67 / 115
第四章 マドネリ村
第67話 やっぱりソースが欲しい…
しおりを挟む
コジローは、モニカと知り合ってから、彼女と話すためによくマドリー&ネリーの家に通うようになっていた。
モニカは、コジローは日本人だった頃に好きだったアイドルにちょっと顔が似ていることもあり、何度も会いに行くうちに女性としての淡い好意を抱くようになっていた。
マドリーとネリーも二人の恋路を暖かく見守るという雰囲気であったが、当のモニカは、コジローに対して恋愛感情はなかった。もちろん、コジローを嫌う理由も全くなく、仲の良い友達という位置付けではあったが。
モニカにその気がないとはいえ、前世が日本人という共通の秘密がある事で親密な関係になっているのは事実だった。日本の思い出を語れば当然、話が弾むのである。
そして、よく話題になるのは、日本の食べ物の話。
この世界は、日本と比べると、どうしても食べ物が少し劣るのである。
そもそも、コジローは日本人だった時、日本は世界で最も料理が美味しい国であると思っていた。それが真実かどうかは、コジローも世界中の料理を食べたわけではないので分からないが。
しかし、同じ地球上であっても、貧しい食文化しかないという国もあったはずである。特に、戦争が続いているような国や、貧しい国は仕方がないであろう。
この世界も、常に魔物との戦いを強いられる、平和な日本に比べれば生きていくのが困難な世界である。当然、死ぬ者も多いし、命は軽い。みな生き延びる事が最優先で、食べ物の味は二の次と言う事になりがちなのは仕方がないことであろう。
しかし、日本の料理を知っている者としては、やはり、時々無性に食べたくなる料理もあるわけで。
モニカは、前世では博多の女子高生だった。博多といえばとんこつラーメンというイメージをコジローは持っていたし、コジロー自身もとんこつラーメンが大好物だったのだが、モニカはそれほどラーメンは好きではないとのことだった。あの独特に臭い匂いがあまり・・・と言っていた。
コジローは博多に行ったことがないので分からないが、本場のとんこつ臭はコジローが知るより強烈なものらしい。
東京以北で食べられるとんこつラーメンの匂いは、かなり抑えて作られていると聞いたのをコジローは思い出した。コジローは福島で生まれ、東京に出て働いていた。西日本には行ったことがないのである。
モニカとコジローが共通して、もう一度食べたいと思うのは、カレーライスとトンカツであった。しかし、この世界にはカレーは存在していない。
この世界でも、名前は違えども、地球にあった食材とよく似た食材はたくさんみつかる。小麦粉もあるし、パンも焼かれている。
ただ、米はいまのところ、このウィルモア領ではコジローは見たことがない。家から出たことがほとんどないモニカも当然知らない。
スパイスもこの世界独特のものが存在するようで、探せばいろいろな種類がある。上手くすれば、カレーも再現できるかも知れないとはコジローとモニカも思ったのの、残念ながら、カレールーを使わない、スパイスから作るカレーの作り方を二人ともよく知らないのであった。
コジローが日本人だった時に、一番好きだった料理は、カツ丼、カツカレー、ラーメンであった。特にカツカレーは、この世で一番美味い料理だと思っていた。
モニカも、カツは大好きだと言っており、二人でカツが嫌いな日本人はそうは見つからないだろう、と盛り上がったのだが・・・
ふと、トンカツであれば、意外と簡単に作れるのではないか?とコジローが思い立ったのである。
豚肉に近い味の肉がこの世界にもある。それは、オークの肉。かなり似ている。そして、パンもある。つまり、パン粉も作れるはず。。。あとは衣をつけて油で揚げれば・・・
ネリーに頼んで、キッチンを使わせてもらう事にした。料理に挑戦するモニカとコジローを、なぜかマドリーとネリーが微笑ましく見ていたのであるが・・・
できた!!
試食。
マドリーとネリーも一緒に、四人で食べてみた。
とても美味しくできており、マドリーとネリーは初めて食べるトンカツに大絶賛であった。
しかし・・・
コジローには物足りなかった。
決定的に物足りないものがあった。
それは・・・
ソース!!
やはり、トンカツにはソースがないと!!
