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第五章 コジローの恋
第100話 コボルト大発生?!1
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コジローは、モニカと結婚してめっきりギルドに顔を出さなくなっていた。
しかし「たまには顔を出せ」とギルドマスターのリエからの伝言を受けとったため、マルスを伴って久々にギルドに出向く事にした。
ギルドでは、リエが手が空いているからと、訓練場で剣の練習に付き合ってくれた。ギルドマスターは本当はそんなに暇であるはずはないのだが、リエとしても気分転換の意味もあったようだ。
リエは、アルテミルに戻っていた領主の娘、リヴロットも呼んで、コジロー・マルス・リエ・リヴロットで模擬戦を交えながら剣の訓練をこなした。
今ではコジローも、魔法による補助を使わなくともCランク程度の剣の腕には到達していたので、それなりに充実した時間を過ごすことができた。
マルスも、コジローでは教えられない剣の基礎技術をリエやリヴロットから教わることができて嬉しそうな顔をしており、リエとリヴも、素直で明るいマルスに好感を持っていた。
訓練が終わり、四人でギルド併設の酒場で冷たい水を買って飲んでいたところ、受付に少年が二人声をかけているのが見えた。何やら依頼をもってきたようである。
内容を聞いた受付嬢・エイラが、珍しく血相を変えてリエを呼びに来たのだ。
コジローも近くに寄って話を伺ってみたが、どうやら討伐依頼を少年達はもってきたらしかった。アルテミルの東にはノークという街があるが、その近くにニールという小さな村がある。その村から来た、少年達は、アントとビートと名乗った。
曰く、ニール村の近くにコボルトの集落ができており、大量発生したコボルトが村を襲うようになり村が壊滅しそうな状態だという。
その程度の依頼はどこの街のギルドにもよくあることなのだが、今回はその規模が桁違いで、確認されただけでコボルトの数が千匹、集落にはその倍以上はいる可能性が高いとのこと。
村に一番近いノークの街は代官を置くくらい大きな街である。なのになぜわざわざアルテミルまで少年たちは来たのか?
リエがよくよく話を聞いてみたところ、どうやら村は大変貧しく、依頼料が出せないのだという。
だが、そのような魔物の討伐であれば、領主が金を出して冒険者なり騎士団なりを派遣する義務があるはずである。だが、ノークの代官は少年たちの訴えを相手にしてくれなかったらしい。
村からノークへ向かった時は少年たちと一緒に大人も居たのだが、途中、コボルトに襲われ、少年たちだけが逃され、なんとかノークに辿り着いたとのこと。
少年達はすぐにノークの代官に救援を訴えに行ったのだが、子供たちだけで来たため、代官は相手にしてくれなかったのだという。
ノークにも冒険者ギルドはある。気の毒に思った衛兵が、討伐依頼なら冒険者ギルドに行くといいと教えてくれ、少年たちはノークのギルドに討伐依頼をしたのだが、ギルドでは討伐依頼は受け付けてくれたものの、その報酬が安すぎて引き受ける冒険者がいなかったらしい。
そこで、領主が今はアルテミルに居るらしいと聞いた少年達は、二人でアルテミルを目指したという。途中、親切な商人の馬車に乗せてもらえ、ここまで辿りつけたらしい。
少年たちは領主の館の場所が分からなかったため、ギルドに立ち寄って領主の館の場所を教えてもらうつもりだったのだ。
一緒に話を聞いていたリヴロットの顔が怒りで引き攣った。少年たちの話が本当なら、ノークの代官が仕事をキチンとこなしていない事の証明である。
ウィルモア領は現在、各地の行政立て直しの真っ最中である。領主の娘であるリヴロットも、各都市に派遣された代官を監査・粛正に尽力してきたのである。
ノークの代官は、税を不当に高く徴収したり私服を肥やしたりという事はしていなかったので、転移魔法陣設置の時の簡易監査では見逃されていたのであるが、どうやら正体は、悪いことはしないが良いこともしない怠慢な代官であったようである。
