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第一部 転生編
第11話 学園に行かされる
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クレイ 「完全に忘れてたわ…」
就職し、フリーのツールはほとんど使う機会がなくなっていたし、さらには、隣家の飼っていたクロネコの印象のほうが強く記憶に残っていた。
※仕事に忙殺される中で、いつも玄関の脇で待っている猫だけが唯一の癒やしだったのだ。奏は猫と会いたいがために、猫が大好きなチューブ入りのおやつを用意して手なづけていたのである。そのため、奏が帰る頃の時間になると、おやつのチューブ目当てにクロはいつも玄関脇で待っていたのだ。勝手にオヤツをやって、隣家の飼い主がどう思っていたかは知らない。)
そんなこんなで、デバッグツールの名称が「クロネコ」であった事についてはすっかり忘れていたのだ。
記憶を辿り、クロネコツールの起動コマンドをステータスボード=コマンド入力画面に入力してみる。(念じるだけで入力された。)
すると、クロネコツールが起動したのである。なるほど、クレイが持つシステムが地球のものであるなら、地球のアプリケーションは実行可能というわけか。
そして、クレイはクロネコ上から “デコンパイル” を実行してみた。
対象を指定してください:
と表示され、入力待ちのカーソルが点滅している。目の前にあった照明器具の魔道具に刻まれた魔法陣を指定してみると……
ステータスボードの画面に膨大な文字が高速に流れ始めたのであった。
ただ、そこからまた、長い研究の時間が必要であった。
ステータスボードに表示されたソースコードは古代魔法言語で書かれていた。デコンパイルする事でそれが見えるようになったものの、その内容を解析する必要があるわけで。幸い、これまでの成果で言語の構文ルールはかなり解析ができていたので、今度はプログラムの内容の解析に集中できた。
それでも気が遠くなるような作業であったが、プログラマであるクレイは、それをやり続けた。まずは簡単な魔道具の魔法陣から始まり、解析がある程度できたら(完全でなくとも)別の魔法陣をデコンパイルして解析してみる。研究は、いくら時間があっても足りなかった。。。
* * * *
そしてさらに何年かが過ぎ、クレイはついに十二歳になった。
この国の貴族の子女は、十二歳になると王都の貴族の学校に6年間通う事になっている。
ブランドはクレイを学校に通わせるか迷った。
ヴァレット家の三男は、魔なしの不良品という噂は既に貴族社会に広まっている。学校に行ってもイジメが待ち受けているのは間違いないだろう。
だが、貴族学園を卒業していなければ、貴族社会ではまともな貴族とみなされない。
ただ、この段階で、クレイは既にいくつか魔道具の制作に成功していた。なにせ、生まれてすぐに言葉を喋り始めたクレイである、その優秀さを理解しつつあった父ブランドは、魔法言語の研究成果や魔道具制作の技術を持ってすれば、もしかしたら、貴族として生きる事も可能ではないかと思い始めていたのである。
仮に表舞台には立てずとも、長男のワルドマに領主の座を譲った後、その補佐としての仕事は任せられるかも知れない。学校で勉強しておくことは、その時にも役に立つはずだ。
ただ、本人は学校に興味はないというのだが。クレイはいずれ(そう遠くない将来には)家を出ていくと言う。
まぁそれならそれで良い、本人の意志を尊重するつもりのブランドであったが、一応念のため、見学には行かせてみることにしたのだ。
王都の学校には既に長男のワルドマと姉のステラが通っている。ブランドは二人にクレイを連れて学校の中を見せてやるように言った。
だが、そこで(予想通り?)事件が起きた。
学校に通っているのは貴族の子女ばかりである。その中に、以前流れたヴァレット家の三男の噂を知っていた者が居たのだ。
最初、誤魔化そうとしたワルドマとステラであったが、意地の悪い同級生に捕まり、せっかく見学に来たのだから、魔力を測定してみようと言うことになってしまったのだ。
そしてクレイが魔なしであることはバレてしまった。
ヴァレット家に魔なしの子が生まれたという噂は一時期貴族の間に流れたものの、クレイはその後屋敷に籠もって一切外に出なかったため、その存在の噂は忘れられていた。何せ姿を見た者が居ないので、やはり単なる噂で実在しないのではないかと思われていたのだ。(あるいは実在していて、既に処分されているのではないかと貴族達も考えないではなかったのだが、実は、多かれ少なかれ生まれた子を処分した過去がある貴族は多く、皆ブーメランを恐れてその事には貴族達はあまり言及しないのであった。)
だが、その噂の三男は実在したのだ。どうやら処分も放逐もされていなかったというではないか。
そして、魔なしが貴族の学校に来てどうするのだと生徒たちに嘲笑された。
クレイは、自分が馬鹿にされるだけならば気にしなければ良いと思っていた。
だが、意地悪な貴族の子弟達は、クレイだけでなく、兄のワルドマと姉のステラまで侮辱したのである。
クレイを庇い、馬鹿にされても兄姉を見て、自分のために兄姉に辛い思いをさせる必要はないと、クレイは結局、学校へは行かない事にしたのであった。
ただ、学園に見学に言った事が思わぬ余波を生む。クレイを嘲笑した貴族の子息子女達が、ヴァレット家の三男が実在したという話を家に帰った折に親に話したのである。
口さがない貴族達の間でその噂はすぐに広まり、やがて、王都東騎士団長である叔母の耳にも入ったのである。
女だてらに騎士団長などしていた叔母のジャクリンには敵が多かった。そして、そんな貴族達は、ジャクリンの足を引っ張ろうとここぞとばかり、甥の事を騒ぎ立てたのであった。
