しているのだそうで、まぐれ当たりを狙って攻撃し続けるしかないのだ。

唯一、高い効果があるのは氷系の魔法である。泥や砂を凍らせて動きを止めてしまえるし、氷の槍で魔石を破壊してしまう事もできるからである。

ただ、土系や氷系の攻撃は効果があるとはいえ、連発すればすぐに魔力が枯渇してしまう。

だが、クレイの散弾銃による攻撃なら、土や泥、砂でできたゴーレムの身体を広範囲に吹き飛ばしてしまえるのだ。大抵は一発目で吹き飛ばした中に魔石があるのでそれで終了、外しても、三発も撃てば身体全体を吹き飛ばせる。

他には、木材や石でできたゴーレムも出てくる。

木製ウッドゴーレムはそれほど驚異ではない。木製なので金属製の武器であれば傷つけられるし、また火にも弱い。ただ、木製ゴーレムにも素材に種類があるようで、異様に脆いゴーレムもある一方、たまに鋼鉄のように硬いゴーレムもあり、油断はできない。

さらに、石のゴーレム、金属製のゴーレムも出てくるが、駆け出しの冒険者にはこれは驚異である。身体が石や金属でできているため、防御力が極めて高いのだ。ただし、ゴーレムは一様に動きが遅いので、遭遇したら逃げるのも手だと指導するそうだ。細剣レイピアが主武器のダードも攻撃が通じにくいので、遭遇したら撤退するそうだ。無理に戦って剣を刃こぼれさせてしまうよりは、逃げたほうが効率が良いのだそうだ。

ただ、これらの頑丈なゴーレムも、クレイの魔導銃なら簡単に破壊できてしまった。散弾では散りすぎる・・・・・と弾かれてしまう事もあるが、通常弾丸であれば大抵破壊できた。中にはかなり頑丈な金属素材のゴーレムも居たが、貫通力を高めた弾丸を使えば簡単に破壊できたのだ。

ゴーレム系は大量には出てこないようなので、リボルバー式のライフルを使い、適切な弾丸を選択して装填しながら使う。比較的動きが遅いゴーレム系のモンスターはクレイにとっては格好の的でしかなかった。

また、洞窟系のダンジョンらしく、コウモリなどの飛翔系の魔物も出たのだが、それもクレイの散弾銃で数発で簡単に掃討できてしまう。

動きの速い魔物が大量に出てくるようなダンジョンだとクレイにとっては厄介だが、頑丈でも動きが遅く、数も少ないとなると、圧倒的破壊力がある魔導銃を使うクレイとは相性が良い。リジオンは意外と楽勝なダンジョンに思えるのであった。

クレイ 「俺、強ぇぇぇ? ってやつ?」


しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

捨てられた転生幼女は無自重無双する

紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。 アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。 ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。 アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。 去ろうとしている人物は父と母だった。 ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。 朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。 クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。 しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。 アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。 王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。 アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。 ※諸事情によりしばらく連載休止致します。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

魔力ゼロの忌み子に転生してしまった最強の元剣聖は実家を追放されたのち、魔法の杖を「改造」して成り上がります

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
小説家になろうでジャンル別日間ランキング入り!  世界最強の剣聖――エルフォ・エルドエルは戦場で死に、なんと赤子に転生してしまう。  美少女のように見える少年――アル・バーナモントに転生した彼の身体には、一切の魔力が宿っていなかった。  忌み子として家族からも見捨てられ、地元の有力貴族へ売られるアル。  そこでひどい仕打ちを受けることになる。  しかし自力で貴族の屋敷を脱出し、なんとか森へ逃れることに成功する。  魔力ゼロのアルであったが、剣聖として磨いた剣の腕だけは、転生しても健在であった。  彼はその剣の技術を駆使して、ゴブリンや盗賊を次々にやっつけ、とある村を救うことになる。  感謝されたアルは、ミュレットという少女とその母ミレーユと共に、新たな生活を手に入れる。  深く愛され、本当の家族を知ることになるのだ。  一方で、アルを追いだした実家の面々は、だんだんと歯車が狂い始める。  さらに、アルを捕えていた貴族、カイベルヘルト家も例外ではなかった。  彼らはどん底へと沈んでいく……。 フルタイトル《文字数の関係でアルファポリスでは略してます》 魔力ゼロの忌み子に転生してしまった最強の元剣聖は実家を追放されたのち、魔法の杖を「改造」して成り上がります~父が老弱して家が潰れそうなので戻ってこいと言われてももう遅い~新しい家族と幸せに暮らしてます こちらの作品は「小説家になろう」にて先行して公開された内容を転載したものです。 こちらの作品は「小説家になろう」さま「カクヨム」さま「アルファポリス」さまに同時掲載させていただいております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

王太子に転生したけど、国王になりたくないので全力で抗ってみた

こばやん2号
ファンタジー
 とある財閥の当主だった神宮寺貞光(じんぐうじさだみつ)は、急病によりこの世を去ってしまう。  気が付くと、ある国の王太子として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまうのだが、前世で自由な人生に憧れを抱いていた彼は、王太子になりたくないということでいろいろと画策を開始する。  しかし、圧倒的な才能によって周囲の人からは「次期国王はこの人しかない」と思われてしまい、ますますスローライフから遠のいてしまう。  そんな彼の自由を手に入れるための戦いが今始まる……。  ※この作品はアルファポリス・小説家になろう・カクヨムで同時投稿されています。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

処理中です...