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第五章 コジローの恋

第95話 モニカ救出1

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その時、スケルトン達の背後から激しい音がした、骨や鎧、剣が飛び散り、ばら撒かれる音だ。

モニカに迫っていたスケルトンも動きを止め、振り返る。

後ろで誰かがスケルトン達を殲滅している。



助けが来た・・・

ホッとしたモニカは座り込む。

加速を発動し、スケルトンを殲滅していくコジロー。蹴散らされるスケルトンは嵐に巻込まれたように、あっという間にバラバラになっていった。

コジローはモニカに駆け寄り抱き起こす。

「大丈夫か?!」

「だ、大丈夫・・・」

だが、モニカはほっとしたのか、そのまま意識を失ってしまった。

その時、隣の部屋から「うぉお!」という叫び声と剣戟の音が聞こえた。

モニカは奥に逃げてしまったが、その反対側から隣の部屋につながっていた。その先の部屋の中で、ジョニーがスケルトンに襲われているのが見えた。ゴーレムの居ないジョニーの戦闘力はモニカより低い。

コジローはモニカをそっと寝かせると、ジョニーの居る部屋へ駆けつける。

「ジョニー、こっちだ!!」

コジローを見たジョニーは一気に走り出し隣の部屋へ転がり込む。ジョニーと入れ替わるように部屋に入ったコジローは、再び加速を発動、次元剣でスケルトン軍団を殲滅した。

隣の部屋に転がり込んだジョニーは、倒れているモニカを発見し、抱き起こす。

「大丈夫か、しっかりしろ!」

モニカは目を覚まし、自分を抱き起こしているジョニーを見た。

モニカ:「ジョニーが助けてくれたの?!」

ジョニー:「もう大丈夫だ!コジローが・・・」

しかし、モニカは疲れたのか、再び意識を失っていった。



スケルトンを片付けたコジローは、モニカをジョニーから奪い取るように抱き上げ、転移魔法を発動した。移動先は宿屋の玄関であった。モニカを抱いたコジローとジョニーに出てきた女将が驚く。コジローは女将にモニカの手当を頼み、再びダンジョン内に転移する。

メルとマルス、それにマロ達を連れ、転移で宿屋へ戻ってきたコジローは、メルにモニカを頼んだあと、再び一人でダンジョン最下層へ転移して戻った。



宿に戻るとモニカは意識を取り戻していた。特に体も問題ないようである。肋骨の骨折も、ポーションで既に治ったそうだ。

メルは、当初の目的であったダンジョンの奥に咲く花の採集は成功していたので(花は地下三階のボスの間の蜘蛛の後ろに咲いていた)、これにて以来は終了、後は街まで帰るだけである。

とりあえず、もう一泊、宿でゆっくり休んでから、村に帰ることになった。


――――――――――――


その日の夜、コジローは一人、ダンジョンの中、新たに発見された最下層の部屋に居た。

果たしてここが最下層なのか?
あるいはもっと奥があるのか確認したかったので、コジローは転移でやってきたのである。

リポップしていたスケルトン軍団も殲滅済みである。役に立つか分からないが、スケルトンが持っていた武具もマジッククローゼットにすべて収納しておいた。

何も居なくなった部屋の中を調べるコジロー。

だが、これ以上先に進む道も一見したかぎりではないようだ。そこで索敵魔法を再び起動すると・・・ジョニーが襲われていた部屋の奥の壁のそのまた向こう側に何か反応があった。

壁を次元剣で切り裂くと、上の階と同様、壁が壊れ、中に小部屋があるのを発見した。

そこには床に半分埋まったダンジョンの核があった。どうやらこの階が最終であったようである。

あの大量のスケルトン兵士達が最後の核の護衛=ダンジョンボスだったのか?

核を破壊すればそのダンジョンは死ぬ。

だが、この世界ではダンジョンは様々なアイテムや素材が入手できる「資源」であるとも言える。ダンジョンを生かしたまま存続させて、それを売りにしている迷宮都市と呼ばれるような街もある。このダンジョンも、迷宮都市などとはとても呼べないが、一応小さな村ができているし、初心者向けダンジョンとして重宝されている事もあるので、勝手に殺してしまう事はできない。

そこでコジローは核に触れずにその小部屋を出た。すると、ポロンと何やら音が聞こえた気がした。見ると、さっきまで何もなかった部屋の中央に宝箱が出現している。

もしかしたらミミックという可能性もあったが、なんとなく、理由は分からないが、核が見逃してもらえる代わりに何かくれる、そんな気がしていた。

次元剣を抜き、コジローは警戒しながらも宝箱を開けてみた。罠はなかったようである。

中には・・・



「これって、あれだよな・・・?」

中にあったのは、カラフルなハンマーであった。

コジローはこれが何か知っている。

ハンマーのヘッドの部分がプラスチックの蛇腹になっていて、叩くとピコという音が鳴る、日本のお笑い芸人が時々ツッコミに使っている、そう、これは

「ピコピコハンマー」

だった・・・


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