34 / 115
第三章 アルテミルの街とその領主
第34話 ここは俺に任せて早く行け1
しおりを挟む
一台の馬車がリザードマンの集団に襲われていた。かなり高級そうな馬車で、護衛と思われる騎士が二騎ついている。
騎士たちは後方から迫るリザードマンを食い止め、馬車を逃がそうとしていた。
しかし、待ち伏せしていたのであろう、馬車の前方にもリザードマンが現れ、馬車は急停車せざるをえなくなった。
リザードマンはトカゲに似た容姿の人形の魔物である。三叉の槍を持っている事が多いが、剣や槍も使う、おそらく死んだ冒険者から奪って使っているのだろう。人間と会話が成立する程ではないが、それなりに知能が高く、複数で連携しながら攻撃してきたりする。
危険度はDにランクされており、ベテランパーティなら十分倒せる相手ではあるが、初心者の冒険者の場合は意外と危険な相手である。
騎士は馬車が止まったことに気付き、一騎が前方に向かった。
騎士はなかなか腕が立つようで、一人でも何匹もリザードマンを仕留めており、このままなら騎士が勝つかに見えたが、リザードマンの隊列の後ろから数匹のアルマジリザードが出てきた事で情勢が変わった。
アルマジリザードはトカゲ型の魔獣で、リザードマンとは違い四足歩行で知能は高くない。ただ、背中側に鎧のような外皮を持っており、それは剣や槍では貫く事ができないほど硬く頑丈である。
アルマジリザードは、体を丸めて球状になることで、全身が鎧に覆われた球体形状となる。そして、その形態で転がりながら体当たりしてくるのだ。
騎士が馬上から槍で突くが、転がって体当たりしてくるアルマジリザードの外皮を貫くことができず、穂先は折れてしまった。直径1mを超える球体が馬に激突し、騎士は落馬した。
騎士はすぐに立ち上がり剣を抜いて斬りかかるが、球形態のアルマジリザードの鎧に剣が弾かれる。騎士はそのまま体当たりをうけて弾き飛ばされてしまった。
馬車前方に回った騎士も善戦していた。御者も矢を放っている。さらに、馬車から一人の男が降りてきて戦いに参戦していた。こちらにはアルマジリザードがいないので、なんとかなりそうな気配である。
ただ、後方の騎士の劣勢はすこしまずそうな状況である。アルマジリザードの体当たりは、衝撃は大きいが致命傷になるほどではない。しかし、当たればふっとばされてしまう。アルマジリザードの体当たり避けながら、他のリザードマンと交戦しているが、時々避けきれずにふっとばされている。
コジローはマロに戻るように指示、森の中から様子を伺っていた。先日、馬車を救った際に、どちらが悪者か間違えてしまったので、少し慎重になっていたのである。
しかし、やはり、魔物に襲われている人間を助けないわけにも行かない。ただ、ミルを巻き込むわけにもいかない。コジローはミルの護衛なのである。混戦に巻き込んでしまえばミルも危険になる。そこで、コジローはマロにミルを先に街に届けてくれるよう頼んだ。
コジローを置いていく事を嫌がったマロだったが、
「大丈夫だよ、マジックシールドをもらったろ?」
とコジローはマロを撫でながら言う。
「ミルを街に届けたらすぐに戻ってきてくれるだろ?」
『コジロ、戻るまで、待て。』
マロの声が心の中に聞こえてきた、久々にマロが人間の言葉を伝えてくるのを聞いた気がする。
「分かったよ、なるべく早く頼むよ」
それを聞いて、マロはミルを載せ、全力で駆け出していったのだった。
マロが戻るまでコジローは待つつもりだったのだが、コジローの存在に気づいたリザードマンが居た。
後方のリザードマン達に援軍か、さらに四匹のリザードマンが来ていた。弓を持っている、リザードマンアーチャーである。そのうちの一匹がコジローを発見したのである。
矢を射かけられるコジロー。
矢はやっかいだ、戦っている騎士も危険だ。
コジローは次元剣を抜き、リザードマンアーチャーの背後に転移し、弓を持つリザードマンを斬り捨てた。
ふと見れば、アルマジリザードの体当たりを受けて倒れた騎士に、リザードマンが切りつけようとしている。コジローはそのリザードマンの背後に転移し斬り倒す。
「大丈夫か?!」
倒れていた騎士に手を貸そうとしたところ、騎士が叫んだ
「危ない!」
背後からアルマジリザードが体当たりをかけてきていた。
騎士たちは後方から迫るリザードマンを食い止め、馬車を逃がそうとしていた。
しかし、待ち伏せしていたのであろう、馬車の前方にもリザードマンが現れ、馬車は急停車せざるをえなくなった。
リザードマンはトカゲに似た容姿の人形の魔物である。三叉の槍を持っている事が多いが、剣や槍も使う、おそらく死んだ冒険者から奪って使っているのだろう。人間と会話が成立する程ではないが、それなりに知能が高く、複数で連携しながら攻撃してきたりする。
危険度はDにランクされており、ベテランパーティなら十分倒せる相手ではあるが、初心者の冒険者の場合は意外と危険な相手である。
騎士は馬車が止まったことに気付き、一騎が前方に向かった。
騎士はなかなか腕が立つようで、一人でも何匹もリザードマンを仕留めており、このままなら騎士が勝つかに見えたが、リザードマンの隊列の後ろから数匹のアルマジリザードが出てきた事で情勢が変わった。
アルマジリザードはトカゲ型の魔獣で、リザードマンとは違い四足歩行で知能は高くない。ただ、背中側に鎧のような外皮を持っており、それは剣や槍では貫く事ができないほど硬く頑丈である。
アルマジリザードは、体を丸めて球状になることで、全身が鎧に覆われた球体形状となる。そして、その形態で転がりながら体当たりしてくるのだ。
騎士が馬上から槍で突くが、転がって体当たりしてくるアルマジリザードの外皮を貫くことができず、穂先は折れてしまった。直径1mを超える球体が馬に激突し、騎士は落馬した。
騎士はすぐに立ち上がり剣を抜いて斬りかかるが、球形態のアルマジリザードの鎧に剣が弾かれる。騎士はそのまま体当たりをうけて弾き飛ばされてしまった。
