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第五章 コジローの恋
第102話 隣国の陰謀1
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ノークの街の代官所に転移魔法陣を使って移動したリヴロットは、執務室へ直行し、代官を締め上げていた。
この代官は、以前乗り込んで監査したときは「可もなく不可もなく」という結果で、これといって悪さもしていない様子だったので放置していたのだが、どうやら悪いことはしないが良いこともしない、典型的な事なかれ主義の代官であったようだ。
領主の娘であり、現在は領主クリスの片腕として活躍しているリヴロットは、領主と同等に近い権限を与えられている。そのリヴロットの剣幕に代官は、報告が上がってきていなかったと言い訳をし、慌てて状況確認の指示を出すのであった。
ノークの街の近くの森の中に転移してきたコジローは、街へ歩いて入り、ギルドを目指した。そこでリヴロットと落ち合う事になっている。
到着してみると、既にリエが来ていた。どうやら馬を飛ばして来たらしい。アルテミルからならば、早馬であれば2~3時間というところで到着する。
ノークのギルドマスターであるマッチもまた、リエに締め上げられていた。本来であれば、ギルドからも状況を代官に報告、調査と討伐の対応をするべきだったのだ。
だが、代官が「何もしない」系だと、ギルドマスターもそういう空気になるらしい。あまり大事を好まず、消極的な対応しかしない人間性が見て取れた。
リエは、ノークのギルドマスターの交代も考える必要があると判断した。後で、ウィルモア領のギルド本部に進言する必要があるだろう。(いずれウィルモア領のギルド本部長になってほしいと言われているリエの発言権は、ギルド内でもかなり大きいのである。)
コジローがギルドに現れた直後、リヴロットもギルドにやってきた。早速状況を報告したコジローであったが、ノークのギルドマスターであるマッチは、1万以上のコボルトが居るという話が信じなかった。
「嘘を言うな、こんな見たこともない冒険者の報告など宛にならん!」
だが、マッチのそのような態度はリヴロットとリエに一蹴される。
リヴロット:「黙れ。コジローの力は私が保証する。私が信用できないか?」
リエ:「オマエだって"剣聖"の噂ぐらい聞いたことがあるだろう?」
またリエが余計なことを言っているのを聞き、コジローは自分は剣聖などではないと否定したが、時既に遅し。
ギルド内に居た冒険者達が、「あの噂の?!」「剣聖が来ているって!」と静かな騒ぎになってしまっていた。
とりあえず、今はそれどころではない。マロ達が守っているのでニール村は問題ないだろうが、村がダメとなると、コボルト達は他の場所へ矛先を向ける可能性がある。ニール村の次に近いのはこのノークの街である。ノークの街が大量のコボルトの襲撃を受ける可能性もある。
すぐにギルド内に緊急クエストが発令された。
動けるノークの冒険者は全員動員、ノークの代官所に詰めている騎士は多くはないが、今日中にはアルテミルから騎士隊も到着する予定である。それを待って、明日、夜が明けたら討伐隊を出発させることとなった。
コジローは一旦村に帰り、村人たちに状況を説明し、マロ達とともに村に一泊する事にした。普段は転移で家に帰って休むコジローであったが、マロ達を残して自分だけ帰るわけにも行かず。また、コボルトの襲撃を警戒してマロ達を引き上げさせる事もできなかったためである。
コジローは転移で一旦マドネリ村に戻り、妻のモニカに泊まりになることを告げ、またニール村に戻ったのだった。
翌朝、ノークを出発した討伐隊が村に到着、コジロー達と合流し、すぐさまコボルトの集落へ攻撃を開始する。
特に作戦はない。正面突破である。
集落の規模の大きさ、コボルトの数を見た冒険者達も騎士達は少々気後れしたようだったが、先陣を切ってリヴロットとリエ、コジローが斬り込んでいく。
さらに両翼からマロと子供たちが侵攻開始、魔法の矢の雨が降る。
マロの子供たちが降らせる魔法の矢の雨は、適当に降っているのではない。すべてが正確にコボルト達を狙って降下していく。その命中精度は百発百中、あれよあれよとコボルト達が殲滅されていく。
リエとリヴロット、コジローの攻撃も圧倒的である。「暴風」という二つ名をつけられるほどのリエの高速の連撃、魔法により強化された爆発的な踏み込みと予知能力による無駄のない斬撃のリヴロット。
さらに、加速を発動し神速の長剣を振り回すコジローは二人以上に異彩を放っていた。
「・・・俺たち、いらなくね?」
冒険者達はおもわず呟いたが、やはり数が数である。すぐに冒険者達と騎士達も集落になだれ込んでいき、やがて、殲滅を開始した。
一刻ほどが過ぎ、外部に居たコボルトの殲滅がほぼ終わり、残すは、集落の奥にあった洞窟の中だけとなった。
リエとリヴ、そしてコジローが中に居るコボルトを殲滅しながら奥へ進んでいく。
最奥に広い空間があり、そこには・・・
たくさんの人間の女達が捕らえられていた。
女達はみな妊娠している。
「人間の女をたくさん攫ってきて、子供を産ませていたのか?!」
ゴブリンやオークなど、亜人系の魔物は、人間の女を拐って子供を産ませる。そのため人間からは忌み嫌われるのだが、コボルトは、基本的には同種族同士で繁殖をするはずである。だが、亜人系だけあって、同じように人間を使った繁殖も可能だと言うことなのであろうか。
だが、ニールの村で女が攫われたという話は聞かなかった。ノークの街の周辺でもそのような話は出ていない。
ではこの女達はどこから・・・?
