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第四章 マドネリ村

第68話 日本へ行ってソースの作り方の資料を持ってくる

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モニカの部屋に行き、コジローはオーブのペンダントを使ってゼフトに呼びかけた。

すぐに返事があったので、時間があるなら質問があると尋ねた。ゼフトは、今は実験も一段落しているので大丈夫とのことだったので、ソースの作り方を知らないか尋ねてみたのである。

しかし、やはりゼフトには食べ物のことは分からないとの答えだった。

ガイコツのアンデッドで、食事が必要ないゼフトである。やはりダメだったかとコジローはがっかりしたが、ゼフトが意外な事を言い出したのである。

曰く、地球にある資料を見れば分かるのではないのか?と・・・



そういえば、ゼフトはコジローやモニカの魂を地球から連れてくるのに、何度も地球に行っているのである・・・つまり、今でも自由に行くことができる・・・?!

果たして、コジローは地球に連れて行ってもらう事になったのである・・・

ゼフトでは、何を持ってくればよいのか分からないためであった。。。



ゼフトに連れられて地球の日本に行ったコジローであった。それは、地球に普通に人間として現れるという事ではなく、地球とは少しだけ次元のズレた世界、つまり亜空間に入って、世界を裏側から見ているような感じであった。

一瞬、コジローは、生前の自分の実家がどうなっているのか気になった。しかし、もう自分は死んだ身である、見ないほうが良いかとも思い迷っていたところ、問答無用でゼフトに連れて行かれてしまった。

生まれ育った東北の実家では、仏壇にコジローの写真が飾ってあったが、それだけで、何事もなかったかのように家族は生活を続けていた。コジローは7人兄妹の次男であった。家族が多かったので、一人くらい死んでも、みな自分の生活が忙しく、大した影響はなかったようだ。

他の兄弟はみな結婚し、子供がたくさんできていたのである。中年まで独身で、一人東京で暮らしていたコジローは、死んでも悲しくないだろうとまでは言わないが、子育て、孫育てで戦争状態の家族は、それどころではないだろう事は、コジローも予想していた通りであった。

それ自体は悲しくも何もない、コジローも、自分が居なくなっても大丈夫だろうという判断があったから、新しい世界に躊躇なく転生する道を選んだのだから。みな元気でやっていると確認できてよかったというだけで、これ以上未練はなかった。



それよりも、資料を取りに来たのである。どこに行けば手に入る?図書館か?ゼフトに、地元の図書館に行ってもらうよう頼んだ。場所はコジローがよく覚えていた、子供の頃、よく通った場所だ。

そこで、料理に関する本のコーナーへと行く。その中からどれが必要な本か探す必要があるが・・・ゼフトが、本棚ごと貰っていこうといい、その一角ごと切り取って亜空間の中に引き込んでしまっった。

これって、地球では突然図書館の本棚が一角なくなって騒ぎになるのではないか?!とコジローは焦ったのだが、これは亜空間に重なって存在していたものを持って行くだけなので、地球ではモノがなくなったりはしていないとの事であった。

まぁ別に、地球で何か問題が起きていたとしても、コジロー達には関係ないとも言えなくはないのだが・・・問題ないと分かり安心したコジローは、本を全部亜空間収納に入れて持ち帰ったのであった。



その後、モニカもまたゼフトに実家に連れて行って貰っていたのだが、それはモニカのプライベートなので、コジローは関わられたくない様子を察して宿に戻り、部屋で料理本を読み漁っていた。

ソースの作り方・・・

ソースは、野菜や果物とスパイスを煮込み濾してできるらしい。

野菜は・・・

玉ねぎ・人参・セロリ・りんご・トマト

スパイスは・・・

シナモン・ナツメグ・クローブ・オールスパイス・セージ・タイム・クミン・カルダモン・ローリエ

これに、砂糖・醤油・塩を加えて煮込み、濾してから煮詰めればできるとのこと。



・・・材料に「醤油」が入っていたのが痛い。ソースを作る前に、醤油を作らなければならないのか。

とりあえず、現状で揃う材料だけで、それっぽく作ってみる事にした。野菜数種類と、あるてみるの街の食材店で揃う2~3種類のスパイスで、モニカに頼んで作ってもらった。

ゼフトとともに地球に行っていたモニカは、帰ってきてから一切それについて語ろうとしなかった。そして妙に明るいテンションで料理に勤しんでいたが・・・

そもそもモニカは、前世から引き継いだ魂の性質なのか、引きこもり気味で積極的に何かをするという性格ではなかったのだが。積極的に料理に打ち込んでいる姿が、無理に明るく振る舞っているようにコジローには見えてしまった。

地球で何か嫌なものでも見てしまったのかも知れないが、話したくない・忘れたい事なのだろうと思い、コジローは何も聞かず、料理をどんどん任せるのであった。

有り合わせの材料でも、なんとなくそれっぽいソースはできた。これを、再び作ったトンカツに塗り、パンで挟んでカツサンドを作った。

そこそこ美味しい。

ネリーが気にいって、マドリー&ネリーの家の定番の弁当となったのであった。



もちろん、コジローとモニカ的にはまだまだ納得できる味ではないが、材料がないのは仕方がない。とりあえず、コジローは領内のいろいろな街に行って、スパイスを色々と手に入れて来る事を約束した。領内なくても、他の貴族が治める地域の街にはあるかも知れない。

いずれ、スパイスが色々揃えば・・・ソースより先にカレーが作れそうだな、とコジローは思うのであった。うまくいけば、この世界でもカレーパンやカレーライスが食べられるかも知れない。

新しい街に行くたびに、市場に行っていろいろな野菜や果物、そして特にスパイスを物色するようになったコジローなのであった。。。


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