馬車前方に回った騎士も善戦していた。御者も矢を放っている。さらに、馬車から一人の男が降りてきて戦いに参戦していた。こちらにはアルマジリザードがいないので、なんとかなりそうな気配である。
ただ、後方の騎士の劣勢はすこしまずそうな状況である。アルマジリザードの体当たりは、衝撃は大きいが致命傷になるほどではない。しかし、当たればふっとばされてしまう。アルマジリザードの体当たり避けながら、他のリザードマンと交戦しているが、時々避けきれずにふっとばされている。
コジローはマロに戻るように指示、森の中から様子を伺っていた。先日、馬車を救った際に、どちらが悪者か間違えてしまったので、少し慎重になっていたのである。
しかし、やはり、魔物に襲われている人間を助けないわけにも行かない。ただ、ミルを巻き込むわけにもいかない。コジローはミルの護衛なのである。混戦に巻き込んでしまえばミルも危険になる。そこで、コジローはマロにミルを先に街に届けてくれるよう頼んだ。
コジローを置いていく事を嫌がったマロだったが、
「大丈夫だよ、マジックシールドをもらったろ?」
とコジローはマロを撫でながら言う。
「ミルを街に届けたらすぐに戻ってきてくれるだろ?」
『コジロ、戻るまで、待て。』
マロの声が心の中に聞こえてきた、久々にマロが人間の言葉を伝えてくるのを聞いた気がする。
「分かったよ、なるべく早く頼むよ」
それを聞いて、マロはミルを載せ、全力で駆け出していったのだった。
マロが戻るまでコジローは待つつもりだったのだが、コジローの存在に気づいたリザードマンが居た。
後方のリザードマン達に援軍か、さらに四匹のリザードマンが来ていた。弓を持っている、リザードマンアーチャーである。そのうちの一匹がコジローを発見したのである。
矢を射かけられるコジロー。
矢はやっかいだ、戦っている騎士も危険だ。
コジローは次元剣を抜き、リザードマンアーチャーの背後に転移し、弓を持つリザードマンを斬り捨てた。
ふと見れば、アルマジリザードの体当たりを受けて倒れた騎士に、リザードマンが切りつけようとしている。コジローはそのリザードマンの背後に転移し斬り倒す。
「大丈夫か?!」
倒れていた騎士に手を貸そうとしたところ、騎士が叫んだ
「危ない!」
背後からアルマジリザードが体当たりをかけてきていた。
0
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで220万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜
I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。
レベル、ステータス、その他もろもろ
最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。
彼の役目は異世界の危機を救うこと。
異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。
彼はそんな人生で何よりも
人との別れの連続が辛かった。
だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。
しかし、彼は自分の強さを強すぎる
が故に、隠しきることができない。
そしてまた、この異世界でも、
服部隼人の強さが人々にばれていく
のだった。
制服エプロン。
みゆみゆ
ファンタジー
3回目の大学1年生を迎えた市ヶ谷慧太。20歳。履修登録でミスをおかし、早くも4回目への道が拓けてしまった日、異世界から転生してきたと主張するJK(女子高生)松輪野けーこに再会するのだった。
料理を作ってもらう話です。
さしすせそ、を使っていろいろ作ってもらいます。よろしくお願いします。
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

転生しても山あり谷あり!
tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」
兎にも角にも今世は
“おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!”
を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

大地魔法使いの産業革命~S級クラス魔法使いの俺だが、彼女が強すぎる上にカリスマすぎる!
倉紙たかみ
ファンタジー
突然変異クラスのS級大地魔法使いとして生を受けた伯爵子息リーク。
彼の家では、十六歳になると他家へと奉公(修行)する決まりがあった。
奉公先のシルバリオル家の領主は、最近代替わりしたテスラという女性なのだが、彼女はドラゴンを素手で屠るほど強い上に、凄まじいカリスマを持ち合わせていた。
リークの才能を見抜いたテスラ。戦闘面でも内政面でも無理難題を押しつけてくるのでそれらを次々にこなしてみせるリーク。
テスラの町は、瞬く間に繁栄を遂げる。だが、それに嫉妬する近隣諸侯の貴族たちが彼女の躍進を妨害をするのであった。
果たして、S級大地魔法使いのリークは彼女を守ることができるのか? そもそも、守る必要があるのか?
カリスマ女領主と一緒に町を反映させる物語。
バトルあり内政あり。女の子たちと一緒に領主道を突き進む!
――――――――――――――――――――――――――
作品が面白かったらブックマークや感想、レビューをいただけると嬉しいです。
たかみが小躍りして喜びます。感想などは、お気軽にどうぞ。一言でもめっちゃ嬉しいです。
楽しい時間を過ごしていただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる