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第五章 コジローの恋
第104話 コジローとモニカ、離婚
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隣国、バネダス共和国が黒幕と思われる騒動が繰り返され、ついに辺境伯クリスは挙兵の準備を始めた。場合によっては隣国と戦争も辞さない構えである。
まずはウィルモア領主からバネダス共和国へ苦情申し入れを行ったが、返答はなし。
明確に宣戦布告や侵略行為があったわけではないため、即座に戦争に突入と言う事にはならなかったが、バネダス共和国はウィルモア領との国境近くに兵を多く配備しており、その動きに対抗してウィルモア領も兵力を国境近くの街に集結した。
戦争となると、まず、領内の既存の兵力が集められ、次に領民から徴兵が行われる。冒険者には徴兵の義務はないが、冒険者からも参加者が募られる。
コジローにも領主から協力要請があったが・・・
コジローは断った。
国同士の争いに関わる気はなかったからである。
戦争が始まると、戦争に参加しない冒険者も忙しくなる。戦争に参加する冒険者が多くなるほど、街の冒険者が不足しがちになるので、魔物の討伐依頼などが滞りがちになるためである。
コジローは戦争には参加しないかわりに、街のギルドから出る魔物の討伐依頼を積極的にこなす事としたのであった。
だが、それがいけなかった。
不在がちになったコジローの目を盗んで、モニカが浮気していたのである。
領内の各街を飛び回り、討伐依頼を受けていたコジロー。被害をもたらしている原因の魔獣が発見できない状況では、村の護衛をマロに頼み、コジローが捜索に向かう事も多くなる。そうなると、マロを村の護衛に残して自分だけマドネリ村に帰るわけにもいかず、当然コジローもマロと一緒に泊まり込む事も多くなる。
そうして不在がちになっている間に、モニカはジョニーを家に連れ込んでいた・・・。
その日も、コジローは泊まりになるとモニカに告げて出かけたのであるが、偶々すぐに討伐対象の魔獣がみつかり、あっさり仕事が終わってしまったのである。そのため、コジローとマロはマドネリ村に戻ることにしたのである。
だが、転移で家にもどったコジローの前には、ベッドの上で抱き合っているモニカとジョニーが居たのであった。
コジローは、モニカと結婚して幸せだった。モニカを愛していた。
そのモニカが裸で、しかも自分の家のベッドで、男と抱き合っている。
気がついたら、コジローは次元剣を抜いていた。
ジョニーが襲ったというのなら、問答無用で切り捨てる。
愛する妻に乱暴するような者に容赦などしない。
だが
怯えるジョニーをモニカが庇ったのであった。
それがモニカの意志であるというのなら、仕方がない。
急速に冷静になったコジローは、静かに剣を納め、モニカに家から出ていくように言ったのである。
この世界は、一夫多妻は珍しい事ではない。
この世界は、常に魔物や盗賊との戦いを強いられる。また、戦争や紛争も多い。戦いに赴くのはどうしても男性が多くなるため、男性の死亡率が高く、男性が不足気味になる。
しかし、簡単に人の命が失われる世界だからこそ、常に、子孫を多く残すことは、人類存続のための優先事項となるのである。そのため、一人の生き残った男性が複数の女性に子供を産ませるのは、むしろ推奨される事なのである。
その逆、「一妻多夫」が忌避される文化・風習も特にないのだが、男性が少なく女性が多いという状況の中ではレアケースとなる。
マドリーとネリーから仲裁が入り、「一妻多夫」のような形で妻を共有する事例もあると聞かされたのだが、日本の出身であるコジローは、どうしても妻を共有するのは抵抗があり、受け入れられないのであった。
もちろん、マドリーとネリーも、本気で一妻多夫婚を進めていたわけではない。あくまでそういう事例もあると言っただけである。モニカが「離婚はしたくない」と言ったので、一応、言ってみただけであった。もちろん、多分コジローが受け入れる事はないだろうとは思っていたが。
モニカは一体どういうつもりなのか?
ネリーはモニカを問い質した。
その結果、モニカの気持ちを纏めると
コジローは嫌いではない
だが、やはりハンサムも嫌いではない
と言う事であった。。。
コジローの安定した経済力を手放したくないだけじゃないのか?と問い質され、それもあるとモニカは認めた。だが、コジローが最近相手をしてくれなくて不満があったとモニカは言う。
そう、コジローは夫婦生活がある時を境に急にできなくなってしまったのである。それは、コボルトの大群がニール村を襲った事件が原因であった。。。
集落で、救助された女性達の胎内から、魔物の胎児を取り出す作業をコジローは行った。その時見た胎児の光景がフラッシュバックしてしまい、そんな気にならなくなってしまったのである。
急に夜の生活がなくなり、しかもコジローがやたらと外泊をするようになり、モニカのほうも、コジローが外で別の女を作ったのではないか?と不安になったという。
もともとこの世界は一夫多妻は普通にあることなので、それについてモニカはコジローにはっきり言えなかったのであった。。。
コジローも、モニカに尋ねた。
モニカは、一夫多妻や一妻多夫、あるいは多妻多夫のような制度を許容できるのか?
モニカの答えは、この世界でなら、YESだと言う。
この世界は一夫多妻は当たり前にあることなので、嫌だけど我慢するという。
この世界では・・・?では、日本に居た時だったら?
答えは・・・NOであった。。。
モニカも、日本で生きた記憶がある。日本の文化も理解しているので、コジローの許せないという気持ちも理解できてしまう。それどころか、日本に居た時、モニカは、浮気なんて絶対許せないと思っていたのだった。
それなのに・・・
それを聞いて、コジローはモニカと離婚(わか)れる決断をしたのであった。
コジローは、前世の記憶・意識を持ったまま、この世界にいきなり大人の身体で転生した。その点は、赤ん坊としてこの世に誕生し、普通に育ってきて途中で記憶が蘇ったモニカとは、感覚が違うのかも知れない。
コジローには、自分の妻が他の男に抱かれている状況など、どうしても許せないのだった。
前世の記憶を思い起こし、コジローの気持ちを理解してしまったモニカは、離婚を承諾したのであった・・・
まずはウィルモア領主からバネダス共和国へ苦情申し入れを行ったが、返答はなし。
明確に宣戦布告や侵略行為があったわけではないため、即座に戦争に突入と言う事にはならなかったが、バネダス共和国はウィルモア領との国境近くに兵を多く配備しており、その動きに対抗してウィルモア領も兵力を国境近くの街に集結した。
戦争となると、まず、領内の既存の兵力が集められ、次に領民から徴兵が行われる。冒険者には徴兵の義務はないが、冒険者からも参加者が募られる。
コジローにも領主から協力要請があったが・・・
コジローは断った。
国同士の争いに関わる気はなかったからである。
戦争が始まると、戦争に参加しない冒険者も忙しくなる。戦争に参加する冒険者が多くなるほど、街の冒険者が不足しがちになるので、魔物の討伐依頼などが滞りがちになるためである。
コジローは戦争には参加しないかわりに、街のギルドから出る魔物の討伐依頼を積極的にこなす事としたのであった。
だが、それがいけなかった。
不在がちになったコジローの目を盗んで、モニカが浮気していたのである。
領内の各街を飛び回り、討伐依頼を受けていたコジロー。被害をもたらしている原因の魔獣が発見できない状況では、村の護衛をマロに頼み、コジローが捜索に向かう事も多くなる。そうなると、マロを村の護衛に残して自分だけマドネリ村に帰るわけにもいかず、当然コジローもマロと一緒に泊まり込む事も多くなる。
そうして不在がちになっている間に、モニカはジョニーを家に連れ込んでいた・・・。
その日も、コジローは泊まりになるとモニカに告げて出かけたのであるが、偶々すぐに討伐対象の魔獣がみつかり、あっさり仕事が終わってしまったのである。そのため、コジローとマロはマドネリ村に戻ることにしたのである。
だが、転移で家にもどったコジローの前には、ベッドの上で抱き合っているモニカとジョニーが居たのであった。
コジローは、モニカと結婚して幸せだった。モニカを愛していた。
そのモニカが裸で、しかも自分の家のベッドで、男と抱き合っている。
気がついたら、コジローは次元剣を抜いていた。
ジョニーが襲ったというのなら、問答無用で切り捨てる。
愛する妻に乱暴するような者に容赦などしない。
だが
怯えるジョニーをモニカが庇ったのであった。
それがモニカの意志であるというのなら、仕方がない。
急速に冷静になったコジローは、静かに剣を納め、モニカに家から出ていくように言ったのである。
この世界は、一夫多妻は珍しい事ではない。
この世界は、常に魔物や盗賊との戦いを強いられる。また、戦争や紛争も多い。戦いに赴くのはどうしても男性が多くなるため、男性の死亡率が高く、男性が不足気味になる。
しかし、簡単に人の命が失われる世界だからこそ、常に、子孫を多く残すことは、人類存続のための優先事項となるのである。そのため、一人の生き残った男性が複数の女性に子供を産ませるのは、むしろ推奨される事なのである。
その逆、「一妻多夫」が忌避される文化・風習も特にないのだが、男性が少なく女性が多いという状況の中ではレアケースとなる。
マドリーとネリーから仲裁が入り、「一妻多夫」のような形で妻を共有する事例もあると聞かされたのだが、日本の出身であるコジローは、どうしても妻を共有するのは抵抗があり、受け入れられないのであった。
もちろん、マドリーとネリーも、本気で一妻多夫婚を進めていたわけではない。あくまでそういう事例もあると言っただけである。モニカが「離婚はしたくない」と言ったので、一応、言ってみただけであった。もちろん、多分コジローが受け入れる事はないだろうとは思っていたが。
モニカは一体どういうつもりなのか?
ネリーはモニカを問い質した。
その結果、モニカの気持ちを纏めると
コジローは嫌いではない
だが、やはりハンサムも嫌いではない
と言う事であった。。。
コジローの安定した経済力を手放したくないだけじゃないのか?と問い質され、それもあるとモニカは認めた。だが、コジローが最近相手をしてくれなくて不満があったとモニカは言う。
そう、コジローは夫婦生活がある時を境に急にできなくなってしまったのである。それは、コボルトの大群がニール村を襲った事件が原因であった。。。
集落で、救助された女性達の胎内から、魔物の胎児を取り出す作業をコジローは行った。その時見た胎児の光景がフラッシュバックしてしまい、そんな気にならなくなってしまったのである。
急に夜の生活がなくなり、しかもコジローがやたらと外泊をするようになり、モニカのほうも、コジローが外で別の女を作ったのではないか?と不安になったという。
もともとこの世界は一夫多妻は普通にあることなので、それについてモニカはコジローにはっきり言えなかったのであった。。。
コジローも、モニカに尋ねた。
モニカは、一夫多妻や一妻多夫、あるいは多妻多夫のような制度を許容できるのか?
モニカの答えは、この世界でなら、YESだと言う。
この世界は一夫多妻は当たり前にあることなので、嫌だけど我慢するという。
この世界では・・・?では、日本に居た時だったら?
答えは・・・NOであった。。。
モニカも、日本で生きた記憶がある。日本の文化も理解しているので、コジローの許せないという気持ちも理解できてしまう。それどころか、日本に居た時、モニカは、浮気なんて絶対許せないと思っていたのだった。
それなのに・・・
それを聞いて、コジローはモニカと離婚(わか)れる決断をしたのであった。
コジローは、前世の記憶・意識を持ったまま、この世界にいきなり大人の身体で転生した。その点は、赤ん坊としてこの世に誕生し、普通に育ってきて途中で記憶が蘇ったモニカとは、感覚が違うのかも知れない。
コジローには、自分の妻が他の男に抱かれている状況など、どうしても許せないのだった。
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