この代官は、以前乗り込んで監査したときは「可もなく不可もなく」という結果で、これといって悪さもしていない様子だったので放置していたのだが、どうやら悪いことはしないが良いこともしない、典型的な事なかれ主義の代官であったようだ。
領主の娘であり、現在は領主クリスの片腕として活躍しているリヴロットは、領主と同等に近い権限を与えられている。そのリヴロットの剣幕に代官は、報告が上がってきていなかったと言い訳をし、慌てて状況確認の指示を出すのであった。
ノークの街の近くの森の中に転移してきたコジローは、街へ歩いて入り、ギルドを目指した。そこでリヴロットと落ち合う事になっている。
到着してみると、既にリエが来ていた。どうやら馬を飛ばして来たらしい。アルテミルからならば、早馬であれば2~3時間というところで到着する。
ノークのギルドマスターであるマッチもまた、リエに締め上げられていた。本来であれば、ギルドからも状況を代官に報告、調査と討伐の対応をするべきだったのだ。
だが、代官が「何もしない」系だと、ギルドマスターもそういう空気になるらしい。あまり大事を好まず、消極的な対応しかしない人間性が見て取れた。
リエは、ノークのギルドマスターの交代も考える必要があると判断した。後で、ウィルモア領のギルド本部に進言する必要があるだろう。(いずれウィルモア領のギルド本部長になってほしいと言われているリエの発言権は、ギルド内でもかなり大きいのである。)
コジローがギルドに現れた直後、リヴロットもギルドにやってきた。早速状況を報告したコジローであったが、ノークのギルドマスターであるマッチは、1万以上のコボルトが居るという話が信じなかった。
「嘘を言うな、こんな見たこともない冒険者の報告など宛にならん!」
だが、マッチのそのような態度はリヴロットとリエに一蹴される。
リヴロット:「黙れ。コジローの力は私が保証する。私が信用できないか?」
リエ:「オマエだって"剣聖"の噂ぐらい聞いたことがあるだろう?」
またリエが余計なことを言っているのを聞き、コジローは自分は剣聖などではないと否定したが、時既に遅し。
ギルド内に居た冒険者達が、「あの噂の?!」「剣聖が来ているって!」と静かな騒ぎになってしまっていた。
とりあえず、今はそれどころではない。マロ達が守っているのでニール村は問題ないだろうが、村がダメとなると、コボルト達は他の場所へ矛先を向ける可能性がある。ニール村の次に近いのはこのノークの街である。ノークの街が大量のコボルトの襲撃を受ける可能性もある。
すぐにギルド内に緊急クエストが発令された。
動けるノークの冒険者は全員動員、ノークの代官所に詰めている騎士は多くはないが、今日中にはアルテミルから騎士隊も到着する予定である。それを待って、明日、夜が明けたら討伐隊を出発させることとなった。
コジローは一旦村に帰り、村人たちに状況を説明し、マロ達とともに村に一泊する事にした。普段は転移で家に帰って休むコジローであったが、マロ達を残して自分だけ帰るわけにも行かず。また、コボルトの襲撃を警戒してマロ達を引き上げさせる事もできなかったためである。
コジローは転移で一旦マドネリ村に戻り、妻のモニカに泊まりになることを告げ、またニール村に戻ったのだった。
翌朝、ノークを出発した討伐隊が村に到着、コジロー達と合流し、すぐさまコボルトの集落へ攻撃を開始する。
特に作戦はない。正面突破である。
集落の規模の大きさ、コボルトの数を見た冒険者達も騎士達は少々気後れしたようだったが、先陣を切ってリヴロットとリエ、コジローが斬り込んでいく。
さらに両翼からマロと子供たちが侵攻開始、魔法の矢の雨が降る。
マロの子供たちが降らせる魔法の矢の雨は、適当に降っているのではない。すべてが正確にコボルト達を狙って降下していく。その命中精度は百発百中、あれよあれよとコボルト達が殲滅されていく。
リエとリヴロット、コジローの攻撃も圧倒的である。「暴風」という二つ名をつけられるほどのリエの高速の連撃、魔法により強化された爆発的な踏み込みと予知能力による無駄のない斬撃のリヴロット。
さらに、加速を発動し神速の長剣を振り回すコジローは二人以上に異彩を放っていた。
「・・・俺たち、いらなくね?」
冒険者達はおもわず呟いたが、やはり数が数である。すぐに冒険者達と騎士達も集落になだれ込んでいき、やがて、殲滅を開始した。
一刻ほどが過ぎ、外部に居たコボルトの殲滅がほぼ終わり、残すは、集落の奥にあった洞窟の中だけとなった。
リエとリヴ、そしてコジローが中に居るコボルトを殲滅しながら奥へ進んでいく。
最奥に広い空間があり、そこには・・・
たくさんの人間の女達が捕らえられていた。
女達はみな妊娠している。
「人間の女をたくさん攫ってきて、子供を産ませていたのか?!」
ゴブリンやオークなど、亜人系の魔物は、人間の女を拐って子供を産ませる。そのため人間からは忌み嫌われるのだが、コボルトは、基本的には同種族同士で繁殖をするはずである。だが、亜人系だけあって、同じように人間を使った繁殖も可能だと言うことなのであろうか。
だが、ニールの村で女が攫われたという話は聞かなかった。ノークの街の周辺でもそのような話は出ていない。
ではこの女達はどこから・・・?
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