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第四章 マドネリ村
第83話 マドネリ村2
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防壁の内側は、北側のほうに建物と畑が密集しており、南側は何もない草原になっている。コジローはそこを狼達の牧場とすることにした。狼達の休める小屋を作り、中でマロの妻狼が子育てを始めた。コジローはマロの妻狼にベルと名付けた。子供は6匹、名前はイチロー・ジロー・サブロー・シロー・ゴロー・ロクロー。コジローにあまりネーミングのセンスはなかった・・・
狼達の出入りのために、門扉に狼専用の出入口を作ったので、門がしまっている時間帯でも狼達はいつでもそこから出入りできる。もちろん、人間もそこから出入りできなくはないだろうが、かなり制限される事になる。マドリー&ネリーの家の門に置いてあった門番ゴーレムをそのまま城門の門番として設置していあるので、許可のない人間や魔物はいずれにしても通れない。
ただ、もし跳ね橋が上げられていると狼達も出入りできないだろうと思ったのだが、ディザスターウルフの機動力はコジローの予想をはるかに上回っていた。防壁と堀を簡単に飛び越えられる事が判明したのである。魔法攻撃もすべて俊足で躱してしまうのが魔狼である、その機動力を考えれば当然か。
だがそうなると、他にも飛び越えられる魔物もいるのではないかと思われたが、そもそも、空を飛ぶ魔獣(魔鳥)だって居るのである。あまり考えすぎても仕方がない。ただの土の防壁なので、よじ登ってこられる魔獣も居るかもしれない。強力な攻撃を受ければ穴が開いてしまうかも知れない。それでも、防壁は、ないよりはあったほうが安心なのは確かであろう。
もはや村となりつつあるので、名前を付ける必要が出てきた。コジローが作ったのだから「コジロー村」でいいという意見が出たが、コジローは拒否した。
コジローは「ゼフト村」を提案。「ドワーフ村」とか、「マドリー&ネリーの村」「死霊の村」「狼村」などの意見も出たが・・・
どれもパッとせず、賛成多数にもならず、決まらない。
もう「マドネリ村」でいいんじゃないか・・・とコジローが呟いた事で、とりあえず「マドネリ村(仮)」として、後で良い案があれば変えようという事になった。
マドリー&ネリーの家も、人手が足りなくなり、従業員を雇うようになっていた。
最初はどこかの店を間借りして予約受付の窓口だけ設置という事を考えていたのだが、結局、市場近くの軽飲食店や屋台が並ぶエリアに小さな家を借り、一間ほど小さなスペースを借り、そこでサンドイッチやハンバーガーなどの軽食を販売しながら予約を受ける事としたのである。
さらに別に一軒家を借り、事務所とした。その中の一室に転移魔法陣を設置し、マドリー&ネリーの家の一室と結んだ。転移魔法陣については秘密なので、その家はオーナー個人宅ということにして従業員は立入禁止、マドリー・ネリー・モニカの誰かのみが移動する事とした。
本店舗のほうの従業員は、アルテミルから通うとなると無理があるので、マドネリ村に住み込んでもらう事となる。馬車で2~3時間、早馬を飛ばせば30分は掛からないが、毎日の通勤を考えると、従業員に馬を飛ばしてきてもらうというのも無理がある。転移魔法陣が公に使えれば、客も従業員も色々と捗るのは確かなのだが・・・
とりあえず、従業員は宿泊用の部屋に住んでもらい、別途従業員用の寮を建てる事になった。急激に需要が増えているのは確かであるが、一時的な人気に過ぎない事を考えると、コジローは従業員をそこまで本格的に受けれてしまうと、流行が終わって客が減った時に困るのではないか?と言ったのだが、マドリーとネリーは、その時は従業員に辞めてもらえばいいから大丈夫だという。色々聞いてみると、この世界ではどこもそんなものであまり気にしないらしい。仕事は常に流動的で、終身雇用というような考え方はないらしい。簡単に人が死ぬ事が多い世界なので、みんな今を生きるのが精一杯の世界なので、そんなものなのかも知れない。