リヴロットはその場で、金は領主から出すからすぐにでも討伐隊を出すようにリエに指示した。領主の娘としての立場の指令である。
魔物の集落ができているという報告があった場合、まずは、その噂の審議を確かめるため、冒険者に偵察の依頼を出して情報の真偽を確認する必要がある。
だが、もし少年たちの言っている事が本当なら、事は一刻を争う。
リエとリヴロットははコジローの顔を見た。コジローも黙って頷く。
この依頼は、コジローが引き受ける事となった。
まずは、状況の調査をして報告、それを受けてから改めて討伐開始。当然、討伐の準備は先に進めておく。アルテミルから冒険者を募り、また騎士団も派遣。ノークの代官は転移魔法陣でリヴロットが乗り込んで締め上げ、その上で同じく討伐隊の準備をしておくという話で進んでいった。
コジローは即座にノークの街の外に転移で移動した。マロとマロの子供たちも連れてきた。
コジローに得に準備はいらない。亜空間収納魔法(マジッククローゼット)が使えるコジローは、必要な物はすべて持ち歩いているのだ。
マジッククローゼットの中は時間停止が掛かっているため、食材なども普段からコツコツ購入してストックしてある。武器は次元剣があるし防御はマジックシールドがある。マジックシールドは最近ゼフトによって術式がアップデートされ、能力が増えていた。
さらに、転移が使えるので、コジローには宿泊の準備も不要である。
着の身着のまま、どこへでも気ままに行けばよいのである。
転移では行ったことがない場所へは行けない。なので、ニール村の場所へは転移では行けないため、歩いていく必要がある。
だが、コジローが本気を出せば、短い転移を連続で繰り返しながら高速で移動できるので非常に高速である。(見える範囲であれば転移は可能なのである。)普段は転移魔法をあまり大ぴらに見せたくないのでやらないが、緊急事態なので仕方がない。
フェンリルであるマロ、そしてディザスターウルフとフェンリルのハーフであるマロの子供たち(カラミティウルフ)は、もともと超高速移動が「売り」なので問題ない。むしろ、コジローの短距離転移の連続ではおそすぎてついていけないレベルである。
しかし「たまには顔を出せ」とギルドマスターのリエからの伝言を受けとったため、マルスを伴って久々にギルドに出向く事にした。
ギルドでは、リエが手が空いているからと、訓練場で剣の練習に付き合ってくれた。ギルドマスターは本当はそんなに暇であるはずはないのだが、リエとしても気分転換の意味もあったようだ。
リエは、アルテミルに戻っていた領主の娘、リヴロットも呼んで、コジロー・マルス・リエ・リヴロットで模擬戦を交えながら剣の訓練をこなした。
今ではコジローも、魔法による補助を使わなくともCランク程度の剣の腕には到達していたので、それなりに充実した時間を過ごすことができた。
マルスも、コジローでは教えられない剣の基礎技術をリエやリヴロットから教わることができて嬉しそうな顔をしており、リエとリヴも、素直で明るいマルスに好感を持っていた。
訓練が終わり、四人でギルド併設の酒場で冷たい水を買って飲んでいたところ、受付に少年が二人声をかけているのが見えた。何やら依頼をもってきたようである。
内容を聞いた受付嬢・エイラが、珍しく血相を変えてリエを呼びに来たのだ。
コジローも近くに寄って話を伺ってみたが、どうやら討伐依頼を少年達はもってきたらしかった。アルテミルの東にはノークという街があるが、その近くにニールという小さな村がある。その村から来た、少年達は、アントとビートと名乗った。
曰く、ニール村の近くにコボルトの集落ができており、大量発生したコボルトが村を襲うようになり村が壊滅しそうな状態だという。
その程度の依頼はどこの街のギルドにもよくあることなのだが、今回はその規模が桁違いで、確認されただけでコボルトの数が千匹、集落にはその倍以上はいる可能性が高いとのこと。
村に一番近いノークの街は代官を置くくらい大きな街である。なのになぜわざわざアルテミルまで少年たちは来たのか?