行く先々で貴族達に嫌味を言われる事になった叔母は、ブチ切れて、クレイを始末しに兄の屋敷へ突撃してきたというわけである。
就職し、フリーのツールはほとんど使う機会がなくなっていたし、さらには、隣家の飼っていたクロネコの印象のほうが強く記憶に残っていた。
※仕事に忙殺される中で、いつも玄関の脇で待っている猫だけが唯一の癒やしだったのだ。奏は猫と会いたいがために、猫が大好きなチューブ入りのおやつを用意して手なづけていたのである。そのため、奏が帰る頃の時間になると、おやつのチューブ目当てにクロはいつも玄関脇で待っていたのだ。勝手にオヤツをやって、隣家の飼い主がどう思っていたかは知らない。)
そんなこんなで、デバッグツールの名称が「クロネコ」であった事についてはすっかり忘れていたのだ。
記憶を辿り、クロネコツールの起動コマンドをステータスボード=コマンド入力画面に入力してみる。(念じるだけで入力された。)
すると、クロネコツールが起動したのである。なるほど、クレイが持つシステムが地球のものであるなら、地球のアプリケーションは実行可能というわけか。
そして、クレイはクロネコ上から “デコンパイル” を実行してみた。
対象を指定してください:
と表示され、入力待ちのカーソルが点滅している。目の前にあった照明器具の魔道具に刻まれた魔法陣を指定してみると……
ステータスボードの画面に膨大な文字が高速に流れ始めたのであった。
ただ、そこからまた、長い研究の時間が必要であった。
ステータスボードに表示されたソースコードは古代魔法言語で書かれていた。デコンパイルする事でそれが見えるようになったものの、その内容を解析する必要があるわけで。幸い、これまでの成果で言語の構文ルールはかなり解析ができていたので、今度はプログラムの内容の解析に集中できた。
それでも気が遠くなるような作業であったが、プログラマであるクレイは、それをやり続けた。まずは簡単な魔道具の魔法陣から始まり、解析がある程度できたら(完全でなくとも)別の魔法陣をデコンパイルして解析してみる。研究は、いくら時間があっても足りなかった。。。
* * * *
そしてさらに何年かが過ぎ、クレイはついに十二歳になった。
この国の貴族の子女は、十二歳になると王都の貴族の学校に6年間通う事になっている。
ブランドはクレイを学校に通わせるか迷った。
ヴァレット家の三男は、魔なしの不良品という噂は既に貴族社会に広まっている。学校に行ってもイジメが待ち受けているのは間違いないだろう。
だが、貴族学園を卒業していなければ、貴族社会ではまともな貴族とみなされない。
ただ、この段階で、クレイは既にいくつか魔道具の制作に成功していた。なにせ、生まれてすぐに言葉を喋り始めたクレイである、その優秀さを理解しつつあった父ブランドは、魔法言語の研究成果や魔道具制作の技術を持ってすれば、もしかしたら、貴族として生きる事も可能ではないかと思い始めていたのである。
仮に表舞台には立てずとも、長男のワルドマに領主の座を譲った後、その補佐としての仕事は任せられるかも知れない。学校で勉強しておくことは、その時にも役に立つはずだ。
ただ、本人は学校に興味はないというのだが。クレイはいずれ(そう遠くない将来には)家を出ていくと言う。
まぁそれならそれで良い、本人の意志を尊重するつもりのブランドであったが、一応念のため、見学には行かせてみることにしたのだ。
王都の学校には既に長男のワルドマと姉のステラが通っている。ブランドは二人にクレイを連れて学校の中を見せてやるように言った。
だが、そこで(予想通り?)事件が起きた。
学校に通っているのは貴族の子女ばかりである。その中に、以前流れたヴァレット家の三男の噂を知っていた者が居たのだ。
最初、誤魔化そうとしたワルドマとステラであったが、意地の悪い同級生に捕まり、せっかく見学に来たのだから、魔力を測定してみようと言うことになってしまったのだ。
そしてクレイが魔なしであることはバレてしまった。
ヴァレット家に魔なしの子が生まれたという噂は一時期貴族の間に流れたものの、クレイはその後屋敷に籠もって一切外に出なかったため、その存在の噂は忘れられていた。何せ姿を見た者が居ないので、やはり単なる噂で実在しないのではないかと思われていたのだ。(あるいは実在していて、既に処分されているのではないかと貴族達も考えないではなかったのだが、実は、多かれ少なかれ生まれた子を処分した過去がある貴族は多く、皆ブーメランを恐れてその事には貴族達はあまり言及しないのであった。)
だが、その噂の三男は実在したのだ。どうやら処分も放逐もされていなかったというではないか。
そして、魔なしが貴族の学校に来てどうするのだと生徒たちに嘲笑された。
クレイは、自分が馬鹿にされるだけならば気にしなければ良いと思っていた。
だが、意地悪な貴族の子弟達は、クレイだけでなく、兄のワルドマと姉のステラまで侮辱したのである。
クレイを庇い、馬鹿にされても兄姉を見て、自分のために兄姉に辛い思いをさせる必要はないと、クレイは結局、学校へは行かない事にしたのであった。
ただ、学園に見学に言った事が思わぬ余波を生む。クレイを嘲笑した貴族の子息子女達が、ヴァレット家の三男が実在したという話を家に帰った折に親に話したのである。
口さがない貴族達の間でその噂はすぐに広まり、やがて、王都東騎士団長である叔母の耳にも入ったのである。
女だてらに騎士団長などしていた叔母のジャクリンには敵が多かった。そして、そんな貴族達は、ジャクリンの足を引っ張ろうとここぞとばかり、甥の事を騒ぎ立てたのであった。
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