何人か住み込み従業員が応募してきた。寮費無料・食事付きで、給料も平均以上という、かなり高待遇での募集となったので、従業員はすぐに集まった。辺鄙な場所という悪条件はあるが、その気になれば街にも馬を飛ばせばすぐ帰れるのでそれほど問題はないらしい。
コジローが驚いたのは、この世界では、休日という概念がないことであった。定期的に休みの日をつくるという考え方はなく、必要でないなら仕事がある限り休まず働き続けるのは当たり前ということであった。もちろん、適宜休息は取るのだが、必要に応じてであり、皆で揃って休みの日を作るという考え方はあまり一般的ではないようであった。
もちろんそうであっても、やはり適宜休みは必要であり、病気やその他の用事ができる事もありうるわけで、そのための交代要員まで考えると、かなりの人数になった。
大工ドワーフ達に急ぎ従業員寮を作ってもらったのだが、それが終わっても、ドワーフ達はそれ以外にも家をいくつも建て始めた。
コジローはまた新しいドワーフの仲間が引っ越してくるのかと思ったが───事実、さらに数人引っ越してきたのであるが───それ以外に、この村に移住希望者があった時に、家がないと困るだろうとの事だった。
家を先に建てて、住みたいという者から分割で支払ってもらうらしい。日本で言う建売みたいなものかとコジローは思ったが、そもそも、村として入居者を募集しているわけではないのだが・・・
「来るものは拒まず」みたいな方針で良いものか一度話し合ったほうが良いかなとコジローは思った。
これまで、マドリー&ネリーの家では、畑を作って贖罪の半自給自足が行われていた。
だが、マドリー&ネリーの家のオーベルジュとしての営業が忙しくなり、マドリーが畑仕事に掛けられる時間が減ってしまったのである。
食材も持久できる量を超えた客が来ているので、アルテミルから仕入れるようになっため、畑はなくても良いのであったが、やはりマドリーとしては畑はちゃんと維持しておきたいのであった。
そこで、畑仕事を行ってくれる従業員も募集したところ、ジョニーとダニーという兄弟が採用された。
この二人はゴーレム使いで、ジョニーは一体、弟のダニーは三体同時にゴーレムを使役することができた。つまり、二人で6人分の仕事ができるのである。その能力を買われて採用となったのだが・・・それが、コジローには面白くない事態になってしまった。
ジョニーが超イケメンで、モニカと急接近しだしのである・・・
狼達の出入りのために、門扉に狼専用の出入口を作ったので、門がしまっている時間帯でも狼達はいつでもそこから出入りできる。もちろん、人間もそこから出入りできなくはないだろうが、かなり制限される事になる。マドリー&ネリーの家の門に置いてあった門番ゴーレムをそのまま城門の門番として設置していあるので、許可のない人間や魔物はいずれにしても通れない。
ただ、もし跳ね橋が上げられていると狼達も出入りできないだろうと思ったのだが、ディザスターウルフの機動力はコジローの予想をはるかに上回っていた。防壁と堀を簡単に飛び越えられる事が判明したのである。魔法攻撃もすべて俊足で躱してしまうのが魔狼である、その機動力を考えれば当然か。
だがそうなると、他にも飛び越えられる魔物もいるのではないかと思われたが、そもそも、空を飛ぶ魔獣(魔鳥)だって居るのである。あまり考えすぎても仕方がない。ただの土の防壁なので、よじ登ってこられる魔獣も居るかもしれない。強力な攻撃を受ければ穴が開いてしまうかも知れない。それでも、防壁は、ないよりはあったほうが安心なのは確かであろう。
もはや村となりつつあるので、名前を付ける必要が出てきた。コジローが作ったのだから「コジロー村」でいいという意見が出たが、コジローは拒否した。
コジローは「ゼフト村」を提案。「ドワーフ村」とか、「マドリー&ネリーの村」「死霊の村」「狼村」などの意見も出たが・・・
どれもパッとせず、賛成多数にもならず、決まらない。
もう「マドネリ村」でいいんじゃないか・・・とコジローが呟いた事で、とりあえず「マドネリ村(仮)」として、後で良い案があれば変えようという事になった。
マドリー&ネリーの家も、人手が足りなくなり、従業員を雇うようになっていた。