リエがよくよく話を聞いてみたところ、どうやら村は大変貧しく、依頼料が出せないのだという。
だが、そのような魔物の討伐であれば、領主が金を出して冒険者なり騎士団なりを派遣する義務があるはずである。だが、ノークの代官は少年たちの訴えを相手にしてくれなかったらしい。
村からノークへ向かった時は少年たちと一緒に大人も居たのだが、途中、コボルトに襲われ、少年たちだけが逃され、なんとかノークに辿り着いたとのこと。
少年達はすぐにノークの代官に救援を訴えに行ったのだが、子供たちだけで来たため、代官は相手にしてくれなかったのだという。
ノークにも冒険者ギルドはある。気の毒に思った衛兵が、討伐依頼なら冒険者ギルドに行くといいと教えてくれ、少年たちはノークのギルドに討伐依頼をしたのだが、ギルドでは討伐依頼は受け付けてくれたものの、その報酬が安すぎて引き受ける冒険者がいなかったらしい。
そこで、領主が今はアルテミルに居るらしいと聞いた少年達は、二人でアルテミルを目指したという。途中、親切な商人の馬車に乗せてもらえ、ここまで辿りつけたらしい。
少年たちは領主の館の場所が分からなかったため、ギルドに立ち寄って領主の館の場所を教えてもらうつもりだったのだ。
一緒に話を聞いていたリヴロットの顔が怒りで引き攣った。少年たちの話が本当なら、ノークの代官が仕事をキチンとこなしていない事の証明である。
ウィルモア領は現在、各地の行政立て直しの真っ最中である。領主の娘であるリヴロットも、各都市に派遣された代官を監査・粛正に尽力してきたのである。
ノークの代官は、税を不当に高く徴収したり私服を肥やしたりという事はしていなかったので、転移魔法陣設置の時の簡易監査では見逃されていたのであるが、どうやら正体は、悪いことはしないが良いこともしない怠慢な代官であったようである。
リヴロットはその場で、金は領主から出すからすぐにでも討伐隊を出すようにリエに指示した。領主の娘としての立場の指令である。
魔物の集落ができているという報告があった場合、まずは、その噂の審議を確かめるため、冒険者に偵察の依頼を出して情報の真偽を確認する必要がある。
だが、もし少年たちの言っている事が本当なら、事は一刻を争う。
リエとリヴロットははコジローの顔を見た。コジローも黙って頷く。
この依頼は、コジローが引き受ける事となった。
まずは、状況の調査をして報告、それを受けてから改めて討伐開始。当然、討伐の準備は先に進めておく。アルテミルから冒険者を募り、また騎士団も派遣。ノークの代官は転移魔法陣でリヴロットが乗り込んで締め上げ、その上で同じく討伐隊の準備をしておくという話で進んでいった。
コジローは即座にノークの街の外に転移で移動した。マロとマロの子供たちも連れてきた。
コジローに得に準備はいらない。亜空間収納魔法(マジッククローゼット)が使えるコジローは、必要な物はすべて持ち歩いているのだ。
マジッククローゼットの中は時間停止が掛かっているため、食材なども普段からコツコツ購入してストックしてある。武器は次元剣があるし防御はマジックシールドがある。マジックシールドは最近ゼフトによって術式がアップデートされ、能力が増えていた。
さらに、転移が使えるので、コジローには宿泊の準備も不要である。
着の身着のまま、どこへでも気ままに行けばよいのである。
転移では行ったことがない場所へは行けない。なので、ニール村の場所へは転移では行けないため、歩いていく必要がある。
だが、コジローが本気を出せば、短い転移を連続で繰り返しながら高速で移動できるので非常に高速である。(見える範囲であれば転移は可能なのである。)普段は転移魔法をあまり大ぴらに見せたくないのでやらないが、緊急事態なので仕方がない。
フェンリルであるマロ、そしてディザスターウルフとフェンリルのハーフであるマロの子供たち(カラミティウルフ)は、もともと超高速移動が「売り」なので問題ない。むしろ、コジローの短距離転移の連続ではおそすぎてついていけないレベルである。
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