高級なトンカツや天ぷらなども塩で食べたりするので、今回は塩で食べてみた。それでもうまかったのだが、やはり、ソースが欲しい・・・
モニカはあまり気にしていないようだったが、パンに挟んでトンカツサンドにした時に、ソース味でないと嫌じゃないか?とコジローに言われ「確かに」と同意した。
だが、コジローもモニカもソースの作り方は分からないのであった・・・
だが、ふと、モニカが言った。ゼフトなら知ってるのでは・・・?と。
ゼフトはアンデッドである。
昔は人間だったが、今は、この世界でいわゆるリッチと呼ばれるモンスターである。
はっきり言ってしまえば、骸骨である。
食べ物は必要ないし、食べようと思っても食べられないだろう。
そんなゼフトに食べ物のを事を聞くという発想はコジローにはなかったのだが・・・ダメ元で聞くだけ聞いてみてもよいかと思ったのである。
結果・・・
驚くべき事になってしまった。。。
モニカは、コジローは日本人だった頃に好きだったアイドルにちょっと顔が似ていることもあり、何度も会いに行くうちに女性としての淡い好意を抱くようになっていた。
マドリーとネリーも二人の恋路を暖かく見守るという雰囲気であったが、当のモニカは、コジローに対して恋愛感情はなかった。もちろん、コジローを嫌う理由も全くなく、仲の良い友達という位置付けではあったが。
モニカにその気がないとはいえ、前世が日本人という共通の秘密がある事で親密な関係になっているのは事実だった。日本の思い出を語れば当然、話が弾むのである。
そして、よく話題になるのは、日本の食べ物の話。
この世界は、日本と比べると、どうしても食べ物が少し劣るのである。
そもそも、コジローは日本人だった時、日本は世界で最も料理が美味しい国であると思っていた。それが真実かどうかは、コジローも世界中の料理を食べたわけではないので分からないが。
しかし、同じ地球上であっても、貧しい食文化しかないという国もあったはずである。特に、戦争が続いているような国や、貧しい国は仕方がないであろう。
この世界も、常に魔物との戦いを強いられる、平和な日本に比べれば生きていくのが困難な世界である。当然、死ぬ者も多いし、命は軽い。みな生き延びる事が最優先で、食べ物の味は二の次と言う事になりがちなのは仕方がないことであろう。
しかし、日本の料理を知っている者としては、やはり、時々無性に食べたくなる料理もあるわけで。
モニカは、前世では博多の女子高生だった。博多といえばとんこつラーメンというイメージをコジローは持っていたし、コジロー自身もとんこつラーメンが大好物だったのだが、モニカはそれほどラーメンは好きではないとのことだった。あの独特に臭い匂いがあまり・・・と言っていた。
コジローは博多に行ったことがないので分からないが、本場のとんこつ臭はコジローが知るより強烈なものらしい。
東京以北で食べられるとんこつラーメンの匂いは、かなり抑えて作られていると聞いたのをコジローは思い出した。コジローは福島で生まれ、東京に出て働いていた。西日本には行ったことがないのである。
モニカとコジローが共通して、もう一度食べたいと思うのは、カレーライスとトンカツであった。しかし、この世界にはカレーは存在していない。
この世界でも、名前は違えども、地球にあった食材とよく似た食材はたくさんみつかる。小麦粉もあるし、パンも焼かれている。
ただ、米はいまのところ、このウィルモア領ではコジローは見たことがない。家から出たことがほとんどないモニカも当然知らない。
スパイスもこの世界独特のものが存在するようで、探せばいろいろな種類がある。上手くすれば、カレーも再現できるかも知れないとはコジローとモニカも思ったのの、残念ながら、カレールーを使わない、スパイスから作るカレーの作り方を二人ともよく知らないのであった。
コジローが日本人だった時に、一番好きだった料理は、カツ丼、カツカレー、ラーメンであった。特にカツカレーは、この世で一番美味い料理だと思っていた。
モニカも、カツは大好きだと言っており、二人でカツが嫌いな日本人はそうは見つからないだろう、と盛り上がったのだが・・・
ふと、トンカツであれば、意外と簡単に作れるのではないか?とコジローが思い立ったのである。
豚肉に近い味の肉がこの世界にもある。それは、オークの肉。かなり似ている。そして、パンもある。つまり、パン粉も作れるはず。。。あとは衣をつけて油で揚げれば・・・
ネリーに頼んで、キッチンを使わせてもらう事にした。料理に挑戦するモニカとコジローを、なぜかマドリーとネリーが微笑ましく見ていたのであるが・・・
できた!!