最初はどこかの店を間借りして予約受付の窓口だけ設置という事を考えていたのだが、結局、市場近くの軽飲食店や屋台が並ぶエリアに小さな家を借り、一間ほど小さなスペースを借り、そこでサンドイッチやハンバーガーなどの軽食を販売しながら予約を受ける事としたのである。
さらに別に一軒家を借り、事務所とした。その中の一室に転移魔法陣を設置し、マドリー&ネリーの家の一室と結んだ。転移魔法陣については秘密なので、その家はオーナー個人宅ということにして従業員は立入禁止、マドリー・ネリー・モニカの誰かのみが移動する事とした。
本店舗のほうの従業員は、アルテミルから通うとなると無理があるので、マドネリ村に住み込んでもらう事となる。馬車で2~3時間、早馬を飛ばせば30分は掛からないが、毎日の通勤を考えると、従業員に馬を飛ばしてきてもらうというのも無理がある。転移魔法陣が公に使えれば、客も従業員も色々と捗るのは確かなのだが・・・
とりあえず、従業員は宿泊用の部屋に住んでもらい、別途従業員用の寮を建てる事になった。急激に需要が増えているのは確かであるが、一時的な人気に過ぎない事を考えると、コジローは従業員をそこまで本格的に受けれてしまうと、流行が終わって客が減った時に困るのではないか?と言ったのだが、マドリーとネリーは、その時は従業員に辞めてもらえばいいから大丈夫だという。色々聞いてみると、この世界ではどこもそんなものであまり気にしないらしい。仕事は常に流動的で、終身雇用というような考え方はないらしい。簡単に人が死ぬ事が多い世界なので、みんな今を生きるのが精一杯の世界なので、そんなものなのかも知れない。
何人か住み込み従業員が応募してきた。寮費無料・食事付きで、給料も平均以上という、かなり高待遇での募集となったので、従業員はすぐに集まった。辺鄙な場所という悪条件はあるが、その気になれば街にも馬を飛ばせばすぐ帰れるのでそれほど問題はないらしい。
コジローが驚いたのは、この世界では、休日という概念がないことであった。定期的に休みの日をつくるという考え方はなく、必要でないなら仕事がある限り休まず働き続けるのは当たり前ということであった。もちろん、適宜休息は取るのだが、必要に応じてであり、皆で揃って休みの日を作るという考え方はあまり一般的ではないようであった。
もちろんそうであっても、やはり適宜休みは必要であり、病気やその他の用事ができる事もありうるわけで、そのための交代要員まで考えると、かなりの人数になった。
大工ドワーフ達に急ぎ従業員寮を作ってもらったのだが、それが終わっても、ドワーフ達はそれ以外にも家をいくつも建て始めた。
コジローはまた新しいドワーフの仲間が引っ越してくるのかと思ったが───事実、さらに数人引っ越してきたのであるが───それ以外に、この村に移住希望者があった時に、家がないと困るだろうとの事だった。
家を先に建てて、住みたいという者から分割で支払ってもらうらしい。日本で言う建売みたいなものかとコジローは思ったが、そもそも、村として入居者を募集しているわけではないのだが・・・
「来るものは拒まず」みたいな方針で良いものか一度話し合ったほうが良いかなとコジローは思った。
これまで、マドリー&ネリーの家では、畑を作って贖罪の半自給自足が行われていた。
だが、マドリー&ネリーの家のオーベルジュとしての営業が忙しくなり、マドリーが畑仕事に掛けられる時間が減ってしまったのである。
食材も持久できる量を超えた客が来ているので、アルテミルから仕入れるようになっため、畑はなくても良いのであったが、やはりマドリーとしては畑はちゃんと維持しておきたいのであった。
そこで、畑仕事を行ってくれる従業員も募集したところ、ジョニーとダニーという兄弟が採用された。
この二人はゴーレム使いで、ジョニーは一体、弟のダニーは三体同時にゴーレムを使役することができた。つまり、二人で6人分の仕事ができるのである。その能力を買われて採用となったのだが・・・それが、コジローには面白くない事態になってしまった。
ジョニーが超イケメンで、モニカと急接近しだしのである・・・
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