試食。
マドリーとネリーも一緒に、四人で食べてみた。
とても美味しくできており、マドリーとネリーは初めて食べるトンカツに大絶賛であった。
しかし・・・
コジローには物足りなかった。
決定的に物足りないものがあった。
それは・・・
ソース!!
やはり、トンカツにはソースがないと!!
高級なトンカツや天ぷらなども塩で食べたりするので、今回は塩で食べてみた。それでもうまかったのだが、やはり、ソースが欲しい・・・
モニカはあまり気にしていないようだったが、パンに挟んでトンカツサンドにした時に、ソース味でないと嫌じゃないか?とコジローに言われ「確かに」と同意した。
だが、コジローもモニカもソースの作り方は分からないのであった・・・
だが、ふと、モニカが言った。ゼフトなら知ってるのでは・・・?と。
ゼフトはアンデッドである。
昔は人間だったが、今は、この世界でいわゆるリッチと呼ばれるモンスターである。
はっきり言ってしまえば、骸骨である。
食べ物は必要ないし、食べようと思っても食べられないだろう。
そんなゼフトに食べ物のを事を聞くという発想はコジローにはなかったのだが・・・ダメ元で聞くだけ聞いてみてもよいかと思ったのである。
結果・・・
驚くべき事になってしまった。。。
0
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで220万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜
I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。
レベル、ステータス、その他もろもろ
最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。
彼の役目は異世界の危機を救うこと。
異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。
彼はそんな人生で何よりも
人との別れの連続が辛かった。
だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。
しかし、彼は自分の強さを強すぎる
が故に、隠しきることができない。
そしてまた、この異世界でも、
服部隼人の強さが人々にばれていく
のだった。
制服エプロン。
みゆみゆ
ファンタジー
3回目の大学1年生を迎えた市ヶ谷慧太。20歳。履修登録でミスをおかし、早くも4回目への道が拓けてしまった日、異世界から転生してきたと主張するJK(女子高生)松輪野けーこに再会するのだった。
料理を作ってもらう話です。
さしすせそ、を使っていろいろ作ってもらいます。よろしくお願いします。
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生しても山あり谷あり!
tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」
兎にも角にも今世は
“おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!”
を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
大地魔法使いの産業革命~S級クラス魔法使いの俺だが、彼女が強すぎる上にカリスマすぎる!
倉紙たかみ
ファンタジー
突然変異クラスのS級大地魔法使いとして生を受けた伯爵子息リーク。
彼の家では、十六歳になると他家へと奉公(修行)する決まりがあった。
奉公先のシルバリオル家の領主は、最近代替わりしたテスラという女性なのだが、彼女はドラゴンを素手で屠るほど強い上に、凄まじいカリスマを持ち合わせていた。
リークの才能を見抜いたテスラ。戦闘面でも内政面でも無理難題を押しつけてくるのでそれらを次々にこなしてみせるリーク。
テスラの町は、瞬く間に繁栄を遂げる。だが、それに嫉妬する近隣諸侯の貴族たちが彼女の躍進を妨害をするのであった。
果たして、S級大地魔法使いのリークは彼女を守ることができるのか? そもそも、守る必要があるのか?
カリスマ女領主と一緒に町を反映させる物語。
バトルあり内政あり。女の子たちと一緒に領主道を突き進む!
――――――――――――――――――――――――――
作品が面白かったらブックマークや感想、レビューをいただけると嬉しいです。
たかみが小躍りして喜びます。感想などは、お気軽にどうぞ。一言でもめっちゃ嬉しいです。
楽しい時間を過ごしていただけたら幸いです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔法省魔道具研究員クロエ
大森蜜柑
ファンタジー
8歳のクロエは魔物討伐で利き腕を無くした父のために、独学で「自分の意思で動かせる義手」製作に挑む。
その功績から、平民ながら貴族の通う魔法学園に入学し、卒業後は魔法省の魔道具研究所へ。
エリート街道を進むクロエにその邪魔をする人物の登場。
人生を変える大事故の後、クロエは奇跡の生還をとげる。
大好きな人のためにした事は、全て自分の幸せとして返ってくる。健気に頑張るクロエの恋と奇跡の物語りです。
本編終了ですが、おまけ話を気まぐれに追加します。
小説家になろうにも掲載してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる